愛媛

砥部

TOBE

江戸時代から続く歴史と伝統のある砥部焼の産地

県都松山を南下し重信川がある橋を渡ったところからが砥部町(とべちょう)である。砥部は丘陵性山地に挟まれた盆地の町であり、主産業は柑橘と落葉果樹(梅、柿など)の農業、そしてやや厚手で重みのある白磁に藍色で描かれた模様が特徴の砥部焼(とべやき)の産地だ。砥部焼は1777年(安永6)、杉野丈助らが磁器焼成に成功したことに始まる。原料の陶石が豊富にあったこと、水量の豊かな砥部川が段丘崖のため急流となり陶石を砕く水車が回りやすいこと、登り窯を築くのに適した山麓があること、窯の燃料の赤松が多く生えていたことに加え、大洲藩主加藤泰候が産業として力を入れたことによる。現在は約80軒の窯元があり、新しい砥部焼に挑戦する陶工も多く、個性の光る作品が生み出されている。また、とべ動物園や愛媛県総合運動公園などの施設があり、器巡りと合わせてぜひそれらも楽しみたい。

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エリアの見どころ

  • spot 01
    砥部焼伝統産業会館
    砥部焼界の歴史と現代が融合した町内唯一のスポット
    愛媛県が誇る伝統工芸品のひとつが砥部町を中心に製造されている陶磁器、砥部焼(とべやき)。その歴史、伝統、文化が一堂に会する砥部焼伝統産業会館は、砥部焼のことを深く知るうえでは欠かせない施設である。
    砥部焼を総合的に学べる場として1989年(平成元)に開館
  • spot 02
    砥部焼観光センター炎の里
    自分だけの器を作れる砥部焼絵付け体験
    砥部エリアのなかで「今の砥部焼」を知りたいならぜひ訪れてほしいのが砥部焼観光センター炎の里。絵付け体験や作陶風景の見学、ショッピングまで、砥部焼を多角的に楽しめる場所だ。
    県内外からの団体客も多く訪れる砥部屈指の観光スポット
  • spot 03
    梅山窯(梅野精陶所)
    老舗窯元を訪ねて砥部焼の器選びを堪能
    さまざまな窯元が立ち並ぶ砥部町のなかで押さえておきたいところといえば1882年(明治15)開窯の老舗、梅山窯(ばいざんがま)だ。敷地内には工場とそこに隣接した直売店のほか、古陶を展示した資料館と町指定有形文化財の大登り窯もあり、すべてを見学してまわることができる。現在の梅山窯の器は約5000種類のラインナップで、そのなかで砥部焼の代名詞ともいえる「唐草文様」は長年、圧倒的な人気を誇っている柄だ。器はどれも時間をかけてていねいに手作り、手描きされており、人の手で作っているからこそのちょっとした個体差にまた味わい深さを感じられるはずだ。昔から今までずっと変わらず「用と美」の両方を兼ね備えてきた梅山窯の器。自宅用に、または手土産として、ぜひ持ち帰りたい。
    ふだん使いにぴったりな実用性の高い日用食器が並ぶ
  • spot 04
    陶板の道
    壁面や通路に陶板が埋め込まれた眺望のいい散策路
    砥部で観光スポットや窯元巡りをするならぜひ寄り道したいのが陶板の道。砥部焼の長い歴史や豊かな自然にも触れることができる全長約500mのルートで、のんびり散策をするのにうってつけのコースだ。
    焼き物の里らしさを満喫できる気持ちのいい道
  • spot 05
    砥部焼聖火台モニュメント
    聖火台の炎をモチーフに制作された砥部焼のモニュメント
    陶板の道から歩いて約5分、砥部焼伝統産業会館の西側にある砥部焼聖火台モニュメント。焼き物で巨大な聖火台を作るという一家のストーリーを描いた2021年(令和3)公開の映画『未来へのかたち』の劇中に登場するこのモニュメントは約半年をかけて制作された、高さ約4m、直径約1mという巨大な作品。ここまでの大きさのモニュメントは砥部焼としては最大規模であり、砥部焼伝統産業会館に所蔵されている『染付山水絵大壺』の作者・白潟八洲彦(しらかたやすひこ)氏による成形技術を駆使しながら、全26軒の窯元が力を集結して制作に臨んだ。聖火台の絵付けは砥部焼界で注目を集める和将窯とヨシュア工房が行い、伝統的な藍色の呉須(ごす)を用いながら、斬新な絵柄で新しい砥部焼を表現している。映画の撮影後は元は駐車場であった場所に設置され、地元の人々や観光客の目を楽しませる新名所となっている。
    空に向かって立ち昇るような形状。記念撮影する人も多数
  • spot 06
    愛媛県立とべ動物園
    大人の好奇心も刺激する西日本最大規模の動物園
