徳島

脇町

WAKIMACHI

歴史の息吹を感じながら散策したい観光スポット

吉野川中流域の北岸に位置する脇町は、徳島藩(現在の徳島県)藩祖、蜂須賀家政(はちすかいえまさ)候により築城された阿波九城(あわくじょう)のひとつ、脇城の城下町として誕生した。阿波藍(あわあい)を中心とする物資の水運集積地として繁栄。江戸中期から昭和初期までの町家が数多く残り、重要伝統的建造物群保存地区に選定された「うだつの町並み」で知られる。特にメインストリートである東西約430mの南町通りはそぞろ歩きだけでも楽しい。徒歩圏内には昭和初期の雰囲気を今に伝える現役芝居小屋、脇町劇場(オデオン座)をはじめ、大谷川上流に「近代砂防の祖」として知られるヨハニス・デ・レイケの名前を冠した公園、彼の指導による砂防堰堤(えんてい)があるなど、一度は訪れておきたい観光スポットだ。

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エリアの見どころ

  • spot 01
    うだつの町並み
    藍商人の繁栄を今に伝える重要伝統的建造物群保存地区
    江戸中期から昭和初期までの町家が残る「うだつの町並み」。1988年(昭和63)に全国で28番目の重要伝統的建造物群保存地区に選定されたほか、2019年(令和元)には日本遺産にも認定。近世・近代に栄えた景観を今に伝えている。
    車の進入は禁止されているため、安心して歩くことができる
  • spot 02
    藍商佐直 吉田家住宅
    「うだつの町並み」で一、二を争う豪商の屋敷
    「うだつの町並み」のメインストリートに面した藍商佐直 吉田家住宅。脇町でも一、二を争う豪商の屋敷であり、時代とともに改修されていった経緯も興味深い。1999年(平成11)からは美馬市指定文化財に指定、一般公開されている。
    商談を行う「帳場」には番頭の人形が設置されている
  • spot 03
    阿波踊り竹人形の里 時代屋
    細やかな手仕事で一つひとつ作られる見事な竹細工
    「うだつの町並み」のメインストリートである南町通り、藍商佐直(さなお) 吉田家住宅の向かいにあるのが「阿波踊り竹人形の里 時代屋」だ。かつてあらもの屋だったとされる店舗は、入ったところが土間になっており、竹で作られた見事な工芸品が所狭しと並べられている。阿波踊り竹人形は、かつて作られていた武者人形などの竹人形をベースに、徳島大学の美術講師である藤田義治(ふじたよしはる)氏が考案したもの。一時は県内全域で作られ、土産物として人気を博したが、現在では2010年(平成22)度に「阿波の名工」表彰を受けた藤澤英文(ふじさわつねふみ)氏と息子の公章(きみあき)氏だけが作業の実演と販売を行う。地元の布袋竹・孟宗竹・真竹・女竹という4種類の竹を組み合わせ、それぞれの形や向きに合った一点物の人形を製作。そのほかにも、美しい耳かきや箸、カマキリやスズムシの竹細工なども作っており、旅の思い出を持ち帰る意味でも、ぜひ立ち寄りたい。
    すべて一点物の阿波踊り竹人形。躍動感のある動きが美しい
  • spot 04
    脇町劇場(オデオン座)
    レトロな雰囲気が色濃く残る徳島県唯一の木造芝居小屋
    昭和初期の創建以来、愛されてきた脇町劇場(オデオン座)。老朽化などを理由に取り壊される予定だったが、映画のロケ地に選ばれたことで文化的価値が見直され、1999年(平成11)に修復。美馬市指定文化財に指定されている。
    雰囲気抜群の2階桟敷(さじき)から舞台を眺める
  • spot 05
    美馬市観光交流センター
    3つの機能で地元の人々と観光客との交流を創出する
    「うだつの町並み」にある美馬市観光交流センターは2016年(平成28)にオープン。観光・歴史・文化などに関する情報発信をはじめ、伝統文化を通じて市民と来訪者との交流を創出するための施設である。
