市川市動植物園

動物園のアイドルはこのレッサーパンダ

梨畑のなかにある動物園

全国的にも有名な市川の梨。市の北部にはたくさんの梨畑があるが、市川市動植物園は梨畑の広がる土地の一角にある。2023年(令和5)9月末現在、哺乳類25種234点、鳥類15種51点、爬虫類4種49点、合計44種類の動物が飼育されており、小規模な動物園ながら、貴重なレッサーパンダやオランウータンのいる動物園として知られている。また塩ビパイプで作られた細長い水遊び場にいるコツメカワウソが「流しカワウソ」と呼ばれるようになると評判になり、来園者が増えたことがニュースに取り上げられた。ニホンザルの暮らすサル山のほか、小さなマーモセットやテナガザルなど、サルの種類が多いのも特徴で、動物を間近で見ることができる「なかよし広場」や「ミニ鉄道」など子ども向けの施設もあるので、家族で訪れるにも良いスポットだ。

寒いのが苦手なミーアキャットはライトの下に集合

のんびり歩いてまわるのにちょうどいい広さ

入場ゲートをくぐると2つの建物があり、左は1階が管理事務所で上階は自然博物館、その奥が売店とフードコーナーもある無料の休憩所。動物園はその間の階段かスロープを上っていく(事務所内のエレベーターも利用可)。オランウータンとレッサーパンダ、ミニ鉄道があるエリアだけちょっと離れているが(レッサーパンダは入り口の近くにもいる)、敷地はさほど広くないのでどこから見学してもいいだろう。階段を上ってすぐ目の前は、体育館ほどの大きなケージの中で鳥たちが暮らす「フライングケージ」、右手にはカピバラやアルパカ、大きな牛などがいる「家畜舎」、その右隣にはモルモットやウサギ、ヤギなどがいる「なかよし広場」だ。また、レストハウス3階の「なかよしルーム」では、マイクロブタとふれあえる。

家畜舎のひとつにいるカピバラ

「なかよしルーム」で合えるマイクロブタ

「流しカワウソ」は小獣舎のゾーンに

家畜舎の隣には最初のレッサーパンダの展示。この動物園のレッサーパンダは市川市と友好都市関係にある中国四川省楽山市から1986年(昭和61)に寄贈された2頭のつがいから飼育がスタートし、その後繁殖を重ねて頭数が増えている。最初の展示スペースにいるレッサーパンダは1頭で、ほかのレッサーパンダはミニ鉄道が走るゾーンにいる。

流しカワウソのプール。いつもプールにいるわけではないので流れるところが見られるかは運次第

その先に延びる展示ゾーンは向かって右側が小獣舎、左側がサル舎。小獣舎にはヤマアラシ、タヌキ、ミーアキャットなどがいて、コツメカワウソはいちばん奥。サル舎は珍しい小型のマーモセット類からシロテテナガザルまで幅広い種類が飼育されている。サル山があるのはこの手前。50頭近くのニホンザルが飼育されており、その姿はずっと見ていても飽きない。

ずっと眺めていられるサル山のサルたち

オランウータンに会いに

サル山の前を通って坂を下っていくと、オランウータンとレッサーパンダのいるゾーン。ここにはミニ鉄道や遊具の備えられた広場があり、子連れのファミリーにおすすめの場所だ。レッサーパンダのケージは手前に並んでいて、オランウータンの飼育スペースはいちばん奥。1992年(平成4)に市川市の姉妹都市であるインドネシアのメダン市より寄贈されたカップルで、この動物園で3頭の子どもが生まれている。国内でも数少ないスマトラオランウータンが飼育されていて、ケージだけではなくオープンスペースでも彼らの様子を観察できる。
そのほか入り口のゲートを入ってすぐのところにある建物内の市川市自然博物館は、小さいながらなかなか充実した展示が人気だ。ところでここは「動植物園」という名前だが、植物園は動物園の外にある。場所はゲートを出て左。森のなかの道を進んでいくと細長い湿地を囲むように森があり、遊歩道が造られている。この一帯が大町公園で、そこにもみじ山や自然観察園、バラ園、観賞植物園がある。温室がある観賞植物園を含め、ここにある施設はすべて無料で入場できる。

子どもたちに大人気のミニ鉄道

オスの「イーバン」は動物園にいる3頭家族のお父さん