    西日本でも指折りの動物園として有名な愛媛県立とべ動物園。生息エリアや動物種ごとに分けた展示、園内にちりばめられたおもしろい仕掛けなど、あらゆる楽しみ方ができる、家族連れにも人気の観光スポットだ。
    瀬戸大橋をイメージした形の正面ゲート。年間来場者数は45万人を超える
  • spot 07
    衝上断層公園
    砥部の穏やかな自然のなかに地殻変動の歴史を垣間見られる公園
    砥部町の静かな自然のなかに、貴重な逆断層を見られるのが砥部衝上(しょうじょう)断層。断層周辺の約200mが親水公園として整備されており、自然を感じられる憩いの場としても最適なスポットだ。
    断層一帯が天然記念物に指定されている
  • spot 08
    とべもりジップライン
    空中滑走を満喫できる絶景アクティビティ
    とべもりジップラインは「えひめこどもの城」と「とべ動物園」を横断する総全長730mの滑走コース。空中に張られたワイヤーロープを時速40-50km/hの滑車ですべり降りるアウトドアアクティビティで、「えひめこどもの城」と「とべ動物園」それぞれを出発地点とした2つの往復コースがある。利用するには予約が必要で、事前にウェブサイトから利用者情報と利用規約の同意登録をすること。「えひめこどもの城」スタートコースで行く場合、当日は予約時間の1時間前までに児童館1階で受付を済ませよう。受付が終わったら600m先の「てっぺんとりで」まで徒歩で登り、ハーネスを装着したら、出発地点へと移動する。視界をさえぎるものが何もない絶景のなか、出発台のいちばん上まで上がり、「スリー、ツー、ワン、ゴー!」の掛け声でいよいよ空中滑走のスタート。標高約150mという高さから池や山々を見下ろし、全身に風と浮遊感を感じる高速滑走はスリルと爽快感満点!なお、往路と復路ではコースが異なるため、行きと帰りで違う景色を2度楽しめるのもうれしい点だ。森のなかで空を飛ぶという非日常の体験は、気分がスカッと晴れ、リフレッシュできること間違いなしだ。
    大空を飛んでいるかのように絶景を体感できる
  • spot 09
    砥部むかしのくらし館
    古きよき日本の暮らしや文化に触れられるミュージアム
    江戸時代から昭和にかけてのありとあらゆる生活用品を収蔵したミュージアム。見学するだけでなく実際に触れられたり、動かしたりできるものが多数あり、日本の文化や風習、暮らしの変遷を肌で感じることのできる場所だ。
    カイズカイブキと砥部焼の鶴の置物が出迎えてくれる
  • spot 10
    坂村真民記念館
    人々の心に寄り添う温かい詩に触れられる空間
    詩人・坂村真民(さかむらしんみん)が晩年を過ごした砥部町にある記念館。真民の森羅万象への愛と、人を想うやさしい詩の展示は、訪れる人の背中をそっと押してくれる。詩の世界観をじっくり味わえる空間も魅力的だ。
    自然豊かで静かな砥部町にたたずむ坂村真民記念館
  • spot 11
    ジュタロウ
    旬の素材のうまみを存分に味わえる大満足ランチ
    愛媛県と高知県を結ぶ国道33号線沿い。砥部焼観光センター「炎の里」に隣接しているのが、カフェ&レストランジュタロウだ。2004年(平成16)にオープンしたここは県内で瞬く間に話題になり、週末はもちろん平日のランチ-カフェタイムにも絶えず人が訪れる人気店。愛媛県内産の食材をベースに全国からそのとき旬なおいしいものを取り寄せて作る「Jutaroランチ」は、メインのおかずに小鉢、サラダ、味噌汁、ご飯、ミニデザートとドリンクまで付いたボリューム満点のセット。メインのおかずは肉か魚のどちらかから、ご飯は白米もしくはひじきご飯から、その日の気分によって選べるのもうれしい点だ(仕入れ状況によっても異なる)。料理はどれを口に運んでもていねいに作られていることがわかる、滋味深い味わい。オーナーシェフが関西の割烹などで長年学んだ和食の知識を手抜かりなく生かしており、さっぱりおいしく食べられると女性客を中心に支持を集めている。また、ここのもう1つの名物は季節の果物を使ったパフェやケーキなどのスイーツ。1月から12月を通して提供されているので、訪れた際にはそのシーズンごとの旬をぜひ味わってみてほしい。
    Jutaroランチ1650円。出汁を利かせたやさしい味で箸が進む
  • spot 12
    砥部焼ギャラリー紫音
    ふだん使いの器がそろう砥部焼のセレクトショップ