    天然藍の染料を使った藍染体験ができる「藍染工房」
  • spot 06
    美馬市伝統工芸体験館 美来工房
    「うだつの町並み」によく似合う伝統工芸品の製作体験
    かつては「阿波番傘」と呼ばれ、日本全国に出荷されるほどの隆盛を誇った美馬和傘。美馬市伝統工芸体験館 美来工房では、失われかけていた伝統の灯を絶やさぬよう、地元の人々が中心となり、努力を続けている。
    五色の糸を使った糸飾りと藍染の本体が美しい美馬和傘
  • spot 07
    デ・レイケ公園
    「近代砂防の祖」の功績を記念した川沿いの公園
    日本における治水工事の基礎を築いたヨハニス・デ・レイケの功績を記念して整備されたデ・レイケ公園。大谷川沿いに位置し、春には桜やチューリップ、冬にはイルミネーションが美しい公園である。「にし阿波お勧めビューポイント100選」に選定。
    約1万5000本のチューリップが咲き誇る春のデ・レイケ公園
  • spot 08
    大谷川砂防堰堤(デ・レイケの堰堤)
    築造100年を超えて今も機能する明治期の砂防ダム
    大谷川上流に築造された砂防堰堤のうち、ゆるやかな曲線を描くアーチ型の二段石積みの砂防ダムが、国の登録有形文化財であり、土木学会が選奨する土木遺産でもある大谷川砂防堰堤だ。オランダ出身の治水技術者ヨハニス・デ・レイケの指導によることから「デ・レイケの堰堤」と呼ばれ、地元の人に親しまれている。築造当時の高さが3.8m、長さは97mという巨大な堰堤で、河床に粘土を突き固め、松の丸太を並べて基礎を造り、野面石(のづらいし)を積み上げた頑丈な構造。1886年(明治19)に着工し、完成は2年後の1888年(明治21)。100年以上が経過した現在は、長さこそ半分程度まで短くなったが、巧みに水の勢いを弱め、大谷川の河床を安定させ続けている。大谷川砂防堰堤(デ・レイケの堰堤)は、ヨハネス・デ・レイケが指導した吉野川流域における治水事業のうち、唯一現存する土木構造物である。彼が携わった全国各地に残る砂防堰堤のなかでも最大規模のものであり、非常に貴重な土木遺産のひとつだといえる。
    地元の人々から「デ・レイケの堰堤」と呼ばれて親しまれている
  • spot 09
    旧長岡家住宅
    阿波山村の古民家で昔の暮らしに思いを馳せる
    1735年(享保20)に建てられた旧長岡家住宅は築290年近い古民家である。もともとは徳島県の山間部にあった農家であり、当時の暮らしぶりを知るうえでも貴重な存在だといえるだろう。1976年(昭和51)に国の重要文化財に指定されている。
    寄棟造りの茅葺き屋根と土壁が特徴的な旧長岡家住宅
  • spot 10
    みんなの複合文化市庭 うだつ上がる
    さまざまな要素がクロスオーバーする魅力的な場所
    かつて阿波藍(あわあい)を中心とする物資の水運集積地として繁栄した「うだつの町並み」。本瓦葺(ほんかわらぶき)、大壁造(おおかべづくり)の見事な町家が左右に立ち並ぶ重要伝統的建造物群保存地区の一角にあるのが、みんなの複合文化市庭(ふくごうぶんかいちば)うだつ上がる。クラウドファンディングで資金を集め、築150年の商家を改装したのは、徳島県内を中心に活躍する建築家の高橋利明(たかはしとしあき)さんだ。1階は本人の設計事務所をはじめ、雑貨店や個人書店、古着屋やカフェ、バーなど、さまざまな要素が混ざり合う魅力的な空間。それぞれの店主がセレクトした個性的な商品を見るのもよし、ときに店主が変わるカフェやバーでくつろぐのもよし。2階はギャラリースペースをはじめ、1階とは別の個人書店のほか、大阪・中之島を拠点とするクリエイティブユニットの家具やプロダクトが入り、体感できるショールームとなっている。「複合文化市庭」という名称のとおり、地元の人々と観光客や旅行者、それぞれの視点や立場から楽しむことができる注目スポットのひとつだ。
