内子座

劇場

大正期に思いを馳せられる古きよき芝居小屋

大正時代から長きにわたり、娯楽の中心となって内子の人々を楽しませ続けてきた芝居小屋。現在でも多種多様に利用されており、催し物がない日には、桝席、回り舞台や奈落など劇場内部を見学できる。

商店街から少し入り込んだ住宅街に突如姿を現す様は、まるで大正時代の町に迷い込んだかのよう} 商店街から少し入り込んだ住宅街に突如姿を現す様は、まるで大正時代の町に迷い込んだかのよう

時代の変遷とともに転用や改変を繰り返し、復活した劇場

内子座は、内子町の中心部を通る本町通りから1本入った場所にある。八日市・護国の町並みにもほど近い。JR内子駅から歩いて10分ほど。車の場合は、松山自動車道内子・五十崎ICを下りてすぐ。1916年(大正5)に大正天皇の即位を記念して、芸術や芸能を愛してやまない商家の旦那衆によって建てられた。回り舞台、花道や桝席などを整えた本格的な芝居小屋で、歌舞伎や芝居が盛んに上演されていた。昭和20年代には映画館に改装され、昭和40年代には商工会館に改装されるなど、時代とともに転用され、部分的な改変が繰り返された。老朽化のため取り壊されそうになったが、町並み保存運動により、1983年(昭和58)から3年かけて改修。1985年(昭和60)に劇場として再出発を果たした。今では、町内外の芸術文化活動の拠点として活用され、催し物のない日には内部や舞台裏などを見学できる。2015年(平成27)に国の重要文化財に指定。2016年(平成28)には創建100周年を迎えた。

正面には木戸口があり、その上部にはいくつもの招き看板が掲げられている} 正面には木戸口があり、その上部にはいくつもの招き看板が掲げられている

日本の伝統的な客席でジャンルを問わず芸術文化を楽しめる

内子座に着くと、まずは建物の存在感に圧倒される。受付を済ませると、親切なスタッフが「自分のペースで自由に見学したいか、案内が必要か」と声をかけてくれるのもうれしい。劇場内に入れば、その内部もまた見事。レトロな木の風合いにモダンな照明がマッチし、どこか懐かしさを感じられる。2階の桟敷席を見上げると、旦那衆の店の名前が。今でいうスポンサー広告だ。舞台正面に向かって右側に見えるのが本家席。かつての株主優待席で、今でも公演によっては料金が高く設定されることも。その奥には桟敷席がある。中央の平席を方形に仕切っているのは、桝席だ。日本の伝統的な客席のことで、かつては桝単位で販売され、桝内に何人でも座ることができた。舞台全体が見える2階正面席は大向(おおむこう)。芝居好きが好んで選ぶ席であることから、「大向をうならせる」とは芝居が上出来のことをいう。1階と2階あわせて500-600人ほど収容できる内子座は、著名な師匠たちが舞台に上がることもあれば、地元の子どもたちが学芸会で舞台に立つことも。ジャズコンサート、講演会や結婚式など、多岐にわたって誰でも利用できる国の重要文化財なのだ。

客席は1階平席、本家席、桟敷席、2階大向、桟敷席と分かれている。1階は古材で復原したもので、2階は創建時のままだという} 客席は1階平席、本家席、桟敷席、2階大向、桟敷席と分かれている。1階は古材で復原したもので、2階は創建時のままだという

1階の桝席に腰を下ろして当時の賑わいに思いを馳せてみるのもよい} 1階の桝席に腰を下ろして当時の賑わいに思いを馳せてみるのもよい

2階正面席の大向。上には出資した店名の広告が書かれ、奥には資料室もある} 2階正面席の大向。上には出資した店名の広告が書かれ、奥には資料室もある

歌舞伎でおなじみの舞台機構を間近に見られる

内子座では、実際に花道を歩いたり、舞台に立ったりできる。歌舞伎劇場独特の舞台形式の花道は、舞台正面に向かって左側にある。手前には、「鳥屋」と呼ばれる花道の揚幕の内のたまりがあり、役者はわざと音を出して客席の注目を集め、花道を歩く。花道の七三の位置にある切穴は「すっぽん」と呼ばれ、花道の床下・奈落から役者、おもに幽霊や忍術使などの妖怪がせり上がってくるところだ。奈落から4人がかりの人力でおみこしを上げている。舞台中央の床を丸く切り抜いた直径8.2mの「回り舞台(まわりぶたい)」は、その部分を床下からろくろ仕掛けで回転させる舞台機構。主人公が舞台上にせり上がってくる「せり」は、すっぽんと同じ造りで、6人がかりでせり上げている。舞台の上には傘や法被が用意されているので、役者になりきって記念撮影してみよう。

回り舞台は場面転換などに用いられ、昔は人力で動かす仕掛けがあったが、現在はモーターを使用している} 回り舞台は場面転換などに用いられ、昔は人力で動かす仕掛けがあったが、現在はモーターを使用している

舞台から見る景色も堪能しよう。洋風小屋組(トラス工法)により、舞台から客席にかけての天井空間が広々としてて開放的。天井は「二重折上格天井(にじゅうおりあげごうてんじょう)」という神社仏閣などに用いられる格式の高いスタイルで、板の木目の向きを変えて表現された市松模様も美しく、いっそう華やかな風情を感じられる。

天井の照明や窓ガラスの一部は大正当時のものを使用している} 天井の照明や窓ガラスの一部は大正当時のものを使用している

華やかな表舞台からは想像できない「奈落」に下りることも

内子座では、現役の劇場では珍しく、奈落も見学できる。奈落とは、舞台や花道の床下の総称で、床下が真っ暗でまるで奈落(地獄)の底のようだというところから呼ばれているそう。舞台の左手奥にある入り口から階段を下りると、薄暗い地下に石積みの壁や柱に回り舞台とすっぽんの仕掛けが設置されているのが見える。1916年(大正5)に内子座が落成したとき、この奈落は人が立って歩けるようなものではなく簡易なもので、内子座の変遷によって内部の様相が変わっても奈落だけは未改修だったという。1994年(平成6)にようやく現在の奈落に改修された。華やかな舞台や客席と違って殺風景な場所だが、普通の劇場ではなかなか見られない場所なのでじっくりと見学したい。

奈落では「せり」や「すっぽん」のせり出しの仕掛けを間近に見られる} 奈落では「せり」や「すっぽん」のせり出しの仕掛けを間近に見られる

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スポット詳細

住所
愛媛県喜多郡内子町内子2102 map map 地図
エリア
内子エリア
電話番号
0893442840
時間
9:00-16:30
休業日
年末年始
料金
[入場料]大人400円、小・中学生200円
駐車場
あり(8台)
クレジットカード
可(VISA、MasterCard、JCB、AMEX、DISCOVER、Diners Club、NICOS、その他)
電子マネー/スマートフォン決済
可(PayPay、LINE Pay)
Wi-Fi
あり(内子町フリーWi-Fi)
コンセント口
なし
喫煙
不可
滞在目安時間
0-30分

情報提供: ナビタイムジャパン

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