滋賀

湖東・彦根

KOTO / HIKONE

国宝・彦根城と湖東三山で歴史的建造物に出合う

琵琶湖の東部に位置する彦根エリアといえば、国宝「彦根城」が名高い。かつて2万5000以上あったといわれる全国の城のなかで、天守が現存し、国宝に指定されているものは5つだけ。そのうちのひとつが彦根城だ。天台宗の名刹「西明寺」「金剛輪寺」「百済寺」の3つを総称する「湖東三山」は、国宝や重要文化財の宝庫。湖西のメタセコイヤ並木とともに日本紅葉100選に名を連ね、四季折々の美景で人々を魅了する。伊勢神宮の祭神・天照大神の親神を祀り、縁結びや長寿のご利益で信仰を集める近江国第一の社、多賀大社も人気。お土産には門前名物・糸切り餅を忘れずに。また、東近江の五個荘は、天秤棒をかつぎ、全国を渡り歩いて商いにいそしんだ「近江商人」発祥地のひとつ。近江商人を育んだ上質な屋敷を見学し、錦鯉の泳ぐ風情ある街並みを歩いてみよう。

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エリアの見どころ

  • spot 01
    東近江市近江商人博物館/中路融人記念館
    近江商人発祥地のひとつ、五個荘で近江商人の軌跡に触れる
    東近江市五個荘は、売り手によし、買い手によし、世間によしの「三方よし」の精神で全国を行商した近江商人の発祥地のひとつ。近江商人の軌跡を学べる近江商人博物館と、五個荘にゆかりの深い日本画家・中路融人記念館(なかじゆうじんきねんかん)を訪ねてみよう。
    白壁に舟板塀が特徴の、商人屋敷の蔵をイメージした外観
  • spot 02
    彦根城
    江戸初期の城郭の姿を今に伝える、井伊家ゆかりの名城
    関ヶ原の戦いで徳川方の武将として活躍し、彦根藩主となった井伊家の居城彦根城。国宝天守をはじめ、4つの櫓(やぐら)と全国の城のなかで彦根城だけにしかない馬屋が重要文化財となっており、見ごたえのある城だ。
    3種の破風を配した華麗な天守
  • spot 03
    玄宮楽々園
    彦根藩主が造営した大名庭園から彦根城天守を仰ぎ見る
    玄宮楽々園は、彦根藩4代井伊直興が、1677年(延宝5)から2年の歳月をかけて造営した下屋敷と池泉回遊式の大名庭園の総称で、現在は庭園を玄宮園、屋敷を楽々園と呼んでいる。彦根城から下りてきたあとなら、黒門券売所そばの玄宮園西券売所から左手にある「楽々園」へ。幕末に活躍した大老・井伊直弼の生誕地だ。直弼の父・直中の時代には現在の10倍もある壮大な建物だった。現在は書院や地震の間など一部が残っている。玄宮園側の入り口をくぐると、右手の建物は、彦根藩の賓客をもてなした「鳳翔台」。現在は気軽に抹茶をいただける場となっている。庭園は4つの中島や意匠の異なる橋が架かり、池のほとりを歩くと変化に富む景色が待ち受ける。いちばんの見どころは池越しに望む彦根城天守で、晴天で風のない日は池が水鏡となって天守を映す。国の名勝庭園から国宝天守を望めるのは日本でここだけだ。
    玄宮園は隣接する楽々園とともに国の名勝に指定
  • spot 04
    彦根城博物館
    彦根城表御殿を復元した博物館で「井伊家の赤備え」を見学