    立派なうだつと虫籠窓(むしこまど)が歴史を感じさせる
  • spot 11
    茶里庵
    郷土料理「そば米雑炊」が看板メニューの御茶処
    重要伝統的建造物群保存地区「うだつの町並み」の中心部、脇町で一、二を争う豪商の屋敷である「藍商佐直・吉田家住宅」の前にあるのが、祖谷(いや)地方の郷土料理、そば米雑炊で知られる茶里庵(さりあん)だ。1924年(大正13)に建てられた商家を改装したお店は2階建ての風雅な雰囲気。1階には大きな美馬和傘が飾られているほか、小上がりの座敷もあり、ゆっくり休むことができるだろう。そば米(ごめ)とは、茹でたそばの実を乾かしてから皮を取り除いたもの。険しい山岳地帯が多く、稲作が困難だった祖谷地方で、米の代わりに食べられていたのが「そば米雑炊」である。農林水産省の「農山漁村の郷土料理百選」にも選定されており、かつては徳島県内の各家庭で普通に食べられていた。茶里庵では、徳島の地鶏である「阿波尾鶏(あわおどり)」に干しえびと干し椎茸で取っただし汁に、ニンジンやゴボウ、そば米を加えて煮込み、焼き餅を加えてボリュームを出している。そのほか「きな粉もち」やお土産付きの「煎茶セット」なども人気。「うだつの町並み」散策の途中でひと息入れるにはぴったりの一軒だ。
    鮮やかな藍染めの暖簾が目をひく茶里庵(さりあん)の外観
  • spot 12
    最明寺
    地元の人々から「萩寺」と呼ばれる真言宗大覚寺派の寺院
    鎌倉幕府の第五代執権(しっけん)、北条時頼が滞留した伝説が残る最明寺(さいみょうじ)。毎年9月頃から萩の花が咲くことから、地元では「萩寺」の別称で親しまれている。国指定重要文化財、県指定文化財などが残る地域有数の名刹(めいさつ)である。
    本堂の前で秋風に揺れる白萩。年によって盛りが異なるため注意
  • spot 13
    段の塚穴
    四国最大級の石室も見学自由!約1400年前の古墳群
    1942年(昭和17)に指定された徳島県内で初めてとなる国の史跡が「段の塚穴」だ。県西部、吉野川中流域の河岸段丘(かがんだんきゅう)の先端にある2基の古墳の名称で、約1400年前の古墳時代後期に築造されたと見られている。東の直径約37mの円墳が「太鼓塚古墳」、西の直径約20mの円墳が「棚塚古墳」で、どちらも埋葬施設は横穴式の石室。棺(ひつぎ)を収めるための玄室はドーム状になった特異なもの。これらの石室は「段の塚穴型」と分類されており、同じ形式の石室をもつ古墳の大半が旧美馬郡に分布していることから、習慣を同じくする有力な同族集団が居住していたと推定されている。四国でも最大級の石室をもつ太鼓塚古墳からは、1950年代から60年代にかけて、鉄製品と須恵器(すえき)と呼ばれる硬質土器が出土した。それらの副葬品は美馬市立郷土博物館で大切に保管されている。どちらの古墳も自由に見学することが可能だが、かなり内部は狭くなっているうえ、季節によっては虫が多い。照明などもいっさいないため、くれぐれも気をつけて入るようにしよう。
    夏場でもひんやりとした空気を感じる横穴式石室の内部
  • spot 14
    阿波の土柱
    スリル満点!「世界三大奇勝」のひとつを体感しよう
    アメリカのブライスキャニオン、イタリアのチロル地方と並び、ここ徳島県の阿波市にしかないという大自然の奇跡「土柱(どちゅう)」。珍しく、美しい景色を指す「奇勝(きしょう)」という言葉がぴったりの絶景を、ぜひ一度体感してほしい。
    高さの異なる土柱が群立する不思議な「波濤嶽(はとうがたけ)」の景観
  • spot 15
    十楽寺
    縁結びや眼病治癒にも期待。第七番札所ならではのご利益