    砥部焼伝統産業会館前のバス停から歩いて約10分。民家や畑が立ち並ぶ細い道をくねくねと進み、陶里ヶ丘(とうりがおか)と呼ばれる大きな丘を登りきると、左手に見えてくるのが砥部焼ギャラリー紫音だ。広い店内にずらりと並ぶのは、砥部焼窯元による器の数々。ここにあるのはどれも日常使いがしやすく現代の食卓に似合うものばかりで、和洋中とあらゆる料理にあわせやすいのも特徴のひとつだ。現在は「ヨシュア工房」「森陶房」「すこし屋」など約10軒の人気窯元による砥部焼やガラス作家の作品なども取り扱っており、なかには大きさや厚みを細かく別注したギャラリー紫音オリジナルのちょっぴりレアなものも。それぞれの作家の個性がより濃く出ているものを中心に店主がセレクトしているので、ここに来ればおのずと各窯元のよりすぐりの器に出合うことができるはず。購入したものは配送(送料別途)も申し込めるので、身軽に観光を楽しみたい人はぜひ利用を。
    実際の食卓をイメージしながら選びやすいディスプレイ
  • spot 13
    カフェ&ギャラリー もえぎの
    食事も買い物も満喫できる砥部焼のカフェ兼ギャラリー
    砥部町の山あい、のどかな田園風景が広がり、鳥のさえずりが聞こえてくる川登(かわのぼり)地区。ここに2020年(令和2)、砥部焼の女流作家チーム「とべりて」メンバーの1人が開いたのがカフェ&ギャラリー もえぎのだ。メニューは週替わりのランチプレートやスペシャルカレー、パスタのほか、ケーキやかき氷(夏季限定)などのほかにはない手作りスイーツもそろう。カフェタイムになると、店内にある50種類のコーヒーまたはティーカップのなかから好みの器にいれてもらうことができるのもおもしろい。季節がよければ、豊かな自然をじかに感じられる店外のテラス席の利用もおすすめ。美しい景色を見ながらの食事は、五感が満たされること請け合いだ。また、食事を楽しんだあとは、隣のギャラリー兼ショップをのぞいてみよう。約20の窯元による砥部焼が多数展示販売され、なかにはもちろんカフェで使っている器も並ぶ。実際に食事で器を使ってから、気に入ったらそのまま購入できるのもここの醍醐味のひとつだ。
    手作りスイーツを盛り合わせたデザートプレート(880円)
  • spot 14
    下灘駅
    一度は降りてみたい。海沿いの小さな無人駅
    目の前に海が広がるJR予讃線の無人駅。風情あるたたずまいから、映画や青春18きっぷのポスターなどにもたびたび登場。その絶景をひと目見ようと多くの人が訪れている。
    上屋とベンチがあるだけのノスタルジックな無人駅
  • spot 15
    ふたみシーサイド公園「道の駅ふたみ」
    伊予灘に面したロケーションと美しい夕日が自慢の道の駅
    伊予灘に面したロケーションと美しい夕日が自慢の、ふたみシーサイド公園「道の駅ふたみ」。ドライブ中の立ち寄りスポットやデートスポットとして人気で、夏場は海水浴場としても大勢の人で賑わう。
    「まいにちが『海の日』」をコンセプトにオーシャンビューのレストランや飲食店など7店舗で構成する道の駅
  • spot 16
    なかやまフラワーハウス
    世界の珍しい植物を見て買って楽しめる植物園
    広大なガラス温室で、さまざまな熱帯植物を入場料無料で観賞できる。休憩スペースもあり、多肉植物やガーデニンググッズなどの購入も可能。見て買って楽しめる植物園だ。
    伊予市中山町の山あいにたたずむ、なかやまフラワーハウス
  • spot 17
    道の駅なかやま(クラフトの里) そば打ち体験道場
    国産100%のそば粉を使用したそば打ち体験と試食ができる施設
    道の駅なかやま(クラフトの里)にあり、地元産含む国産100%のそば粉を使ったそば打ちから試食までが体験できる施設。指導員がサポートしてくれるので、小さな子どもでも参加できる。
    愛媛県内でそば打ち体験ができるのはここだけ
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旅のヒント

  1. その1

    町のいたるところに多くの観光スポットがあるため、車で移動するのが効率がいい。

  2. その2

    松山市街地から砥部町までは松山自動車道松山ICから国道33号を利用すれば車で約15分程度。バスなら松山市駅から伊予鉄バス砥部線を利用して約50分程度で到着する。

  3. その3

    砥部焼伝統産業会館や砥部町陶芸創作館、砥部町役場などで台紙を配布している「陶街道五十三次スタンプラリー」は砥部町全体を巡るにはうってつけな観光コンテンツである。

  4. その4

    地質好きな人は砥部川中流の岩谷口にある砥部衝上断層(国の天然記念物)を訪ねるのもおすすめ。

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