    1987年(昭和62)、彦根市の市政50周年を記念して建てられた博物館。彦根藩の政庁と藩主の住まいを兼ねた彦根城表御殿の跡地に建物をよみがえらせた。代々彦根藩主を務めた井伊家に伝わる美術工芸品や古文書から彦根や彦根藩に関する資料まで、収蔵点数は9万1千件を超える。見どころのひとつが、機能性と芸術性を兼ね備えた武器・武具の数々。「井伊の赤備え」と称された井伊家の甲冑をはじめ、太刀、短刀、鞍などが展示されている。館の中央にある、200年前に建てられた、大名御殿のなかで唯一現存する能舞台も見逃せない。また、木造棟は、平面の古絵図や立体的な図面、鳥瞰図など調査で得た貴重な資料を元に、藩主が暮らした「奥向(おくむき)」を復元している。井伊家の栄華を垣間見ることで、彦根城をより身近に感じさせてくれる博物館だ。
    彦根城の表門口から入って右手の建物が彦根城博物館
  • spot 05
    彦根城屋形船
    井伊家の藩主専用船を再現した船で彦根城内堀を巡る
    江戸時代、彦根藩の藩主を代々務めた井伊家は160隻以上の軍船を保有していたという。\井伊家藩主の専用船を現代によみがえらせたのが、「彦根城屋形船」。当時の絵図面や幕末に撮影された古写真をもとに忠実に復元した「掃部(かもん)丸」「中将(ちゅうじょう)丸」「万千代丸」「柳王丸」という名の4つの船を備える。乗船は藩主が使用する舟着場のあった玄宮園前の乗り場から。桜と紅葉のシーズンには予約がベターだが、通常期は空きがあれば乗船可能だ。船頭さんのユニークなガイドを聞きながら内堀を巡ると、堀のほとりを散策するのとはまた異なる視点で彦根城の魅力に触れることができる。船旅のハイライトは、船上から仰ぎ見る彦根城天守。城郭を囲む石垣の造りも見どころだ。四季折々の色彩のなか、内堀に住む白鳥の親子やカモが憩う姿も見られ、時の流れがゆったりと感じられる。
    1日に6-7便運航している。屋根があるので雨の日も安心
  • spot 06
    夢京橋キャッスルロード
    江戸時代の城下町を再現した観光ストリート
    彦根城の中堀に架かる京橋は、一千石以上の武士が住んでいた内堀と中堀の間の第二郭(かく)と中級以下の武士や商人、職人が住んでいた中堀と外堀の間の第三郭をつないでいた橋。城下町時代、京橋界隈の本町は商業が発展し、活気のみなぎる町だったという。近代化にともなって江戸時代の面影は次第に失われていったが、昭和後期、景観再生のために京橋から延びる本町通を整備したのが「夢京橋キャッスルロード」。通り沿いは、白壁や格子窓の町家風の建物に統一され、江戸時代の伝統的な街並みが新たに造られた。通りの両脇には彦根銘菓として知られる老舗和菓子店や近江牛の有名店、湖魚料理を味わえる店といった飲食店や土産物店が軒を連ねており、彦根城散策の前後にぜひ立ち寄りたいスポットだ。
    城下町の雰囲気を感じられる夢京橋キャッスルロード
  • spot 07
    近江ちゃんぽん亭 彦根駅前本店
    滋賀のソウルフード・近江ちゃんぽんを発祥地で味わう
    彦根のご当地グルメから知名度を上げ、今や滋賀のソウルフードとなった「近江ちゃんぽん」。豚骨ベースの長崎ちゃんぽんとは異なり、和風だしがベースであること、具材を手鍋で煮込んで仕上げること、途中でお酢をかけて味の変化を楽しめることなどが特徴だ。近江ちゃんぽんを提供する店は多くあるが、彦根城観光と合わせて本場で近江ちゃんぽんを堪能するなら、発祥地に建つ「近江ちゃんぽん亭 彦根駅前本店」へ。1963年(昭和38)に創業した麺類食堂「麺類をかべ」の味を引き継ぎ、1988年(昭和63)をかべの跡地にオープンした「近江ちゃんぽん」を代表する店だ。道南産の昆布、削り節などの特選素材をブレンドし、農林水産大臣賞に輝いた特級金印醤油で仕上げたスープは、滋味深い味わい。滋賀県産を主体に旬に合わせて仕入れる新鮮な野菜と、赤身と脂身のバランスが良い「かぶり肉」が旨味と甘味を引き立てている。イチオシは、定番の近江ちゃんぽんに野菜をたっぷりと載せた「近江ちゃんぽん 野菜大盛」。滋賀の大地の恵みを存分に味わいたい。
