大分

国東半島周辺

AROUND KUNISAKI PENINSULA

火山活動が生み出した独特な地形と奇勝が見られる九州の秘境。史跡巡りにもおすすめ

大分県北東部に位置し、別府湾、伊予灘、瀬戸内海、周防灘に囲まれた、火山によってできた半島である国東半島。瀬戸内海気候で年間を通じて温暖で雨も少なく、ミカン栽培が盛ん。国東半島の中心にそびえ立つ両子山(ふたごさん・ふたごやま)のふもとには、「六郷満山」と呼ばれる山岳宗教文化が栄え、神と仏とが共存する神合習合文化が生まれた歴史があり、パワースポットとして人気がある。豊後高田市にある富貴寺は九州最古の木造建築で、日本三大阿弥陀堂のひとつである「大堂」は国宝に指定され、六郷山の最盛期をしのばせる数少ない遺物として歴史的価値も高い。このほかにも木造阿弥陀如来挫像や大道堂壁画など歴史を感じさせる見どころが多数存在する。一方、商店街の元気を復活させる取り組みも行われ、懐かしい昭和を再現する昭和のテーマパークなど本当にタイムスリップしたかのような気持ちにさせてくれる場所もあり、見どころにあふれるエリアだ。

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エリアの見どころ

  • spot 01
    豊後高田「昭和の町」
    懐かしさと温かみにあふれる、ノスタルジックな町
    商店街が活気に満ちていた昭和30年代。古き良き時代の商店街を再生し懐かしい雰囲気に浸らせてくれるのが、豊後高田「昭和の町」である。1歩足を踏み入れれば、昭和時代にタイムスリップ。童心に帰って楽しもう。
    昭和を象徴するようなアイテムが集う商店街だ
  • spot 02
    富貴寺
    九州最古の木造建築で国宝の「大堂」は一見の価値あり
    日本三大阿弥陀(あみだ)のひとつである大堂を擁する富貴寺。平安時代から続く長い歴史をもつ寺は、九州では珍しい。大堂の中には、国の重要文化財に指定される仏像や貴重な壁画も。わざわざ足を運ぶ価値の十分にあるスポットだ。
    大堂(阿弥陀堂)は平安後期の作とされる貴重な建造物で、1952年(昭和27)、国宝に指定された
  • spot 03
    カフェ&バー ブルヴァール (昭和の町)
    揚げパンにソフト麺! 懐かしの学校給食を味わえる店
    時代の流れとともに、すっかり寂しくなっていた豊後高田の商店街。そんな商店街に再び活気を! と立ち上げられたのが「昭和の町」だ。昭和30年代が再現された街並みを歩くと、まるで古き良き時代へタイムスリップしたかのような気分を味わえる。そんな懐かしさいっぱいの新町通り商店街の一角にあるのが「カフェ&バー ブルヴァール」。大きなカフェ・バーの文字が印象に残るレトロな外観が目をひく。店内の雰囲気もまさに昭和の喫茶店で、思わずゆっくりくつろいでしまう。そんなお店の最大の魅力は、昭和の学校給食を再現したメニューだ。ソフト麺に揚げパン、瓶入りの牛乳に鯨の竜田揚げといった懐かしのメニューを味わえる。アルマイト製の食器やトレーも気分をぐっと盛り上げてくれる。こだわりのメニューは全15種類。外はサクサク中はしっとりの揚げパンが人気だ。テイクアウトもOKなので、町歩きで小腹が空いた際のおやつにもぴったり。
    ボリュームたっぷりナポリタン(1430円)
  • spot 04
    熊野磨崖仏
    周囲の自然に溶け込むように鎮座する国内最大級の磨崖仏
