京都

京都御所周辺

AROUND KYOTO IMPERIAL PALACE

王朝の雅を感じる京都御所から、歴史ある社寺でご利益巡り

このエリアの中心となるのが、明治時代を迎えるまで天皇の住まいとして歴史を見つめ続けてきた京都御所だ。天皇の即位礼などの儀式の場であった紫宸殿をはじめとする建築や、四季の風景が美しい庭園は宮中の雅を今に伝えている。京都御所を取り巻く京都御苑は桜や新緑、紅葉などの自然に触れることのできる絶好の場。ベンチや休憩スポットも点在しているからゆっくりと時間をかけて楽しみたい。雨の日や夏の暑さが厳しいときには、相国寺承天閣美術館や樂美術館で京都ならではの美意識が反映された作品を鑑賞するのもいいだろう。周辺には紫式部ゆかりの廬山寺、足利義満創建の相国寺などの名刹に加え、王城鎮護の神として朝廷からの崇敬を集めた下鴨神社、心鎮めの上御霊神社、球技上達の白峯神宮、足腰守護の護王神社など、さまざまな願いを叶えてくれる神様仏様が勢ぞろい。運気を上げてくれるご利益巡りもおすすめだ。

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エリアの見どころ

  • spot 01
    京都御所
    皇室文化の雅を感じる歴代天皇が暮らした住まい
    現在の京都御所は、南北朝時代から明治にいたるまでの約500年間にわたって天皇が居住した場所だ。即位礼や節会などの重要な儀式が行われた紫宸殿をはじめとする建造物が今日まで保存されている。
    皇室の雅を感じる建築や庭園を見学できる(写真提供:宮内庁)
  • spot 02
    京都御苑
    広大な公家町が明治時代に京都市民の憩いの公園へ
    江戸時代には140以上の宮家や公家の邸宅が立ち並ぶ公家町であった。明治になって都が東京に遷り、国民公園として整備され、現在は自然を身近に感じながら散策や休憩ができる、古都のオアシス的な空間として親しまれている。
    京都御苑の北東にある「母と子の森」
  • spot 03
    京都迎賓館
    海外の賓客を迎える格式高いおもてなしの場
    京都御所の東側に隣接する京都迎賓館は、東京にある「迎賓館赤坂離宮」と並び、海外の国王、大統領、首相などの賓客を迎える国の迎賓施設だ。日本の歴史・文化を象徴する古都・京都で、海外からの賓客などをもてなし、日本への理解と友好を深めることを目的に2005年(平成17)に開館した。周辺の歴史的景観や自然環境との調和を図るため、緩やかな勾配を備えたむくり屋根の平屋建てとし、品格のある和のたたずまいとなっている。館内に配置されている調度品は西陣織、截金(きりかね)、蒔絵、京指物など京都ならではの伝統技能の技が随所に用いられている。参観はインターネットからの予約優先で空きがあれば当日受付も可能。参観方法や特別企画の実施などは迎賓館の公式サイトで発表されるので事前にチェックをしておくのがおすすめだ。
    京料理が提供される和の晩餐室「桐の間」(写真提供:京都迎賓館)
  • spot 04
    京都仙洞御所
    優雅な理想郷を体現した京都御苑にあるもうひとつの御所
    京都御所の南東にもうひとつ「御所」がある。それが京都仙洞御所だ。「仙洞」とは「上皇の住む場所」という意味で、江戸時代初期、天皇を退位して上皇となった後水尾上皇のために、1630年(寛永7)、小堀遠州(こぼりえんしゅう)を奉行として二条城の御幸御殿(みゆきごてん)を移築して造営された。しかし、1854年(嘉永7)に火災によって建物の多くを焼失。その後、再建されることはなかったが、池泉回遊式の雄大な庭園や茶室が現存し、往時の面影を残している。参観には申込みが必要で、事前申込みと当日申込みの2通りあるが、どちらも定員制となっているのでご注意を。参観は係員の案内を聞きながら、庭園内の北池と南池の周辺を巡る。さまざまな表情をもつ橋を渡り、四季折々の花を愛でながら約60分で一周する。多彩な風景が紡ぎ出す極上の散策道を歩いてみよう。