    近江ちゃんぽん野菜大盛990円
  • spot 08
    あゆの店きむら 彦根京橋店
    母なる湖、琵琶湖に育まれた湖魚や鮒寿しを提供
    琵琶湖で獲れる湖魚といえば、ビワマス、ニゴロブナ、本モロコ、イサザ、ゴリ、小鮎、スジエビ、ハスなどがある。なかでも琵琶湖にだけ生息する小鮎は、成魚でも10cm以下と小ぶりだ。この小鮎や本モロコなどの小魚を甘辛く炊いた料理や、ニゴロブナと塩、飯を乳酸発酵させて作る奈良時代発祥の「鮒寿し」は、滋賀の郷土料理として親しまれている。彦根城界隈で湖魚料理のお土産を探すなら、鮎の養殖を手がける水産会社直営の「あゆの店きむら 彦根京橋店」がおすすめ。店内では湖魚の佃煮や鮒寿司などの自家製品を販売している。
    鮎の専門店、あゆの店きむら 彦根京橋店
  • spot 09
    多賀大社
    伊勢神宮の祭神・天照大神の親神を祀る近江国第一の社
    「お伊勢参らばお多賀へ参れ、お伊勢お多賀の子でござる」。古来詠まれた歌にあるように、多賀大社は、伊勢神宮の祭神・天照大神の親神を祀る。延命長寿や縁むすび、厄除けのご利益で信仰を集める近江第一の社を参拝しよう。
    「絵馬通り」に面して建つ石造りの鳥居
  • spot 10
    多賀や
    平和な世と長寿を願う、多賀大社の門前名物
    多賀大社の門前名物といえば、なめらかなこし餡を包んだ餅に、赤と青の3本の線をあしらった「糸切餅」。長く伸ばした餅を包丁ではなく三味線の糸で切るのは、刀や槍など武器を使うことのない平和な世と長寿への願いが込められている。かつて糸切餅を作る店は界隈に20軒ほどあったが、現在は3軒のみ。糸切餅の本家本元が、多賀大社の鳥居前に構える「多賀や」。三重県境の旅籠屋に始まり、200年を超える時を紡ぐ店だ。糸切餅の歴史は江戸時代に端を発するが、「不易流行」の心得により進化し、昭和時代に現在の形状が完成したという。線の色が赤と青なのは、鎌倉中期、蒙古軍撤退を祝して多賀大社に献上された船印にちなんだという説が有名。もうひとつ、大阪で腕を磨いて多賀に戻った和菓子職人がタニマチをしていた相撲取りの化粧まわしの色にヒントを得た、という説も伝わっている。
    米粉100%で作る多賀やの糸切餅800円(税込)(10個入)
  • spot 11
    百済寺
    湖東三山の最南、「最後の山城」の趣を残す近江の最古級寺院
    聖徳太子が創建した百済寺は近江で最も古い寺院のひとつで、湖東三山の最南地に位置する。宣教師ルイス・フロイスが「地上の天国」と讃えた、美しき城郭寺院を訪ねてみよう。
    「赤門」と呼ばれる朱塗りの総門。くぐれば入試合格のご利益が!?
  • spot 12
    佐和山城跡
    石田三成が5層の天守を構えた佐和山城の城跡を巡る
    彦根にそびえる標高232.5mの佐和山。関ケ原の戦いに敗れた石田三成のあと、徳川方の井伊直政が城主となったが、彦根城の築城により廃城。城跡を訪ね、武士たちも眺めたであろう眺望を楽しもう。
    山の中腹に立つ「佐和山城跡」の看板が目印
  • spot 13
    金剛輪寺
    国宝本堂で重文の仏像群を間近に鑑賞できる湖東三山の名刹
    湖東三山のひとつに名を連ねる金剛輪寺。国宝の本堂「大悲閣」をはじめ、重要文化財の三重塔、二天門、寺を開いた行基みずからが彫った秘仏の本尊・聖観世音菩薩などの仏像群で名高い。近江随一と称される国の名勝庭園も見どころだ。