    人が背負う「八つの苦難」を阿弥陀如来の慈悲によって克服し「十の光明に輝く楽しみ」が得られるようにとの願いから命名された十楽寺(じゅうらくじ)。愛染堂(あいぜんどう)や治眼疾目救歳地蔵尊(ちがんしつもくきゅうさいじぞうそん)などにも参拝したい。
    夕暮れが近づきつつある十楽寺の境内はおごそかな雰囲気
  • spot 16
    熊谷寺
    徳島県指定有形文化財が数多く現存する第八番札所
    春には早咲きのハチスカザクラやソメイヨシノが咲き、初夏にはアジサイが彩る第八番札所、熊谷寺(くまだにじ)。寺伝によれば、創建は815年(弘仁6)のこと。閼伽ヶ谷(あかがだに)で修行していた空海の前に、熊野那智大社の別宮である飛瀧(ひろう)神社の祭神、飛瀧権現が顕現(けんげん)し、一寸八分の黄金観音像を授けた。そこで空海は堂宇(どうう)を建立し、等身大の千手観世音菩薩を霊木に刻み、胎内に観音像を収めて本尊としたという。四国八十八ヶ所霊場における最大・最古の仁王門をはじめ、多宝塔や二天門、鐘楼、大師堂と内厨子(うちずし)、弘法大師坐像などが現存し、徳島県指定有形文化財に指定されている。本堂は1927年(昭和2)に火災に遭い、本尊とともに焼失。1940年(昭和15)に再建が始まったが、第二次世界大戦で中断。完成は1971年(昭和46)まで待たなくてはならなかった。現在は、毎月18日と正月の三が日に千手観世音菩薩像が開帳される。桜の名所としても知られており、特に弁財天の池の周囲は一面が桜色に染まる熊谷寺。秋の紅葉も美しく、これらのシーズンには多くの参拝客が訪れるという。
    持国天と多聞天が守護する二天門はフォトスポットとしても有名
  • spot 17
    法輪寺
    四国八十八ヶ所霊場で唯一の涅槃釈迦如来像を本尊とする札所
    阿波市土成町(どなりちょう)の田園地帯に建つ第九番札所、法輪寺(ほうりんじ)は、地元の人々から親しみを込めて「田中の法輪さん」と呼ばれている。815年(弘仁2)、四国を巡錫(じゅんしゃく)中の空海が、ここより北の山間部にある谷間で仏の使いとされる白蛇と出合い、霊木に釈迦涅槃像を刻んで本尊とし「白蛇山法林寺」と号して開基。その後、1582(天正10)に兵火により焼失。土石流などの被害にも遭ったことから正保年間に現在地に移転し「正覚山法輪寺」の名で再興された。空海の作という釈迦涅槃像は5年に一度だけ開帳される秘仏。四国八十八ヶ所霊場で唯一、涅槃像を本尊とする札所であり、タイミングがあえば、ぜひ拝んでおきたい。法輪寺には、足が不自由な人が参拝したところ、松葉杖なしで歩くことができるようになった伝説があり、本堂には多くの草鞋(わらじ)が奉納されている。足の病気や怪我にご利益があるとされ、健脚祈願の参拝客があとを絶たない。また、大師堂には寺宝である「弘法大師の御衣(おころも)」を収蔵。これは1882年(明治15)に明治天皇から下賜(かし)されたものと伝えられている。
    本堂には数多くの「足腰健康わらじ」が奉納されている
  • spot 18
    樽平
    「じんぞく」で取った出汁が自慢のご当地グルメ
    徳島県阿波市土成町の郷土料理として知られる「たらいうどん」。ここ「樽平(たるへい)」では伝統を守り、ハゼ科の川魚である「じんぞく(カワヨシノボリ)」で取った出汁をつけ汁に使用。昔ながらの素朴な味わいが人気を呼んでいる。
    名物の「たらいうどん」のほか、さまざまな川の幸を楽しめる
  • spot 19
    切幡寺
    「女人即身成仏」の伝説で生まれた山中の寺院
    信仰心のあつい機(はた)織りの娘が千手観音に化身したという「女人即身成仏の伝説」で知られる切幡寺(きりはたじ)。裁ちバサミと布地を手にした「はたきり観音像」や国の重要文化財である「切幡寺大塔」など、見どころの多い山中の寺院である。
    不動堂から境内を望む。晴れていれば遠くの山々まで見渡せる