    大きさのそろった石を敷き詰めた雄大な洲浜(写真提供:宮内庁)
  • spot 05
    相国寺
    堂々たる法堂に格式を感じる、京都五山に列する名刹
    室町幕府3代将軍・足利義満によって創建された臨済宗相国寺派の大本山。境内には13の塔頭寺院のほか、離れた場所に建つ金閣寺、銀閣寺、眞如寺も塔頭とする。現存する日本最大かつ最古の法堂は重要文化財に指定されている。
    桃山時代を代表する禅宗建築の法堂
  • spot 06
    相国寺承天閣美術館
    寺院空間を彩った名宝の数々を収蔵・展示する
    1984年(昭和59)、相国寺の創建600年記念事業の一環として相国寺境内に設立された美術館。相国寺、金閣寺、銀閣寺、他塔頭寺院に伝来する国宝5点、重要文化財145点を含む多くの優れた文化財を収蔵し企画展で公開している。なかでも目をひくのが、江戸時代中期に活躍した絵師・伊藤若冲(いとうじゃくちゅう)の一連の作品だ。若冲は相国寺の住持・大典和尚と親交があり、その画才を認められたことで絵師として身を立てることを目指すなど相国寺との関わりは非常に深い。若冲が金閣寺の大書院に描いた障壁画「葡萄小禽図床貼付」「月夜芭蕉図床貼付」 (いずれも重要文化財)は常設展示されており必見。館内の売店では若冲作品や近世絵師の名品をモチーフにした絵はがきやクリアファイル、一筆箋などのステーショナリーなどがそろい、美術品を身近に感じることができる商品はお土産としても人気がある。
    寺院らしい伝統的建築を模した外観
  • spot 07
    梨木神社
    明治維新の功労者である父子を祭神とする萩の宮
    暑い夏がようやく終わり、空をわたる風が爽やかに感じられるようになる9月、境内一帯に紅白の萩の花が咲き乱れる「萩の宮」として名高い神社。明治維新の功労者を祭神とし、「染井」の名水が湧く地としても有名だ。
    境内は豊かな木々に包まれている
  • spot 08
    廬山寺
    気品ただよう庭園に出合える紫式部ゆかりの地
    紫式部が暮らし、日本最古の長編小説『源氏物語』を執筆した地に立つ廬山寺。白砂と苔に彩られる庭園がすがすがしい。疫病退散のご利益のある元三大師にもお参りして、心身の健康祈願も忘れずに。
    白砂と苔の緑のコントラストが美しい庭園
  • spot 09
    護王神社
    足腰の健康に霊験あらたかな神様として崇められる
    桓武天皇に平安京遷都を提言した貴族・和気清麻呂と、その姉・広虫を祀る。京都にはさまざまご利益の社寺があるが、こちらは「足腰守護」のご利益で信仰を集め、京都の人びとはもちろん足をよく使うスポーツ選手も参拝に訪れる。
    お気に入りのイノシシ像を探してみよう
  • spot 10
    上御霊神社
    平安京が「平安」であることを願って創建された古社
    平安京を遷都した桓武天皇の命によって創建された古社で、京都の人びとから「ごりょうさん」と呼ばれ親しまれている。参拝者の心を鎮め、穏やかな状態に導いてくれる「こころ鎮め」のご利益で信仰を集めている。
    毎月18日(5月を除く)に手づくり品などを販売する「さえずり市」が開かれる
  • spot 11
    水田玉雲堂
    サクサクした歯ざわりと軽さが魅力、500年続く厄除けのせんべい
    千年の都・京都は長い歴史のなかで幾度も疫病の流行に悩まされてきた。いにしえの人びとは病気の流行は悪霊の仕業と考え、疫病を鎮める神事(御霊会)を執り行ってきた。地元の人びとから「ごりょうさん」の名で親しまれる「上御霊神社(かみごりょうじんじゃ)」の門前名物「唐板」は都人が健康への祈りを込めた菓子として受け継がれてきた。その歴史は、平安時代、疫病退散を願って御霊会が行なわれたとき、神前に供えらえたことに始まる。御霊会は室町時代の応仁の乱で途絶えたが、水田玉雲堂がその由来を知って唐板を再興。1477年(文明9)の創業以来、500年以上にわたって唐板を製造販売している。材料となる小麦粉と上白糖、塩、卵を混ぜて薄く延ばしたものを銅板の上で焼き、短冊状に切り分けて作るが、シンプルがゆえに生地の水加減が非常にデリケートだという。素朴な風味とサクサクとした軽い触感は、ほかでは味わえない逸品で、日本茶はもちろん、コーヒーとも相性がいい。