    江戸時代に建立された「黒門」こと総門
  • spot 14
    西明寺
    国宝本堂と三重塔、国の名勝庭園が見事! 湖東三山の苔の寺
    湖東三山のひとつに名を連ね、紅葉名所としても知られる西明寺。鎌倉時代に建てられた国宝の本堂と三重塔のほか、頭上に十二支の動物を載せた十二神将、国の名勝庭園「蓬莱庭」など見どころの多い古刹だ。
    鎌倉後期、飛騨の名工が釘を1本も使わず建てた総檜造の三重塔
  • spot 15
    永源寺
    葦葺きの本堂や岩崖の十六羅漢も見どころ、近江随一の紅葉寺
    フォトジェニックな紅葉のトンネルで名高い永源寺。風情ある葦葺きの大屋根を冠した本堂をはじめ、禅の教えが込められた見どころが点在しており。秋でなくても訪れたい名刹だ。
    総門手前の手水鉢「洗耳水」には禅の教えが込められている
  • spot 16
    五個荘金堂の町並み
    近江商人を育んだ屋敷と錦鯉の泳ぐ風情豊かな町並みを探訪
    天秤棒をかつぎ、全国を渡り歩いて商いにいそしんだ「近江商人」発祥地のひとつ、五個荘。豪商の屋敷を訪ね、かたわらの水路に錦鯉が泳ぐ町をそぞろ歩いて、近江商人の精神や暮らしぶりを垣間見てみよう。
    車の往来が多くないため、ゆったりと歩ける
  • spot 17
    外村繁邸
    第1回芥川賞候補となった、滋賀を代表する作家・外村繁の生家
    『草筏』が第1回芥川賞候補となり、のちに池谷賞や野間文学賞を受賞した滋賀を代表する作家・外村繁(とのむらしげる)の生家。明治時代、全国長者番付に名を連ねた豪商・外村宇兵衛家の分家で、繁の父・吉太郎が呉服木綿問屋として財をなした。三男であった繁は一時家業を継いだが、文学を志すため弟に譲り、東京で井伏鱒二や太宰治など仲間とともに作家活動に勤しんだという。広大な屋敷は、1901年(明治34)に京都の大工により建てられたもの。家族や番頭、使用人たちが暮らした大きな主屋は、2階の客間、水屋(台所)、風呂場など部屋の随所に華やかさではなく質の良さを重視した近江商人の心意気が感じられる。繁が帰省時に執筆した小部屋や蔵の中にある「外村繁文学館」も必見だ。
    2400平方メートル強の広々とした敷地
  • spot 18
    中江準五郎邸
    「幻の百貨店王」と称された三中井一族の邸宅
    「幻の百貨店王」と称された三中井(みなかい)百貨店創業者中江家の四男中江準五郎の邸宅で、近代近江商人の典型的な本宅として公開されている。三中井一族の隆盛は、五個荘金堂町に本部をおいた長男中江勝治郎が1905年(明治38)、三中井呉服店を発足させたことに始まる。朝鮮半島や中国大陸に20店舗余りの百貨店を次々に出店。現在の価値で5000億円に相当する莫大な富を築いたものの、敗戦によってすべてを失ったことが「幻」と呼ばれるゆえんだ。建物奥の蔵では、地元・五個荘の郷土玩具「小幡(おばた)人形」が常設展示されている。「小幡でこ」の名で親しまれるこの土人形は、飛脚をしていた初代細居安兵衛が京都で出合った伏見人形にヒントを得たもの。300年を超える歴史をもち、幾度も年賀切手のモデルに採用された郷土民芸品だ。琵琶湖の形を模した池泉回遊式庭園や、バラエティに富んだデザインの石灯籠15基、鞍馬石の大きな敷石も必見だ。
    1933年(昭和8)に建てられた
  • spot 19
    龍潭寺
    江戸初期の2つの名庭を擁する彦根藩主・井伊家の菩提寺
