鎌倉市川喜多映画記念館

映画館

日本の映画界に貢献した川喜多夫妻の旧宅跡に建てられた記念館

日本映画を世界に、世界の映画を日本に紹介してきた川喜多長政・かしこ夫妻の功績を紹介する常設展示と、年に4回の企画展示に加え、テーマに沿った映画上映やワークショップなどを開催。

2010年(平成22)、記念館は小町通りから1本入った住宅街の一角に開館} 2010年(平成22)、記念館は小町通りから1本入った住宅街の一角に開館

気軽に映画の世界を知り、楽しむことのできる施設

日本映画界で川喜多長政・かしこ夫妻を知らない者はいないだろう。川喜多長政氏は「東和商事」を設立し、1930年(昭和5)代からヨーロッパの名作映画を日本に輸入配給した。戦後は日本映画を世界に広め、映画を通じた国際交流に貢献している。また、国際映画祭の審査員を何度も務め「日本映画界の母」として慕われたかしこ氏は、長政氏の死後、「川喜多記念映画文化財団」を創設。娘の和子氏も日本国内に多くの海外作品を配給した。

川喜多夫妻が海外の映画祭に赴いたときに使ったトランクやパスポートの展示も} 川喜多夫妻が海外の映画祭に赴いたときに使ったトランクやパスポートの展示も

鎌倉・小町通りの先を1本入ると嘘のように喧騒が消え、川喜多長政・かしこ夫妻の旧邸宅跡に建てられた数寄屋造りをイメージした平屋の鎌倉市川喜多映画記念館が現れる。まるで古都鎌倉に住む名士の邸宅のような趣だ。聞けば板塀も昔のまま再現されたという。モダンにリニューアルされた館内に入り、受付でチケットを購入、左手の展示室へと進む。展示は年に何度かテーマが変わり、訪れた際は企画展「映画と音楽の素敵な出会い Part2」を開催していた。そのほかにも、小津安二郎や市川崑など映画監督にスポットを当てた企画、活動弁士を招いたイベントの開催、鎌倉と映画のかかわりの紹介など、さまざまな視点からテーマを掘り下げた展示を行う。また、常設展では川喜多夫妻の足跡や、ゆかりの品を見ることもできる。

世界の名だたる監督や俳優と夫妻とのスナップ写真の数々} 世界の名だたる監督や俳優と夫妻とのスナップ写真の数々

レトロな映像資料室でぜいたくな時間を過ごそう

企画展示のテーマに沿った映画を上映するのは、座席数51席の映像資料室。世界各国の古典映画から今の時代の作品までジャンル問わず上映しており、厳選された珠玉の作品を堪能することができる。映画を映し出す映写室も特別だ。至高のイタリア映画『ニュー・シネマ・パラダイス』や2018年(平成30)に公開された邦画『今夜、ロマンス劇場で』にも映写室が登場する場面があるが、この記念館の映写室はまさにそんな古き良き時代の映写室そのもの。主流のデジタルシネマの上映はもちろん、映写技師が映写機を取り扱う数少ないフィルム映画の上映も行う。そのほか、館内には映画に関する書籍や雑誌を自由に閲覧できる情報資料室もあり、映画のことを幅広く知ることができる。

真っ赤な椅子席が印象的な映像資料室。トークイベントが開催されることもある} 真っ赤な椅子席が印象的な映像資料室。トークイベントが開催されることもある

2基あるのはドイツ・キノトン社製35/16mm兼用映写機} 2基あるのはドイツ・キノトン社製35/16mm兼用映写機

記念館の隣にある旧川喜多別邸(旧和辻邸)

「旧川喜多別邸(旧和辻邸)」は、もとは江戸時代の古民家を哲学者の故和辻哲郎氏が相模の大山の麓から移築し、住まいとして都内で使用していたものを川喜多夫妻が購入した。1961年(昭和36)、夫妻はこれを邸宅の隣の敷地内に移し入れたあと別邸とし、数多くの映画人を招いている。そのなかには映画監督のフランソワ・トリュフォーやヴィム・ヴェンダース、俳優のアラン・ドロンやマリー・ラフォレなど、著名な映画人も多い。小津安二郎を敬愛していたヴィム・ヴェンダースはこの別邸で自身の映画『東京画』のひとコマとして、小津の代表作『東京物語』をはじめとして、多くの小津映画に出演した笠智衆氏のインタビューを行っている。

邸宅内では伝統工芸展などが催されることもある} 邸宅内では伝統工芸展などが催されることもある

一年に春と秋の2回、一般公開される旧喜多川邸(旧和辻邸)

