サロベツ湿原
平地に広がる珍しい高層湿原で、のんびり自然観察を
海岸線を走り抜け、サロベツ原野に向かおう
稚内から小樽に向けて日本海沿いに延びる「オロロンライン」はツーリングのメッカ。空と海と草原が続く開放感あふれるこの道を、稚内から南へ向かって進むとサロベツ原野に突入する。稚内市・豊富町・幌延町の3市町にまたがるサロベツ原野は、東西に5~8㎞、南北に約27㎞の広さだ。1万年ほど前まで、ここは海につながる広大な湖だった。約4000年前から海岸側で砂丘が発達し、海と遮断されサロベツ湿原が誕生した。サロベツ湿原は、湿原の形態が最も発達した「高層湿原」である。
発達した高層湿原の貴重な自然を見学
植物は枯れると分解されて土にかえるが、低温で湿度が高い場所では分解が起こらない。すると枯れた植物は泥炭となって蓄積し、湿原へと変化する。泥炭の蓄積具合で低層から中層と発展し、地表が周囲の地下水位よりも高くなると「高層湿原」と呼ばれるようになる。泥炭は1年にわずか1㎜しか堆積せず、高層湿原になるまでには気の遠くなるような長い年月が必要だ。また山岳地帯でよくみられる高層湿原が、平地で発達している点でもサロベツ湿原は珍しい場所。高層湿原には養分の豊富な地下水が届かず、表面のミズゴケで雨や霧から水分を補給するしかない。過酷な環境で育った貴重な花々をここでは観察しよう。湿原内の動植物は、採取厳禁だ。
見学前に、サロベツ湿原センターに立ち寄って
サロベツ湿原センターには「人と自然の共生」をテーマにした展示がある。訪れたシーズンに観察できる動植物が紹介されているので、先に立ち寄って予習をしてから湿原へ向かおう。またサロベツ湿原では、6000年もの時間をかけてようやく積もった泥炭を燃料として使っていた歴史がある。併設の「泥炭産業館」では、当時、採掘を行った機器が展示されていて見ごたえがある。湿原から泥炭を採掘にする際に用いられた浚渫船(しゅんせつせん)は、湿原内で屋外展示されている。
虫よけ&長袖、長ズボンの完全防備で見学を
サロベツ湿原の木道では春から秋にかけて100種以上の花が咲き、オオヒシクイやコハクチョウといった渡り鳥が飛来する。湿原の保存に関する国際条約のラムサール条約の指定地だ。整備された木道以外は決して歩かず、自然のなかに自分たちが「お邪魔している」という気持ちを忘れずに見学しよう。湿原センターから延びる木道には2つのルートがあり、外周約1㎞は30~40分、内周800mは20~30分でそれぞれ1周でき、車いすやベビーカーでも利用可能だ。手つかずの自然なので、時期によっては草木が生い茂り、虫が多く飛んでいる。虫よけをしたうえで長袖、長ズボンで見学しよう。
スポット詳細
情報提供: ナビタイムジャパン