    佐和山城跡が残る佐和山のふもとにたたずむ、臨済宗妙心寺派の龍潭寺。彦根城主・井伊家の菩提寺で、「だるま寺」としても親しまれる。仏の世界を表す方丈南庭や小堀遠州ゆかりの書院東庭は必見だ。
    龍潭寺の拝観入り口。参道をしばらく進むと山門がある
  • spot 20
    藤井彦四郎邸
    日本経済の礎を築いた実業家の旧宅で和・洋の館を見学
    スキー毛糸の製造や人工絹糸(レーヨン)の輸入販売などにより一代で財をなし、日本経済の礎を築いたといわれる実業家・藤井彦四郎の旧宅。8155平方メートルを誇る敷地は、庭園、総檜造りの客殿、生家を移築し生活の場とした主屋、洋館で構成され、近江商人の暮らしぶりや歴史を伝える資料館として公開されている。客殿に隣接し、迎賓館の役割を果たした洋館には、まるごと1隻購入したという豪華客船の調度品を活用。池泉回遊式の壮大な庭園は彦四郎自身の構想によるもので、アカマツなどの名木や珍しい石を配した趣き豊かな庭だ。得意先や皇族をもてなした客殿はぜいたくに、日常生活を営んだ主屋は質素に、と対照的な造りとなっており、倹約を大切にした近江商人の精神をうかがえる。土蔵や展示館には、商人の道中姿や帳場風景を再現。商いに使っていた道具や小間物類の展示、日本近代社会の父と称される渋沢栄一の書による扁額も見逃せない。
    上質な材を用い、洗練された客殿座敷
  • spot 21
    彦根みやげ本陣
    彦根城の見物後に立ち寄りたい、豊富な品ぞろえの土産処
    日本に現存する国宝天守5つのうちの1つ彦根城は、滋賀県でも指折りの人気観光スポット。お城見物のあと、彦根や滋賀県のご当地土産を買い求めるなら、彦根城の中堀に面した「彦根みやげ本陣」がおすすめだ。
    彦根城のそばというロケーションになじんだ店構え
  • spot 22
    大洞弁財天 長寿院
    彦根藩の藩寺から楼門越しに国宝彦根城を一望
    「日本三大弁財天」のひとつとされる弁財天坐像を安置し、「大洞(おおほら)弁財天」の別名をもつ長寿院。近江七福神に名を連ね、開運や商売繁盛のご利益で親しまれている。楼門を額縁に見立てて望む彦根城も必見だ。
    白狐が両脇を守る楼門の彼方に彦根城が見える
  • spot 23
    天寧寺
    井伊家が代々心の拠りどころとした禅寺で出合う、圧巻の五百羅漢
    代々彦根藩主を務めた井伊家が心の拠りどころとした天寧寺(てんねいじ)。静謐な境内には、探し求める人の顔に必ず出合えるという五百羅漢をはじめ、桜田門外の変に倒れた井伊直弼の遺品を埋めた供養塔など多くの見どころがある。
    五百羅漢を安置する仏殿(羅漢堂)。堂内中央は本尊の釈迦如来と十大弟子
  • spot 24
    道の駅 せせらぎの里こうら
    地元の特産品をはじめ、焼き立てピザやクレープも人気の道の駅
    犬上郡甲良(こうら)町は、江戸城や京都の二条城などを手がけた築城の名手、藤堂高虎(とうどうたかとら)の生誕地。高虎の騎馬像が立つ高虎公園をはじめ、高虎ゆかりのスポットや、「湖東三山」のひとつ西明寺などを擁する自然豊かでのどかな町だ。西明寺から車で5分の「道の駅 せせらぎの里こうら」には、地元で採れる四季折々の新鮮野菜や果物、花、甲良町の素材を使った特産品が並ぶ直売所、ご当地グルメを楽しめる軽食コーナー、甲良町や周辺エリアの観光情報を得られる情報コーナーがある。特徴的なのは、広々としたドッグランを併設し、愛犬家のための商品が充実していること。また、東京・日本橋で親しまれたイタリアンレストランのシェフが愛用の石窯とともに滋賀に移住して開いたテイクアウトのピザ専門店「ピッツェリア ウノ」と、シェフ監修のクレープ専門店「クレープス」もある。ピザは「特選近江牛ピザ」、「地元野菜のピザ」など定番のほか、旬の素材をトッピングした季節限定ピザや、塩分を最小限にした犬用の「わんちゃんピザ」も。国産小麦や滋賀県産の卵など厳選素材で作るもっちり食感のクレープも人気を集めている。