    京都ならではの伝統の味はお土産としてもおすすめ
  • spot 12
    白峯神宮
    あらゆるスポーツの上達を願って鞠の神様にお願い
    京都から遠く離れた配流地でその生涯を閉じた、2人の天皇の慰霊のために創建された白峯神宮。蹴鞠の守護神も祀ることから、球技をはじめとするスポーツ全般の上達祈願に全国から参拝者が訪れる。
    スポーツの必勝祈願に参拝する修学旅行生も多い
  • spot 13
    樂美術館
    450年受け継がれてきた伝統のエッセンスを感じる
    樂家の初代・長次郎が千利休と出会い、利休の侘茶(わびちゃ)の理想にかなう茶碗を焼いたことに始まる「樂焼」の作品や茶道美術品を収蔵・展示する。しっとりと落ち着いた内装は茶室にいるかのような雰囲気だ。
    年4回、樂焼と茶道美術の企画展が開催される
  • spot 14
    鴨川デルタ
    「高野川」と「賀茂川」2つの川が合流する三角州
    賀茂川と高野川が合流する地。四季折々の水辺の風景を楽しむことのできる場として、家族連れや大学生のグループなどで賑わう。ドラマやアニメの舞台として登場することもあり、聖地巡礼として訪れる人も多い。
    天気がいい日には河原でピクニック気分を味わって
  • spot 15
    出町ふたば
    全国的にもその名を知られる、行列の絶えない京の和菓子屋
    1899年(明治32)創業の「出町ふたば」は、行列のできる和菓子屋として全国的にその名を知られている。平日でも開店から閉店まで絶えず並ぶ人の姿があり、そんな列をなす人びとが「並んででも食べたい」と求めるのはこの店の代名詞「名代 豆餅」だ。伸びのいいつきたての餅に富良野産の赤えんどう豆をたっぷりと混ぜ込み、十勝産あずきを使ったこし餡を包んだもの。生地に練り込まれた赤えんどう豆の控えめな塩加減がアクセントになっていて、京都に来たなら必ず買いたい逸品だ。時間帯によっては、餡の入っていない豆餅も注文できる。餅にもほんのりと塩が利いていて、豆餅そのもののおいしさを味わえると好評。人気店ゆえいつも行列は絶えないが、どれを購入しようかと考えながら待つのも至福の時間。豆餅の日持ちは当日限りなので、購入して鴨川や京都御苑でおやつとして食べるのもおすすめだ。
    真っ白な「名代 豆餅」はきめ細やかでモチモチの食感
  • spot 16
    下鴨神社
    神聖な気配がただよう糺の森に抱かれた古社
    賀茂の神の神域である広大な糺(ただす)の森の中心に、静かに鎮座する下鴨神社。京都では最も古い社のひとつに数えられる。太古の森の澄んだ空気を吸って、点在する社でご利益をいただけば身も心もすっきり。
    1629年(寛永6)に建立された楼門
  • spot 17
    加茂みたらし茶屋
    発祥の地で味わう、タレがたっぷりかかったみたらし団子
    下鴨神社の西参道から下鴨本通に出ると、通りに面して建つ「加茂みたらし茶屋」の店舗が見える。参拝後にホッとひと息つくにはぴったりの場として、地元の人や観光客で賑わっている。お店ではぜんざいやわらび餅などの甘味も味わえるが、やはりいちばん人気は店名にもなっているみたらし団子。実は下鴨神社はみたらし団子の発祥の地。境内の清めの泉水「御手洗池(みたらしいけ)」に湧き出る水の泡をかたどったものが始まりといわれている。こちらのお店の団子は、竹串に刺した5つの団子のうち、1つ目が頭、ほかの4つは四肢で人間の身体を表わしているといわれ、その昔、夏越の行事の際に神前に供えたあと、お下がりを食していたことに由来するという。極上の上新粉を使った団子はもっちりとした食感で、黒みつをベースにした自家製のタレとも相性抜群。神様とのご縁を結ぶ門前名物を味わって、さらなるご利益を授かりたい。