  • spot 20
    服部製糖所
    若き兄弟が力をあわせて作る伝統の阿波和三盆糖 
    今や徳島県で4軒しかないといわれる「阿波和三盆糖(あわわさんぼんとう)」の製糖所。阿波市吉野町にある服部製糖所は、若き後継者たちによる和三盆おはぎ「花輝(はなひかり)」など、新しい挑戦で注目を集めている。
    阿波和三盆糖の華やかな餡と古代米で作るおはぎ「花輝(はなひかり)」
  • spot 21
    壇の大クス
    推定樹齢950年。徳島県第3位の大きさを誇る巨樹
    環境省の「巨樹巨木林調査」では、地上高1.3mの位置で幹の周囲が3m以上の樹木を「巨樹」と定義している。県土面積の約75%を森林が占める徳島県は、全国有数の森林県であり、数多くの巨樹のもとへ訪れることが可能だ。吉野川市鴨島町、国道192号線から少し南下した小高い丘へ上がる途中に姿を見せるのが「壇(だん)の大クス」である。説明板によれば、地上1mの樹周が10.3m、樹高35m、樹冠東西25.8m・南北53mで、高さのある建物ができる以前は、鴨島町の全域から確認できたという。徳島県で3番目に大きい樹木だけあり、まるで森のような迫力ある威容に圧倒される。1186年(文治2)に阿波国麻植保司(あわのくにおえほうし)として着任した平康頼(たいらのやすより)が植えたという伝説があり、その善政を称える記念碑が根元に建てられている。時間があれば、坂道の下にある康頼神社にも立ち寄って、手をあわせておきたい。もともと「壇」とは「土などが高く盛ってある所」「ほかよりも一段高くなっている場所」「神を祀(まつ)る場所」を意味するという。比較的、訪れやすい場所にある巨樹であり、ぜひ足を運んでみてもらいたい。
    1965年(昭和40)に徳島県の天然記念物に指定された
  • spot 22
    川島潜水橋
    吉野川のフォトスポットとしても名高い欄干のない橋
    徳島県を代表する一級河川、吉野川。総延長は全国第13位、川幅は全国第2位という堂々たる姿の川であり、かつては「日本三大暴れ川」のひとつとして怖れられていた。現在は47本の橋が架けられており、そのうち9本が「潜水橋(せんすいきょう)」と呼ばれるシンプルな橋である。その特徴は欄干(らんかん)がなく、河川敷と同じ高さに架けられていること。大雨などの増水時には川に沈み、流木や土砂が引っかかったり、川の水がせき止められて、洪水にならないように設計されている。全長285mの「川島潜水橋」は1963年(昭和38)に完成。吉野川にある日本最大の川中島、善入寺島(ぜんにゅうじとう)に架かる6本の潜水橋のうちの1本で、正式名称は「川島橋」という。四国八十八ヶ所霊場の第十番札所である切幡寺(きりはたじ)と第十一番札所である藤井寺(ふじいでら)との間に架かるため、多くのお遍路(へんろ)さんが徒歩や車で利用する。地元の人々の生活道路としても欠かせない存在であり、朝晩の通勤時間帯は車の通行量が目立つ。吉野川の上を走る1本の線のようなシルエットが美しく、フォトスポットとして撮影に訪れる人があとを絶たない。
    夕暮れどきは日中とは異なる表情を見せる
  • spot 23
    水神の滝
    映画のロケ地としても有名になった吉野川市の滝
    吉野川市の南端にある剣山系(つるぎさんけい)の湯吸山(ゆすさん)。その中腹にある湯吸谷川源流域の滝が「水神の滝」だ。ふもとからアクセスしやすい標高140m近辺にあり、それほど急な斜面もないため、子ども連れでも歩いて行けるだろう。雄滝(おだき)・雌滝(めだき)・お茶淵(ちゃふち)の総称とされるが、上に行くほど足場が悪くなり、訪れる人も少ないことから、現在ではいちばん下にある雄滝のみを指す場合が多いようだ。干ばつが起きた際、滝の上に水神を祀(まつ)り、神職が滝つぼに入って祈ったところ、待ち望んだ雨が降ったという伝承が残っている。近年、注目されたのは、さだまさしによる小説を映像化した2007年(平成19)の映画『眉山(びざん)』のロケ地に選ばれたため。回想シーンや幼い頃の主人公の写真を撮影するシーンに使われており、記念のプレートが設置されている。また、滝の周辺には、よく見ると赤紫色の石が点在しているが、これは「紫雲石(しうんせき)」と呼ばれ、藩政時代に領外への持ち出しが禁じられた「お禁(と)め石」のひとつだ。木々の緑が濃く、ツツジやツバキといった四季折々の花も見られる自然豊かなスポットである。