    芝生の広場や小川のほとりでドライブ休憩を。写真右奥の建物は道の駅の一部
  • spot 25
    宗安寺
    佐和山城の大手門を移築したと伝わる「赤門」がシンボル
    江戸時代の町並みを再現した彦根城下の観光ストリート「夢京橋キャッスルロード」に門を構える宗安寺。秀吉に仕えた知将・石田三成ゆかりの千体仏や、秀吉の側室・淀殿の念持仏と伝わる本尊に会いに行こう。
    観光客が行き交う通りにひときわ風格を添える赤門
  • spot 26
    近江牛肉せんなり亭 伽羅
    彦根城見物とあわせて立ち寄りたい、近江牛の人気店
    風味、香り、食感のよさから全国的に知られる近江牛は、滋賀県のご当地グルメの代表格。彦根城の城下町に暖簾を掲げる「近江牛肉せんなり亭伽羅(きゃら)」で、ランチやディナーを堪能しよう。
    ランチの「近江牛 和風ロースステーキ重」4200円。季節の小鉢、椀物、香の物が付く
  • spot 27
    八千代 駅前店
    近江牛や近江米、赤こんにゃくを使った彦根のご当地丼
    彦根市内には、近江米や地産地消の食材を使って創意工夫を凝らした「ひこね丼」を味わえる飲食店がいくつかある。そのなかでも人気を集めているのが、創業から100年にわたりこの地に暖簾を掲げる食堂、八千代の「ひこね丼」で、彦根城築城400年を迎えた2007年(平成19)に誕生した。ふっくらと炊き上げた近江米のご飯に玉ねぎ、牛すじ、紅白のこんにゃく、温泉卵、大葉、ネギを載せている。すき焼き風と聞くとこってりとした味わいをイメージするが、出汁がしっかりと利いてあと味はあっさり。北海道産の利尻昆布とかつお節でていねいに引いた自慢の出汁は、八千代で長年親しまれてきたうどんやそばの要でもある。じっくりと煮込んだ牛すじは、口に入れるとほろほろ、玉ねぎはシャキシャキと食感の変化も楽しい。近江牛を使ったメニューには、「ひこね丼」のうどんバージョンやすきやき鍋、牛すじカレーうどん、他人丼なども。小鮎の佃煮や海老豆、鮒ずしといった滋賀の郷土料理や地酒も味わえる、使い勝手のいい一軒だ。
    「ひこね丼」1100円。縁を結ぶという願いを込め、結びこんにゃくを添えている
  • spot 28
    多景島
    島全体が日蓮宗のお寺!湖上の安全を見守るパワースポット
    琵琶湖に浮かぶ4つの島といえば、沖島、竹生島、沖の白石、そして多景島(たけしま)だ。元は竹に覆われた竹島だったが、眺める位置によって島影が多様に変化することからのちに「多景島」と呼ばれるように。霧の日は軍艦が浮かんでいるようにも見えることから「軍艦島」の異名ももつ。周囲約600mの島全体が日蓮宗見塔寺(けんとうじ)の境内で、寺の開創は夢告によりこの島を訪れた日靖上人。島内には本堂のほか、明治天皇の五箇条の御誓文を刻んだ「誓いの御柱」や、お釈迦様が悟りを開いて今まさに山を出ようと片膝を立てた姿の出山釈迦牟尼佛(しゅっせんしゃかむにぶつ)像を安置する釈迦堂などが点在する。島の北側にそびえる高さ12m、幅4mの題目(だいもく)岩にはかつて「南無妙法蓮華経」の文字が刻まれていたが、度重なる荒天の影響で徐々に亀裂が入り、2018年(平成30)に崩落して湖底に沈んでしまった。彦根藩主の井伊直弼が桜田門外の変で暗殺された際には岩に鮮血を滲ませたというエピソードが伝わる。毎年3月から11月末までオーミマリンの彦根港から1日1本の定期観光船が運航しており、上陸後、帰りの乗船時間までの約30分間、自由に島内を巡ってみよう。