    11世紀頃(平安時代後期)の作といわれる約6.7mの大日如来と、12世紀頃(鎌倉時代前期)の作といわれる約8mの不動明王の磨崖仏(まがいぶつ)があり、国の重要文化財にも指定されている。熊野磨崖仏への入り口は、豊後高田市の田原山山麓にある今熊野山胎蔵寺(いまくまのさんたいぞうじ)。この寺の脇から急な山道を300mほど分け入ると、鳥居の先に、昔、鬼が一夜にして99段築いたと伝えられている石段が続く。自然の石を組み上げたやや険しい道のりなので歩きやすい靴で訪れよう。深い森のなかから突如として現れる磨崖仏に驚かされるが、周囲の自然に溶け込むように鎮座する大日如来と不動明王の堂々とした姿には、思わず手をあわせずにはいられない。約10年に一度行われる六郷満山(ろくごうまんざん)の伝統行事である峰入り(みねいり)の荒行は、この不動明王の前を出発点とし、護摩を焚いて行程150km、約10日間の行に入ることで知られる。磨崖仏から石段をさらに上ると熊野神社、下ると胎蔵寺があるので、体力があればあわせて参拝しよう。
    左手にやわらかな表情の不動明王と右手に引き締まった表情の大日如来が刻まれている
  • spot 05
    真木大堂
    国の重要文化財となっている貴重な仏像たちに出会える
    国東半島は、宇佐の八幡信仰と古代仏教とが融合した「神仏習合」が今も残る場所。平安時代から中世にかけて半島には、来縄(くなわ)、田染(たしぶ)、安岐(あき)、武蔵(むさし)、国東(くにさき)、伊美(いみ)の6つの郷が開け、山間には天台宗と結び付いた「65ヶ寺」ともいわれる数多くの寺院が造られた。これらは総称して六郷満山(ろくごうまんざん)と呼ばれ、独特な仏教文化として発展を遂げた。そんな六郷満山寺院最大の寺院であった伝乗寺(でんじょうじ)の故地として、真木大堂(まきおおどう)は今も多くの仏像を守り続けている。収蔵庫に収められている9体の仏像は、国の重要文化財にも指定されている貴重なものだ。本尊は、東西南北に邪鬼を制する四天王を従えた阿弥陀如来坐像で、藤原時代の作。その慈愛に満ちた表情は、拝むだけで心のざわつきがすっと静まるような気がするから不思議だ。旧本堂に安置されている木造仁王像は、石彫が圧倒的に多い国東半島にあっては極めて珍しい木造の仁王像で、こちらも必見。
    収蔵庫の拝観は有料(300円)だがマストで訪れたい
  • spot 06
    真玉海岸
    天然の干潟が生み出す幻想的な夕暮れのひととき
    真玉海岸は大分県で唯一、水平線に沈む夕陽を見られることで知られる絶景スポット。夕陽に照らされ辺り一面が真っ赤に染まり水面がキラキラと光輝く幻想的な景色は、息をのむ美しさだ。また、最干潮時にも海水が少し残り干潟のできる特異な地形は、夕陽を反射し黄金に輝く水面と遠浅の干潟が縞模様のように浮かび上がる独特な夕景を生み出し、これが非常にフォトジェニック。奇跡の瞬間をひと目見ようと、干潮と日の入りの時間が重なる天気のよい日には、特に多くの写真家や観光客が訪れる。この景観は、国の登録記念物(名勝地関係)に登録されたほか、「日本の夕陽百選おおいた遺産」にも「真玉海岸の夕陽」として選定されている。また、「夕陽の絶景スポット・真玉海岸」や「縁結びの神様・粟嶋社」「花とアートの岬・長崎鼻」などのロマンティックなスポットを結ぶ国道213号線の約20kmのルートは、恋が叶う道、すなわち「恋叶(こいかな)ロード」と呼ばれ、人気のドライブデートコースになっている。
    干潟と海水による縞模様を見たければ干潮時間をチェック
  • spot 07
    そば処 響
    香り高い豊後高田そばの味わいをダイレクトに楽しめる
    大分で蕎麦と聞いてもピンとこないかもしれないが、実は豊後高田市(ぶんごたかだし)は、そばの作付面積が西日本一を誇るそばどころ。春と秋の年2回栽培し、7月と11月の年2回新そばのシーズンがあるのが大きな特徴だ。特に、ざるそばの需要が高まる7月の暑い時期に新そばを味わえるのは、豊後高田そばならではの魅力だろう。市では「豊後高田そばを使用すること」「手打ちであること」などの条件を満たしたそば店を「手打ちそば認定店」としており、現在、市内に11店舗ある。そんな認定店の第1号でもある人気店が「そば処 響」だ。春と秋の豊後高田そばをブレンドした10割そばは、粉の挽き方から計算し尽くしたこだわりの逸品。いちばんのおすすめは、やはり「ざるそば」(1,000円)。やや辛口の福岡産醤油をベースにしたキリッとした味わいのタレが、そばの豊かな風味を引き立てる。温かいつけ汁でいただく「軍鶏南そば」(1,500円)も人気。一品料理やアルコールメニューも豊富なので、粋にそば屋酒を楽しむのもいいだろう。