    上品で素朴な甘さのタレがたっぷりかかる
  • spot 18
    河合神社
    鏡絵馬にお化粧を施し、心身の美麗祈願を
    世界遺産・下鴨神社の広い境内のなかには、本殿とは別に「摂社」と呼ばれる社が点在している。そのなかでも特に女性から信仰を集めるのは、糺(ただす)の森の南に鎮座する「河合神社」で、美人の誉れ高い神武天皇の母・玉依姫命(たまよりひめのみこと)を祀ることから、美麗祈願のご利益で崇められている。こちらで人気となっているのが「鏡絵馬(かがみえま)」。目、鼻、口の描かれた手鏡型の絵馬に色鉛筆や化粧品などでメイクを施して奉納すると、美への願いが叶うといわれている。休日ともなると身も心も美しくありたいと望む女性や、美容師、エステティシャン、ネイリストなど人を美しく輝かせたいと願う参拝者があとを絶たない。また河合神社は日本三大随筆のひとつ『方丈記』の作者・鴨長明ともゆかりが深い。長明は河合神社の禰宜の子として幼少時代を過ごした。
    個性豊かな表情が並ぶ鏡絵馬
  • spot 19
    糺の森
    平安京遷都以前からこの地に根ざす古代の森
    賀茂川と高野川が合流する地は「只洲(ただす)」と呼ばれた三角州で、その北側に下鴨神社の神様が宿る森「糺の森」が広がる。平安京遷都の遥か昔から生き続ける太古の森でケヤキ、エノキ、ムクノキなどの広葉樹を中心に多種多様な樹木が自生している。森林生態学、環境学などの学術分野からも貴重な森とされ、下鴨神社の世界遺産認定にも大きな役割を果たした。平安時代には潔斎(みそぎ)の場として知られ、祭礼や偽りを「正しくなす」という意味から「糺」の字が当てられたと考えられている。毎年5月3日には賀茂祭(葵祭)の神事のひとつ「流鏑馬(やぶさめ)神事」が行われ、射手が馬の上から矢を放ち、次々に的を射る様子を見ようという人びとで賑わう。また関西で初めてラグビーが行われた地でもあり、森のなかほどには球技上達を祈願する「雑太社(さわたしゃ)」が鎮座する。豊かな木々に包まれた森は夏でも涼やか。京都市内のなかでも比較的遅くに紅葉が色づくことから、晩秋の紅葉狩りにもおすすめだ。
    樹木が生い茂るなか、清流が静かに流れている
  • spot 20
    旧三井家下鴨別邸
    賀茂川・高野川の合流ポイントで出合える、豪商・三井家の美意識
    下鴨神社の南に位置し、木立に囲まれ静かにたたずむ旧三井家下鴨別邸。かつて祖先の霊を祀る社を参拝する際の休憩所だった豪商の別邸は、簡素でありながら三井家の美意識にあふれ、凛とした気配に満ちている。
    明治時代の建築である主屋は望楼が特徴的
  • spot 21
    虎屋菓寮 京都一条店
    500年続く和菓子店「とらや」の甘味処で、季節を映す「あんみつ」を
    御所の御用を勤めてきた「とらや」が手がける甘味処「虎屋菓寮 京都一条店(とらやかりょうきょうといちじょうてん)」。京都御所のほど近くにあり、落ち着いた時間を過ごせると人気のお店だ。
    庭を眺めながらゆっくりと甘味をいただける
  • spot 22
    本田味噌本店
    御所御用達も務めた、江戸時代から続く味噌の老舗
    繁華街とは異なり、落ち着いた風情がある御所西エリア。かつて御所の御用達を務めた老舗も多く立ち並ぶ。江戸時代に創業した本田味噌本店(ほんだみそほんてん)も、御所への出入りを許された存在だ。
    樽にずらりと並ぶ個性豊かな味噌
  • spot 23
    山田松香木店
    江戸時代より続くお香の老舗で、心と体にやさしい自分好みの香りと出合う
