牛匠しらいし

らせん階段状に部位ごとの肉が並ぶ、圧巻のセットメニュー「鹿野山極み盛」(4人前)

かずさ和牛は上質な霜降り肉

かずさ和牛は平成に入ってから半世紀の間、千葉県の生産者が但馬牛などのブランド和牛を掛け合わせ、こだわりをもって育て上げた黒毛和種。育成には地元産の安全な飼料を使い、殺菌効果の高いヨードを豊富に含んだ水を与え、30か月かけて長期の肥育を行い、いっさいの手間を惜しまない。そのような愛情をかけながら現在、60軒ほどの畜産農家がかずさ和牛を生産している。ストレスなくのびのび育った「かずさ和牛」の持ち味は、なんといっても脂だ。霜降り肉といえば、しつこいと感じる人もいるだろうが、口に入れたとたん甘みが広がるかずさ和牛は、脂質の融点が低くあっさり食べられることで評判になった。うまみがたっぷりありながら飽きのこない脂は、霜降り肉が大好きな人なら無限に食べることができるだろう。

どの部位にも脂のうまみを感じられる

かずさ和牛を中心に特選和牛がいろいろ食べられる食事処

黒い壁にシンプルな看板がモダンな印象の店構え。ここが焼肉屋さん？と思いつつ暖簾をくぐると、木のぬくもりのある玄関が出迎えてくれる。聞けば、もとは和牛問屋の倉庫だったところを改築したとのこと。また、玄関脇にかけられた印象的な看板は、千葉県の形にも似た一枚板で、自然の流木をそのまま利用したものだという。中に入ると店内は広く、天井も高い。テーブル席、カウンター席、個室や掘りごたつ席などさまざまな部屋が用意され、高級感がありながらのんびり時間を過ごせそうな居心地のいい店内。どんなシーンにも使えそうだ。

入り口はモダンでクールな印象

個室も多く、ゆったりと食事ができる

ぜひ試したいお値打ちの炭火焼セット

「牛匠しらいし」の炭火焼で使われる牛肉は、かずさ和牛を中心としたA5ランクの肉だ。「牛匠しらいし」では牛を丸ごと一頭買いしているので、ふだんあまりお目にかかれない希少部位もA5ランク。初めてかずさ和牛を食べる人にはまず「かずさ和牛一頭まるごと鹿野山極み盛」がおすすめだ。カルビやヒレなど人気の13種類が、社長自ら作ったらせん階段状の肉置き台に置かれて目の前に運ばれてくる。セットは4人前12000円。高額に思えるかもしれないが、1人3000円で13種類の肉を食べられると思えばかなりリーズナブルといえるだろう。揉みタレに浸かっている肉はなく、どの部位もシンプルに塩とコショウのみで提供される。網の上に載せたら何度も返さず、外はカリっと、中はレアに焼き上げるのがおいしく食べるコツだという。当然ながら焼き過ぎにも要注意だ。焼き上がるとまず、「牛匠しらいし」厳選の五島列島・伊豆大島の自然海塩と黒コショウで食べてみる。脂のうまみが口いっぱいに広がり、肉本来の香ばしい香りが鼻に抜けた。かずさ和牛はどの部位もやわらかく、それぞれの持ち味が生きたうまみあふれる肉だった。

細かい霜降りのザブトンはほかの部位よりやわらかさが際立つ

シズル感たっぷりの中落ちカルビ。嚙むほどに濃いうまみを味わえる

「鹿野山極み盛」は一度にこれだけたくさんの種類の肉を食べ比べることができる

「かずさ和牛工房」でおいしい肉と総菜を買って帰ろう

「鹿野山極み盛」のほかにも、カイノミやシンシンなど、厳選希少部位が堪能できる「かずさ和牛希少部位5種盛り合わせ」5600円など、肉好きならぜひ挑戦したいセットも用意され、一緒にオーダーできる。ご飯は地元君津産のコシヒカリを使用、野菜は千葉県産、日本酒も地酒を提供し、生産者の顔が見える食材を使うことをモットーに、地産地消でまかなっている。店舗脇にはかずさ和牛のほか、特選和牛肉や厳選された千葉県産の豚肉など極上肉を販売する「かずさ和牛工房」があり、ここでは自家製のハンバーグやコロッケ、メンチも購入できる。これら昔ながらの総菜はすべて厳選された食材を使った手作りで、作り置きをせずその日のうちに売り切る姿勢も好ましい。

和牛専門店ならではの自家製の肉総菜は地元の人たちにも人気