    そばの栽培から手打ちまでが同じ土地で行われるため鮮度は抜群
  • spot 08
    両子寺
    巨大な石像仁王に守られた六郷満山を代表する古刹
    両子山(ふたごやま)の中腹に鎮座する、紅葉と子授けで有名な天台宗の寺院。県史跡にもなっている緑豊かな境内には、歴史的建造物や珍しい仏像、伝説が残る史跡などが点在しており散策が楽しい。
    子授け祈願の寺としても有名で毎月午の日が祈願日となっている
  • spot 09
    両子河原座
    四季を愛でながら香り豊かなそばを楽しむ食事処
    両子寺(ふたごじ)の参道入り口にある、そばが自慢の食事処。天井の高い開放的な店内には大きく窓がとられており、四季折々の風景を眺めながらゆったりと食事を楽しめる。地下40mから汲み上げた両子山系のおいしい湧水を使って打った香り高いそばは、コシが強くのどごしなめらか。人気メニューは、濃厚な鴨肉のうまみあふれる温かいつけ汁でいただく「鴨ねぎざる蕎麦」で、ネギやゴボウの香ばしさが食欲をそそる一品だ。お腹に余裕があれば、大分名物「とり天むす」もおすすめ。おむすびから豪快にはみ出した大ぶりなとり天が名物で、食べごたえは十分だ。平日のランチタイムにはお得なセットも登場するので、限定メニューも要チェック(11-12月上旬の紅葉シーズンは休止)。併設のショップでは地酒や銘菓など国東半島の名産品を販売しているので、お土産探しに立ち寄ってみよう。食事処でも使われている名水は、駐車場の隅に設置された水場から自由に汲んでOK。空いた水筒やペットボトルに詰めれば、散策中の水分補給にぴったりだ。
    「鴨ねぎざる蕎麦」(1400円)と「とり天むす」(1個200円)
  • spot 10
    道の駅 くにみ
    ドライブのご休憩に立ち寄りたい買い物&グルメスポット
    大分県国東半島先端部の海岸線に位置する道の駅。農産物直売所では、名物のタコやヒジキを使った加工品や、地元産の野菜や果物、弁当やお総菜など国東(くにさき)の特産品がずらりと並び、お土産探しにぴったりだ。併設の「レストラン嘉宴」はとれたて新鮮な海鮮が自慢。国東産のタコ飯セット(850円)やタコ唐揚げ(750円)が人気。レストラン一押しのメニューは、姫島産車エビのフライとタコ飯がセットになった「くにみ御膳(2200円)」。夏には海水浴やマリンスポーツを楽しめるくにみ海浜公園や、世界農業遺産にも認定されている国東の大自然を体感できるオートキャンプ場も隣接しているので、時間があれば立ち寄ってみよう。姫島や遠く四国などの島々を一望できる、風光明媚なスポットだ。
    爽やかな潮風が吹き抜ける気持ちのいい立地
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旅のヒント

  1. その1

    大分空港が国東半島の先端にあり、空の便で大都市圏とつながっている。海はフェリーが1日に5便就航、陸は広島市内からの直通高速バスがある。半島内には電車が通っておらず、路線バスも本数は乏しいが、名所を巡る定期観光バスは数社用意されている。空港、港、駅からはレンタカーやタクシーの利用がおすすめ。

  2. その2

    エリア最大の見どころ「富貴寺」には公共交通機関では行くことができない。車でアクセスし、無料の駐車場を利用しよう。豊後高田「昭和の町」から車で所要約15分。

  3. その3

    グルメの狙いは海産物。多くの飲食店で新鮮な刺身などを楽しめるほか、マダコのカマボコやワカメ、ヒジキなどはお土産としても人気がある。

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