    船は多景島に入港する前、島を一周してくれるのでその名のとおり多様な景色を眺められる
  • spot 29
    vokko
    心豊かな暮らしに寄り添う、湖畔の小さな雑貨店
    琵琶湖の畔にたたずむ「vokko(ゔぉっこ)」は、北欧のヴィンテージを中心に、国や銘柄、流行にとらわれず、永く大切に使いたくなる衣・食・住のアイテムを扱う雑貨店。地元滋賀で雑貨店を開くことを夢に描いていたオーナーの巽さん夫妻が、縁あって別荘として使われていた古屋と出合い、リノベーションを行った。床や壁など手の届くところは自分たちの手で塗装をしたといい、シンプルでいて随所にセンスが光る美しい空間には、カップ&ソーサ-や、グラス、プレート、カトラリー、アクセサリー、キャンドル、革製品といった日用の品が並ぶ。北欧は旅行で訪れたのを機にどんどんひかれていった場所。自ら買い付けに足を運び、使ってこそ魅力が増してゆく「用の美」が感じられるアイテムをセレクトするのだという。平日のみオープンする奥の喫茶スペースでは、チーズケーキやタルトとコーヒーや紅茶、ソフトドリンクとともにゆるやかな時間を過ごせる。店の名は、アネモネ科の花のフィンランド語名や、「日向ぼっこ」とかけあわせてつくったオリジナルの言葉。街の喧騒から離れた静ひつな湖畔で、日々の暮らしに寄り添う一品を探してみてはいかが。
    店の裏手には悠々と枝を広げるセンダンとエノキの大樹、その向こうに琵琶湖が
  • spot 30
    豊郷小学校旧校舎群
    建築家ヴォーリズが手がけた「東洋一の小学校」旧校舎を見学
    アメリカ人建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズの設計により建てられた豊郷(とよさと)小学校。「白亜の教育殿堂」「東洋一の小学校」と讃えられた旧校舎群は、アニメや映画、テレビドラマの舞台としても有名。予約不要で自由に見学できる。
    旧校舎群は耐震・改修工事を経て、2013年(平成25)、国の有形文化財に登録された
  • spot 31
    三中井
    名物「オリンピア」で親しまれる昭和レトロな洋菓子店
    国宝彦根城の城下町に店を構える「三中井(みなかい)」は、「幻の百貨店王」と称された近江商人・三中井一族の中江家が1954年(昭和29)に創業した洋菓子店。創業当時からの看板スイーツは、「オリンピックに出場できるくらいおいしいお菓子を」との想いから生み出した個性派ロールケーキ「オリンピア」。生地はスポンジではなくシュー生地。カスタードクリームを織り交ぜることでしっとりとした食感に焼き上げ、甘さを控えた生クリームと黄桃をくるくると巻いている。オリンピアのほかショーケースに並ぶのは、フルーツタルトやアップルパイ、プリン、モンブランなど王道のケーキたち。少々日持ちがするものを選ぶなら、サブレの上にキャラメルアーモンドを載せたフロランタン「彦根城」や、洋酒に漬け込んだレーズン入りのフルーツパウンドケーキ「城下町」がおすすめ。「城下町」は2種あり、「金」にはリンゴ、「銀」にはナッツが入っている。これらの焼き菓子を、彦根城の天秤櫓をモチーフにしたオリジナルパッケージに詰め合わせたものもあり、彦根土産にぴったり。生菓子のみならず焼き菓子も単品でイートインが可能。古きよき昭和の面影を残す店内でスイーツタイムを楽しもう。
