常栄寺 雪舟庭

庭園

大内文化の傑作とされる雪舟作の枯山水の日本庭園

常栄寺にある雪舟庭は、水墨画で有名な雪舟が築庭したものと伝えられる日本庭園。園内には芝生の枯山水や池泉など、室町時代の庭の特徴を残した景観が広がる。茶堂で抹茶を飲みながら雪舟の世界観を楽しもう。

雪舟庭では四季折々の景観を楽しめる。庭園内には撮影スポットも満載だ} 雪舟庭では四季折々の景観を楽しめる。庭園内には撮影スポットも満載だ

室町時代の天才アーティストだった雪舟

室町時代に活躍した水墨画家で禅僧でもある雪舟。備中国の赤浜(現在の岡山県総社市)に生まれ、生家は武家だったが、当時は禅僧が学問・文芸の分野を担っていたため、幼くして近くの宝福寺に修行に入った。このとき、絵ばかり描いていることを和尚に咎められ、柱に縄で縛りつけられた。夕方、和尚が戻ってみると雪舟の足元にネズミがいる。驚いて追い払おうとしても動かず、よく見るとそれは雪舟が自分の足を使い涙で描いたものだった、という伝説は有名だ。10歳頃に京都の相国寺へ移り、禅の修行を積みながら絵を学んだ。そして1454年(享徳3)頃、文化に造詣の深い周防大名の大内教弘の庇護を受け、すでに京をしのぐ華やかな大内文化が花開いていた周防国に移住、現在の山口市天花に画室雲谷庵を構えた。その後、大内教弘の息子、政弘に、別邸跡に創建した妙喜寺(現在の常栄寺)の庭園造りを依頼され、寺の北側の後庭に造営したのが「雪舟庭(せっしゅうてい)」だ。

本堂の前方に芝生の枯山水が、その奥に池泉が見える。また本堂から見て左手に迎月亭跡が、右手には書院跡がある} 本堂の前方に芝生の枯山水が、その奥に池泉が見える。また本堂から見て左手に迎月亭跡が、右手には書院跡がある

明にわたり学んだ雪舟が残した最高傑作

雪舟庭は「常栄寺庭園」として国の史跡・名勝にも指定されている。完成は今から約500年前の室町中期。枯山水を用いた池泉回遊式庭園で、約900坪(約3000平方メートル)の広さを誇り、東西北の三方が山林、南側の中央に無染池(心字池)を配し、東北には枯滝(元は水が流れていたとされる)が設けられている。滝の立派な石組みには室町時代の庭園らしさがある。その周囲に庭石を配置しているが、この石材は近くの山から運搬した輝岩といわれる。その立石の手法も室町時代の庭園の特徴だ。池の中には四仙島と名づけられた四つの島が浮かぶ。東池畔には霊象石と投形石を組み合わせた仏石と呼ばれる大石、西北側には十六羅漢と呼ばれる岩組と坐禅石、本堂正面の南方中央には富嶽(富士山)と称する石を置き、その前方に終南山、五台山、廬山、華山、衡山、百丈山など中国の三山五嶽になぞらえた石組みがある。大内義弘が雪舟を周防に招聘したのは、豊かな文化をもつ明に渡海させ、学ばせて帰すためだった。実際、1467年(応仁元)には遣明船に同乗し明に渡り、1469年(文明元)に帰国し、西国各地に雪舟庭園を作庭した。これはその代表作だ。

常栄寺では要予約で坐禅体験や写経体験もできる。料金はどちらも1000円} 常栄寺では要予約で坐禅体験や写経体験もできる。料金はどちらも1000円

常栄寺の中門には僧が修行を行う専門道場がある} 常栄寺の中門には僧が修行を行う専門道場がある

3つの視点から雪舟庭の景観を堪能する

庭園内には遊歩道が設けられ、さまざまな方向から趣の異なる景観を楽しむことができる。ぜひ眺めておきたい視点は3つ。1つ目は本堂から。ここからは本堂と池泉の間に広がる芝生の枯山水を眺めることができる。2つ目が本堂から見て左手、池泉に突き出た出島状の芝生の辺りから。池泉とその奥には石で滝を表現する枯滝石組があり、そのすぐ前には滝を上ろうとする鯉を表現した鯉魚石(りぎょせき)がある。3つ目が本堂から見て右手、書院跡付近から。池泉と楼閣があったとされる景観を一望できる。

雪舟が渡った海をイメージした昭和の枯山水庭園

常栄寺の境内には昭和期の日本の作庭家、重森三玲(みれい)による枯山水庭園「南溟庭(なんめいてい)」もある。雪舟が中国へ往復した際の海をイメージし、白砂と苔の築山で構成されている庭園だ。X字状に配置された石は有機的に線で結ばれるように工夫されている。また、この南溟庭については「雪舟より良い庭を作られては困る。恥をかくような下手な庭を作ってもらいたい」と依頼されてしまい、重森は大いに困惑したという。このエピソードを頭に入れて、雪舟庭と南溟庭を見比べてみるのもおもしろい。

南溟庭にはどことなくモダンな雰囲気が漂う} 南溟庭にはどことなくモダンな雰囲気が漂う

常栄寺に来た際は、少し歩くが山道を上って毘沙門堂にも行っておきたい} 常栄寺に来た際は、少し歩くが山道を上って毘沙門堂にも行っておきたい

スポット詳細

住所
山口県山口市宮野下2001-1 map map 地図
電話番号
0839222272
時間
[4-10月]8:00-17:00
[11-3月]8:00-16:30
休業日
年中無休
料金
[入場料]大人300円、学生(高・中)200円、小学生以下無料
駐車場
あり(30台)
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
喫煙
滞在目安時間
0-30分
車椅子での入店
乳幼児の入店
ペットの入店
可(本堂等建物の中では必ず抱っこしてください。)
雨の日でも楽しめる
はい

情報提供: ナビタイムジャパン

クチコミ

  • わび・さび 山登り
    3.0 投稿日 : 2021.05.27
    入場料は300円です。お寺内の拝観、庭の枯山水、そして毘沙門堂までの山道を登って行きます。思っているより距離があります。
  • 毘沙門天行くべし
    4.0 投稿日 : 2020.12.07
    湯田温泉駅から7kmくらいレンタルサイクルで行きました入館料300円受付の女性がとても感じが良かったです 期待のお庭は京都の竜安寺を彷彿建物も、木造の古めかしさが素晴らしいですお庭に降りて、少々山を登って行くと毘沙門天がいらっしゃいます道中の崩れかけた階段は疲れますが貸切のお堂は贅沢でした
  • 趣ある広い庭と閑静な林の中のお堂
    4.0 投稿日 : 2020.08.24
    立派な本堂、そしてその山側に広い雪舟庭園があり、ぐるりと周る道がある。それぞれのポイントによって、受ける印象や趣きが異なるので、非常に興味深かった。また、雪舟庭園から奥の林の中に登る道があり、いくつかの小さいお堂が建っていた。これも、歴史と神聖さを感じさせられた。

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アクセス

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最寄り

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