    いにしえより愛されてきた、香りの文化。平安の頃には、着物にお香をたいて香りを移していた貴族たちの姿が、『源氏物語』にも記されている。山田松香木店はそうした古くからのお香の文化を今に伝える老舗だ。
    種類ごとに分けられたお香の原料が入った引き出し。その数に圧倒される
  • spot 24
    匂袋作り体験(山田松香木店)
    かわいいけれど本格派!お香の老舗で作る雅な匂袋
    身に付けているとさりげなくよい香りに包まれる匂袋。今も昔も京都土産の定番として、愛され続けている。お香の老舗・山田松香木店(やまだまつこうぼくてん)では、自分好みの香りで仕上げる匂袋作り体験が人気だ。
    体験では複数の色柄から小袋を選ぶことができる
  • spot 25
    澤井醤油本店
    大きな木樽でていねいに熟成! 昔ながらの製法を守る洛中のお醤油屋さん
    京都御所のほど近くに位置する澤井醤油本店。創業以来140年にわたり、地元を中心に愛され続けている醤油の老舗だ。店内には醤油を造る大きな木樽があるなど、ちょっとした蔵見学気分も楽しめる。
    「もろみ」と書かれた大きな看板が目印
  • spot 26
    菅原院天満宮神社
    平安時代の貴族・菅原道真の誕生地に立つ神社
    「学問の神様」として名高い貴族・菅原道真の生誕地に立つ社。境内には遺愛の石灯籠や産湯に使われたという井戸がある。学問成就をはじめ、末社の梅丸大明神は痛みを和らげるご利益で信仰される。
    祭神・菅原道真公は右大臣という高い地位についたことから「出世」を願う絵馬もある
  • spot 27
    俵屋吉富
    代表銘菓「雲龍」で知られる創業260年の京菓子の老舗
    江戸時代中期創業の京菓子の老舗。代表銘菓「雲龍」は、隣接する禅寺・相国寺の「雲龍図」にちなみ考案されたものだ。併設の京菓子資料館1階に立礼式のお茶席があり、季節のお菓子とともに一服することができる。
    立礼席でいただける「雲龍」。自宅では好きなサイズにカットして食べることができるのもうれしい
  • spot 28
    京菓子資料館
    奥深い和菓子の魅力を伝える老舗ならではのコレクション
    京菓子の老舗「俵屋吉富」に隣接する資料館。1978年(昭和53)に「京菓子の文化をより多くの人に正しく伝えていきたい」という想いから開館し、2001年(平成13)に北隣の現在地に移転した。2階にある展示室の入り口を飾るのは、菓子職人の技術を結集した「糖芸(とうげい)菓子」。その鮮やかな色彩と精巧さは砂糖で作られているとはとても思えないほど美しい。京菓子が「食べる芸術品」と称されるのも納得できる。さらに室内には、俵屋吉富の職人たちが受け継いできた菓子の図案帳や木型、道具類など和菓子の歴史がわかりやすく展示されている。京都は良質な地下水が湧き、伏見を拠点にした水運の発達により砂糖が手に入りやすく、丹波など周辺地域から大納言小豆や栗など菓子作りに欠かせない材料の調達に恵まれてきた。さらに御所や宮家、公家、神社仏閣では、年中行事や祭りで菓子が用いられ、三千家をはじめとした家元では茶会のたびに茶菓子が作られてきた。これらの複数の要因が長い歴史のなかで重なり、京都の菓子文化がはぐくまれてきたといえる。季節感を醸し出す和菓子の世界に触れたあとは、1階のお茶席で季節の京菓子とともに一服しよう。
    菓子のデザインを描いた図案帳は、オーダーメイドで菓子を制作するときのカタログの役割もあった
  • spot 29
    安達くみひも館
    組紐の歴史や文化を学べる資料館で、色とりどりの手組み体験を
    着物の帯締めなど、和装には欠かせない組紐。色合いによって、まったく異なる雰囲気に仕上がるのも魅力のひとつだ。組紐の種類や道具、歴史などを知ることができる「安達くみひも館」では、オリジナル小物を作る体験が人気を集めている。
    丸台を使って、紐を組んでいく。約60分の体験
  • spot 30