「旧川喜多邸別邸(旧和辻邸)」は、2010年(平成22)に鎌倉市景観重要建造物にも指定された地域を代表する建築物のひとつだ。小高い山を借景に、高台に立つ桟瓦葺き屋根の木造平屋建ての建物は見る者を魅了する。古い建造物でありながら、屋内の掃除も行き届き、当時の生活の様子がありありと目に浮かぶ。通常は公開されていないが、春と秋に一度ずつ公開されるので日程があえばぜひ訪ねてみたい。上を仰げば勾配天井を組み込んだ「化粧屋根裏天井」があり、家屋を支える内部の太い梁や柱には民家独特の味わいが感じられる。川喜多夫妻はこのふだん使いの日本家屋こそ海外の映画人に見てもらいたいと思ったのだろう。鎌倉市に寄贈された本邸と別邸は、ともに映画文化の発展のために母屋を記念館に、別邸は以前の姿のままに、これからも川喜多夫妻の業績とともに後世に伝えられていくことだろう。

別邸の居間。畳の上に置かれたテーブルセットは海外の客人をもてなすためのもの。隅には炉が切られている} 別邸の居間。畳の上に置かれたテーブルセットは海外の客人をもてなすためのもの。隅には炉が切られている

別邸の落ち着いた部屋は和辻哲郎が書斎として使っていたところ。川喜多夫妻がこの部屋でくつろいでいる写真も残っている} 別邸の落ち着いた部屋は和辻哲郎が書斎として使っていたところ。川喜多夫妻がこの部屋でくつろいでいる写真も残っている

スポット詳細

住所
神奈川県鎌倉市雪ノ下2-2-12 map map 地図
エリア
鎌倉エリア
電話番号
0467232500
時間
9:00-17:00(最終入館16:30)
※状況により変更する場合がございます。
休業日
月(休日の場合は翌平日)、年末年始、展示替期間
料金
[通常展観覧料]一般200円、小・中学生100円
[特別展観覧料]一般400円、小・中学生200円
※鎌倉市民は展示観覧料は無料(要証明書)
※団体20名以上など割引有(詳細はお問合せください)
[通常上映映画観賞券]一般1,000円、小・中学生500円
[特別上映映画観賞券]一般1,600円、小・中学生800円
駐車場
なし
クレジットカード
不可
電子マネー/スマートフォン決済
不可
Wi-Fi
あり(kamakura free Wi-Fi)
コンセント口
なし
喫煙
不可
滞在目安時間
30-60分
車椅子での入店
乳幼児の入店
雨の日でも楽しめる
はい

情報提供: ナビタイムジャパン

このスポットを紹介している記事

クチコミ

  • 映画文化の記念館
    4.0 投稿日 : 2019.10.17
    鎌倉散策中、鶴岡八幡宮から横須賀線へ抜ける道沿いにありました。月曜日に行ったところ休館日でした。毎週月曜日が休館日で開館は9時から17時です。説明板があり、映画文化の発展に貢献した川喜多長政・かしこ夫妻の旧邸跡で、映画資料を公開しているそうで、きれいな庭園もあり落着いた雰囲気がありそうです。
  • 鎌倉の映画文化に触れられる穴場
    4.0 投稿日 : 2018.06.08
    日本映画の資料館であり、昔の日本映画のポスターやトップスターの写真が飾られています。海外を含む映画の配給事業で大きな富を生み出すことに成功し、数多くのトップスターや名監督との華やかな交流を垣間見ることができます。奥には資料や図書を置いたスペースがあり、ゆっくり読むことができます。庭のアジサイもキレイでした。
  • ここは夢の国への入り口でしょうか
    5.0 投稿日 : 2018.03.20
    3月19日に訪問ひときわ長い塀が目を引く大豪邸です。その敷地に映画記念館と本宅が有ります。本宅は練馬にあった江戸時代の建物だそうで和辻哲郎が住んでいたものを移築したとか。なかなかのお道楽者ですね。川喜多氏も北京大学やらドイツ留学やらと凄いお金持ち人生ですね。飲まず食わずの無教育の庶民がほとんどの時代に別世界で生きていたからこその洋画の配給なんだと言うことが理解できました。と言うより...

TripAdvisorクチコミ評価

もっと見る

アクセス

map map 地図

最寄り

          周辺の駅はありません。 周辺のバス停はありません。 周辺の駐車場はありません。 周辺のインターチェンジはありません。

          このスポットを共有

          back

          クリップボードにコピーしました