切幡寺
「女人即身成仏」の伝説で生まれた山中の寺院
333段の石段を踏みしめ、境内へと向かおう
標高155mの切幡山の中腹にある四国八十八ヶ所霊場の第十番札所、切幡寺。ふもとには巡礼用具店などが並び、昔から多くの参拝客が訪れていたことがよくわかる。県道139号線の看板どおり、昔ながらの細い参道を車で上っていくこと数分。やがて立派な仁王門が見えてくるはずだ。その右側から入ったところが駐車場になっている。上の駐車場の近くまでさらに車で上がることもできるが、非常に急な坂とヘアピンカーブが続く山道となる。高い運転技術が要求されるため、基本的には仁王門から徒歩で訪れるようにしたい。八大龍王堂を見ながら少し坂道を歩いたところにある「是より三三三段」と刻まれた石碑。ここからは少し覚悟が必要になる。本堂のある境内へたどり着くためには、333段ある古い石段をひたすら踏みしめ、上っていかなければならないのだ。
空海の心を動かした機織りの娘の信仰心
切幡寺には「女人即身成仏の伝説」がある。弘仁年間に修行でこの地を訪れた空海が「ほころびた僧衣をつくろいたい」と機織りの娘に継ぎ布を所望したところ、惜しげもなく織りかけの布を切り裂いて差し出したという。その行為に心打たれた空海が、望みを聞いたところ、娘は「亡き父母の供養に千手観音菩薩像を彫ってください。私も仏門に入りたいのです」と答えた。そこで空海は千手観音菩薩像を刻んで娘を得度(とくど)させ、灌頂(かんじょう)を授けたところ、七色の光明を放って千手観音菩薩の姿となった。この出来事を嵯峨天皇に奉請(ほうせい)したところ、勅願(ちょくがん)によって堂宇(どうう)が建立されたという。本尊は2体の千手観音菩薩像で、本堂に空海が刻んだものを南向き、奥殿に娘が化身したものを北向きに安置しており、後者は開基以来の秘仏とされている。
「はたきり観音像」と「切幡寺大塔」も忘れずに
本尊の1体である機織りの娘が化身した千手観音像は秘仏だが、大師堂の奥に建立された「はたきり観音像」に面影を見ることができる。慈愛に満ちた表情、右手に裁ちバサミ、左手に布地を持つ姿は、ほかの寺院では見ることができない独特なものだ。また、本堂の左手にある石段を上っていくと不動堂、さらに上ると国の重要文化財に指定されている「切幡寺大塔」に出る。これはもともと豊臣秀頼が1607年(慶長12)に、父である秀吉の菩提を弔うため、大坂住吉大社の神宮寺の西塔として寄進したもの。明治維新の折、廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)により、神宮寺が廃寺となったことから、切幡寺の第45世住職、天佑上人(てんゆうしょうにん)が買い取り、1874年(明治7)から10年かけて移築したという。大変貴重な建築物であり、一見の価値がある。
スポット詳細
- 住所
- 徳島県阿波市市場町切幡字観音129 地図
- エリア
- 脇町エリア
- 電話番号
- 0883363010
- 時間
- 7:00-17:00
- 休業日
- 無休
- 駐車場
- なし
- クレジットカード
- 不可
- 電子マネー/スマートフォン決済
- 不可
- Wi-Fi
- なし
- コンセント口
- なし
- 喫煙
- 可
情報提供: ナビタイムジャパン
クチコミ
-
- 健脚な人は徒歩で、そうでない人はタクシーを利用して・・・
- なかなか立派な寺院でしたが、それ以前に、ここは最近の楽して訪れることが出来る遍路寺の中にあっては、異色の存在、名にしおう難所寺でした。つまり、参拝するのに高齢者にとってはかなりしんどい寺院です。本堂までだけでも300数十段の石段があり、大塔へ行くには更に数十段が・・・。後期高齢者の私達にとっては・・・本堂下までのチャータータクシーが無いと・・・とても無理!たった650円で往復、ほぼカバーして貰える...
-
- 切幡寺/徳島県阿波市[四国八十八箇所霊場第10番札所]はたきり観音の伝説が残る古刹
- 得度山灌頂院切幡寺(とくどざん かんじょういん...
-
- 杖無し橋を渡って境内へ
- 山門の駐車場に車を停め徒歩で進みました。途中「杖無し橋」を渡り木立の中の参道を進むと山腹の境内となりました。やや窮屈な境内ではありましたが、本堂と大師堂で参拝を終えると更に高い位置の大塔が目に入りました。大きな説明板が立ち、明治時代に移設された旨が紹介されていました。
TripAdvisorクチコミ評価
もっと見る