    1982年(昭和57)に吉野川市の名勝に指定された
  • spot 24
    船窪つつじ公園
    国の天然記念物に指定されたオンツツジの大群生
    国道192号線を西に走り、山川町瀬詰(やまかわちょうせづめ)の交差点を左折して国道193号線へ。しばらく進んで県道248号線に入り、奥野井谷川(おくのいだにがわ)沿いに蛇行する山道をひたすら登っていく。JR徳島駅からは約1時間20分。高越山(こうつざん)から奥野々山(おくののやま)へと通じる峰筋に広がる高原に、自然発生したオンツツジの大群落がある。樹齢にして400年を超えるものや高さ6mに及ぶものもあり、最盛期を迎えると数え切れない真紅の花が圧倒的なスケールで咲き乱れる。このような大群落は日本でここにしかなく、学術上の観点からも貴重な存在であることから、1985年(昭和60)に国の天然記念物に指定された。「船窪(ふなくぼ)」という名前は、この高原が船形の窪地であることから名付けられたという。標高約1060m地点にあり、例年おおよそ5月中旬から下旬にかけて花が咲く場合が多いが、気象条件によっては開花の時期がずれたり、あっという間に散ってしまうため、SNS等で情報を収集してから向かうようにしたい。また、ほぼ一車線と厳しいカーブが続く山道は運転が難しいうえ、時間帯によっては非常に混み合う場合がある。
    人の背丈の何倍ものオンツツジが東西約500mに群生する
  • spot 25
    阿波和紙伝統産業会館
    国内外の芸術家から高く評価される「阿波和紙」を体験
    かつて一大産業として栄えた「阿波和紙」のよさを今日に伝える阿波和紙伝統産業会館。1989年(平成元)5月のオープン以来、情報の周知と技法の継承を目的として、手漉(す)き体験や展示の見学などを実施。多くの観光客が訪れている。
    鮮やかな色彩に染められた阿波和紙はミュージアムショップで購入できる
  • spot 26
    美郷ほたる館
    美しい自然と人々の営み、ホタルの生態を伝える地域のミュージアム
    1970年(昭和45)に、日本で唯一「ホタルおよびその発生地」として、国の天然記念物に指定された美郷(みさと)。ゲンジボタルをはじめとする5種類のホタルの生態と、地域の自然と暮らしについて知ることができるのが美郷ほたる館だ。
    さまざまな角度から美郷(みさと)に関する展示が行われている
  • spot 27
    母衣暮露滝
    修験者たちが修行の場とした山間部の美しい滝
    標高1159mの奥野々山(おくののやま)を水源とする川田川(かわだがわ)の滝、母衣暮露滝(ぼろぼろだき)。吉野川市美郷(みさと)の標高約700mほどに広がる県有林内に位置しているため、ひたすら車で細い山道を上っていき、小さな駐車場から10分ほどゆるやかな遊歩道を登る必要がある。かつて、この山間部には修験者(しゅげんじゃ)がおり、滝の飛沫で濡れるのもかまわず、日が暮れても着物がボロボロになるまで修行に励んでいたことから「母衣暮露滝」と呼ばれるようになったと伝えられている。頂点からの落差は30mほどあり、途中の大きな岩によって落下する滝の水が飛散し、霧のように消えていく様子は圧巻。両側が巨大な結晶片岩(けっしょうへんがん)の断崖絶壁になっており、迫力ある光景となっている。滝の左側には小さなあずまやがあるほか、不動明王を祀(まつ)った石碑が建てられている。これは大正時代、美郷西谷(みさとにしたに)にある真福寺(しんぷくじ)の本尊が不動明王だったことから、その奥之院(おくのいん)として祈願の場を作ったもの。春のツツジ、夏の新緑、秋の紅葉、冬の氷爆(ひょうばく)と、どの季節にも異なる美しさを見せる徳島有数の滝のひとつである。