    京都市歴史資料館
    京都が紡いだ悠久の歴史を編さんするミュージアム
    京都市の歴史をまとめる京都市歴史資料館は、その編さん過程で発見された古文書や絵図などを一般に公開している。2つの展示室と閲覧室からなる館は歴史好きならぜひ訪れたいスポットだ。
    京都御苑のすぐ東、寺町通に面する京都市歴史資料館
  • spot 31
    孝太郎の酢
    おいしくて体にやさしい酢を生み出し続ける、京都西陣の酢の老舗
    西陣織や応仁の乱で知られる京都・西陣の地に、昔ながらの製法を守りながらも新しい発想でユニークな商品を生み出す、酢の老舗がある。180年ほどの歴史を誇る「孝太郎の酢」だ。
    すし酢から麺つゆまでそろう、充実のラインナップ
  • spot 32
    My ぽん酢作り体験(孝太郎の酢)
    西陣の老舗でつくる、体にやさしい「My ぽん酢」
    京都・西陣にある酢の老舗・「孝太郎の酢(こうたろうのす)」。添加物や化学調味料を極力使わない製品にこだわった人気店だ。孝太郎の酢で今、注目を集めるのが自分好みのぽん酢を作る「My ぽん酢作り体験」だ。
    だいだい酢、すだち酢、ゆず酢から好きなものを選んで体験
  • spot 33
    京都府立植物園
    日本初の公立総合植物園! 京都北山の緑豊かな博物館
    24万平方メートルという広大な敷地に、日本最大級の温室をはじめ、四季の花壇、うっそうとした自然森、明るく開けた芝生など、日本と世界の植物が勢ぞろい。学びをサポートするとともに、市民の憩いの場として親しまれている。
    開園当初に植えられた樹齢100年を超えるくすのき並木
  • spot 34
    京都府立陶板名画の庭
    世界の名画の美しさを忠実に再現した庭園美術館
    地下鉄・北山駅からすぐ、京都府立植物園に隣接する「京都府立陶板名画」の庭は建築家・安藤忠雄氏の設計によって1994年(平成6)に完成した屋外美術館。クロード・モネ作『睡蓮・朝』、レオナルド・ダ・ヴィンチ作『最後の晩餐』、ゴッホ作『糸杉と星の道』、高山寺所蔵『鳥獣人物戯画(甲巻・乙巻)』など、陶板画に再現した世界の名画8点を鑑賞することができる。陶板名画の美術館としては1000点以上を保有する大塚国際美術館(徳島県)が有名だが、こちらも同じ大塚オーミ陶業株式会社が制作に携わり、実は大塚国際美術館よりも先に開館した世界で初めての絵画庭園なのだ。入り口から進むと、ゆるやかなスロープを使って3層の回廊から陶板画を鑑賞ができる構造で、見る場所や視点によって絵画の表情が多彩に変化する。なかでも圧巻なのが、大きな壁にそびえるミケランジェロ作『最後の審判』。ほぼ原寸大という縦1430cm、横1309cmのスケールは圧倒されるばかり。屋外という場所がら、天候や気温によってその印象はずいぶん異なる。京都府立植物園とのお得なセット券での入場もおすすめだ。
    ミケランジェロの筆の勢いまで感じられる『最後の審判』は、1990年(平成10)当時の原画を再現している
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旅のヒント

  1. その1

    京都御所や京都御苑は砂利が敷かれているのでキャリーバッグは不向き。大きな荷物は預けて歩きやすい靴で訪問しよう。

  2. その2

    京都仙洞御所や京都迎賓館は参観に定員がある。各所のウェブサイトをチェックし、見学できるかどうかの確認が必要だ。

  3. その3

    交通は地下鉄・京阪電車・市バスなど充実している。訪問したいスポットに合わせてアクセスを使い分けよう。

  4. その4

    人気の「豆餅」や厄除け菓子の「唐板」、発祥の地で味わう「みたらし団子」など京都ならではの甘味もそろっている。

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