    「オリンピア」1カット380円。1本は1680円
  • spot 32
    いと重菓舗
    彦根藩13代・井伊直弼公ゆかりの彦根の代表銘菓
    白餡をくるんだ求肥(ぎゅうひ)に、最高級の砂糖と称される阿波(徳島)の和三盆糖と京都産抹茶をあわせてまぶした「埋れ木」は、彦根の代表銘菓。口に入れるとさらさらとほどけていく和三盆糖の奥ゆかしい甘さ、自家製白餡のなめらかさ、香り高い抹茶が奏でる上品な味わいは、お茶席にも重宝されている。いと重菓舗(いとじゅうかほ)の創業は、1809年(文化6)。初代・糸屋重兵衛は糸問屋を営んでいたが、妻のますの夢に老翁が現れて菓子の製法を伝授されたことから、副業だった菓子作りを本業にしたという。「埋れ木」の名は、代々彦根藩主を担った井伊家13代当主であり江戸幕府の大老も務めた井伊直弼が、青年時代を過ごした屋敷「埋れ木の舎」が由来だ。桜が香る「さくら」をはじめ、「お濃茶」「檸檬」「ほうじ茶」「きなこ」など季節の風味をあわせた限定商品も登場する。もう1つのおすすめは、「柳のしずく」。直弼公の依頼で落雁を作ることになったとき、直弼公が自ら彫った柳の文様入りの木型を授かったといい、その木型と同じ模様を複製して作ったもの。白餡をバター風味の生地で包んだ焼き菓子で、日本茶はもちろんのこと、コーヒーや紅茶との相性も抜群だ。
    「埋れ木」1箱896円(6個入)。3個入から購入可能
  • spot 33
    藤居本家
    御神酒を宮中に献上、老舗造り酒屋の酒蔵を見学
    江戸時代の1831年(天保2)に創業し、代々酒造りを受け継いできた藤居本家(ふじいほんけ)は、五穀豊穣に感謝する宮中行事「新嘗祭(にいなめさい)」に御神酒(白酒)を献上する栄を賜る蔵元。国の登録有形文化財の酒蔵見学と試飲が楽しめる。
    白壁に赤レンガの煙突が印象的な東蔵
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    キリンビール滋賀工場 キリンビバレッジ滋賀工場
    見学後のテイスティングもお楽しみ! キリンの工場見学ツアーへ
    工場の多い滋賀県にはさまざまな工場見学ツアーがあるが、特に人気を集めているのが、「キリンビール」と「キリンビバレッジ」の滋賀工場。できたてのおいしさを体感できる工場見学ツアーをのぞいてみよう。
    彦根市から南東方面、隣接する多賀町にある。ビール工場見学の場合、車での来場は控えて
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旅のヒント

  1. その1

    彦根へは、JR琵琶湖線を利用して彦根駅へ。新幹線・米原駅から彦根駅までは1駅。多賀大社や近江商人屋敷のある五個荘への移動は、ローカル線の近江鉄道を活用するといい。

  2. その2

    彦根駅構内に彦根市観光案内所があるので、立ち寄ってパンフレットやマップなどを入手しておこう。

  3. その3

    湖東三山は、ぜひ3つセットで巡りたい。紅葉シーズンのみJR琵琶湖線彦根駅から湖東三山連絡シャトルバスが運行している。そのほかの季節なら車での移動がスムーズ。

  4. その4

    彦根城や湖東三山は石段が多いので、歩きやすい靴がおすすめ。

  5. その5

    佐和山城跡は電灯がないので、日が暮れる前に下山しよう。

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