    近くで見上げると、大きな岩が突き出ていることがわかる
  • spot 28
    ぶどう饅頭 日乃出本店 直売店
    老若男女から愛される、串に刺さった「ぶどう饅頭」
    美馬市穴吹町の小さな菓子店が作った「ぶどう饅頭(まんじゅう)」。そのおいしさはもちろん、類まれな発想力と型破りな宣伝で、一躍有名になった徳島銘菓だ。100年を超える歴史があり、今も多くの人から愛されている。
    1串に5個の小さな饅頭が刺さった独特のスタイル
  • spot 29
    Sugar spot
    阿波市産の小麦のよさを引き出すおいしい焼き菓子
    徳島市方面からは阿波市までひたすら西へ。吉野川沿いを走ってやや北上し、県道246号線に入ってから日開谷川(ひがいだにがわ)を渡れば「Sugar spot」はもうすぐだ。道沿いに出た看板を見落とさなければ、通り過ぎてしまうこともないだろう。Sugar spotは管理栄養士の経験がある山添幸枝(やまぞえゆきえ)さんが2016年(平成28)にオープン。店名の由来はバナナが食べ頃になったときに出る黒い斑点から。結婚を機に徳島へ移住してきた際、野菜や果物の味に衝撃を受け、それらを使って何かできないかと考えたそう。着目したのは阿波市で作られる小麦だった。自家製粉した挽きたての地粉(じごな)100%で作るスコーンやクッキーは卵や乳製品をいっさい使わない。「自分の子どものおやつに出せるものを」と、可能な限り安心・安全な素材にこだわる。阿波市産の小麦を使う店はまだ少なく、また他の小麦を混ぜずに、100%阿波市産の小麦だけを使っている店は、まれだという。リピーターも多く、人気のスコーンは午前中で売り切れになることも多い。コーヒーや紅茶との相性もぴったり。阿波市産の小麦のおいしさを堪能してほしい。
    焼き上がったばかりのスコーン。抹茶とホワイトチョコは大人気
  • spot 30
    御所神社
    四国最大級の前方後方墳の上に立つ歴史ある神社
    四国最大級の前方後方墳である「椎ヶ丸(しいがまる)古墳」の上に立つという「御所(ごしょ)神社」。前身の「吹越天王社(ふきこしてんのうしゃ)」の時代をあわせると、創建から1000年を超える歴史をもつ由緒ある神社である。
    鳳凰や龍の彫刻が施された御所神社の拝殿
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旅のヒント

  1. その1

    JR四国を利用して徳島線で向かう場合は、最寄り駅は穴吹駅となる。徒歩では少し距離があるため、路線バスやタクシーを使った移動がおすすめ。所要時間は約10分。

  2. その2

    穴吹駅と道の駅「藍ランドうだつ」をつなぐ路線バスは一日3往復。それぞれ8時台・12時台・16時台の発着となる。道の駅にはタクシーが常駐していないので、あらかじめ連絡先を調べておくと良い。

  3. その3

    京阪神からの高速バスを使用する場合は、西日本JRバス、阪急バスともに脇町ICに併設された「脇町バスストップ」で下車。そこからはタクシーで移動しよう。

  4. その4

    自家用車やレンタカーで訪れる場合は、道の駅「藍ランドうだつ」の無料駐車場が便利。ただし、観光シーズンには混み合うため、時期によっては注意が必要。

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