富山

立山

TATEYAMA

登山せずに雲上の世界へ。大自然に心を癒やす

富士山と白山とともに日本三名山に数えられる立山。いにしえから山岳信仰の聖地として修験の場だったが、現在は、バスやケーブルカーで気軽に訪れることができる世界有数の山岳観光ルートとなった。「立山黒部アルペンルート」は登山経験者でなくとも雲上の景色を見られるとして、多くの観光客が詰めかけている。また、ルート内には、通称「くろよん」と呼ばれ、えん堤の高さが日本一であることで有名な黒部ダムを見学することができる。眼前に迫るダムの大きさが、壮絶だったとされる工事の一端が垣間見えるだろう。大自然に包まれ、大自然と戦った歴史に出合うエリアだ。

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エリアの見どころ

  • spot 01
    立山黒部アルペンルート
    バスなどで誰でも気軽に登れる雲上の楽園へ
    古くから霊山として崇められ、今では年間100万人の観光客が訪れる立山。山岳観光ルートとして人気が高く、4月中旬から11月までの期間、新緑や紅葉、雪化粧など、豊かな表情を見せてくれる。
    正面に見えるのが大日連山。中央左にみくりが池とみどりが池がある
  • spot 02
    立山自然保護センター
    ライチョウをはじめとした立山の自然の豊かさを知る
    立山には、ライチョウやオコジョなどの動物が生息し、チングルマやタテヤマリンドウといった高山植物が花を咲かせる。立山自然保護センターは、自然と触れ合いながら、自然を愛する気持ちを育てている。
    立山の動植物の生態を学ぶことができる
  • spot 03
    室堂
    立山黒部アルペンルートの観光の要所
    立山黒部アルペンルートの最高地点、標高約2450mにある室堂。アルペンルートの観光の拠点となっており、周辺では、みくりが池やエンマ台、血の池など、今まで経験したことのない感動的な景色を見られるだろう。
    室堂ターミナルを中心に周辺スポットを散策する
  • spot 04
    みくりが池
    室堂平を象徴する神秘の湖でライチョウに出合う
    室堂平のシンボルといわれるのが、面積約3万平方メートル、周囲約630m、深さ15mのみくりが池だ。標高2450mに位置する立山火山の火山湖で、「みくり」は漢字で「御厨」と書き、神様の食事を調理する場所のことを指している。風がまったくない日は湖面が鏡のようになって青空と立山を映して光り輝く。条件によっては、湖面に大きなハートが現れることもあり、みくりが池温泉下の階段から見ることができる。運が良ければ「神の使い」ともいわれるライチョウに出合えることも。2012年(平成24)に公開された細田守監督の映画『おおかみこどもの雨と雪』の舞台にもなった。高山植物が生えている時期は美しさがさらに際立つ。すぐ近くには、日本一高所にある天然温泉の湧くみくりが池温泉があり、無加水・無加温で男女別の展望内湯がある。白濁で硫黄の香りのする100%かけ流しの温泉が疲れを癒やしてくれる。
    7月に入ってからも残雪が残っている
  • spot 05
    エンマ台
    現世で見られる地獄絵図。山々の眺望には心打たれる
    みくりが池温泉を過ぎた先にあり、その名のとおり、閻魔(えんま)大王が地獄谷を見下ろしているかのような展望台だ。灰白色の山肌、噴煙が吹き上げる荒涼とした景色は、まさに地獄そのもの。以前は地獄谷を散策することもできたが、人体に有害な火山性ガスが影響で通行止めとなり、この場所でしか見られない。風向きによって火山性ガスの濃度が高まるため、近くにある火山ガス情報ステーションで危険度を表示している。展望台の正面には、雄山山頂の西側にある山崎カール(圏谷[けんこく])があり、その谷状の地形は氷河の浸食によってできたものだ。1905年(明治38年)に地理学者の山崎直方が日本で初めて発見し、日本に氷河時代が存在したことを証明した。展望台から見える地獄谷、山崎カール、大日連山(奥大日岳、中大日岳、大日岳など)、立山三山(雄山、大汝山、富士ノ折立)が季節ごとに表情を変え、いつ訪れても新しい発見がある。
    眼下では地獄谷からもくもくと煙が立ち上っている
  • spot 06
    黒部ダム
    人間の力が生み出した壮大な建造物に感嘆
    昭和30年代、日本が高度経済成長期を迎え、電力需要が高まりを見せるなか、建設されたのが黒部ダムである。目の当たりにしたとき、日本一の高さを誇るダムを造り出した人間の底力とチャレンジ精神に感嘆の声が漏れるだろう。
    6月26日から10月15日までは観光放水が行われている
  • spot 07
    黒部湖遊覧船ガルベ
    黒部ダムがつくった人工湖を遊覧船で巡る
    黒部湖は、中部山岳国立公園内(富山県立山町)に建設された関西電力の黒部ダムによってできた人工湖である。ガルベは、日本一高所を周遊する遊覧船で、カンパ谷船着場から針ノ木谷の最奥部まで往復11.5km、約30分のクルージングが楽しめる。立山連峰や長野県側の後立山連峰を望むことができ、エメラルドグリーンに輝く湖面は神秘的だ。ガルベという船名は「黒部」の語源となったアイヌ語で「魔の川」という意味の「ガルッベ」や「ガルベッソ」などをもとにしているとされる。出発直後の湖上から黒部ダムを眺めると、改めてその大きさに驚かされる。黒部湖をせき止めるダムの向こうは、高さ186mの堰堤(えんてい)で、自然に挑んだ人間の力に頭が下がる。船内でゆっくり景色を眺めるのもいいが、後方デッキで風に当たってクルージングの醍醐味を味わいたい。
    長い階段を下りていくとガルベが見えてくる
  • spot 08
    黒部ダムレストハウス
    黒部ダムを皿の中に詰め込んだカレーは必食!
    黒部ダムでの食事やグッズ選びに便利なレストハウス。7割以上の人が注文する名物の「黒部ダムカレー」(1300円)は、ご飯は堰堤(えんてい)、ヒレカツは流木とガルベ、ポテトサラダは放水、キャベツは放水の水しぶき、ラッキョウは外階段のコンクリートを再現している。ほうれん草を使ったルーは少し辛口だが、ココナッツミルクでまろやかになっている。小さな子どもには辛さを抑えた「甘口ダムカレー」がおすすめ。このほか、ラーメン、そば、うどんなども用意している。1階のカフェコーナーでは、ソフトクリームやドリンク、軽食を扱っている。中でも人気があるのは「くろにょんソフト」(480円)。信州の水でつくったクランチクッキーの上にもソフトクリームがたっぷり乗っていて、モカとバニラが選べる。
    黒部湖の湖面のエメラルドグリーンを表現
  • spot 09
    富山県立山博物館
    立山信仰の世界を理屈ではなく五感で理解
    立山の歴史と立山信仰、自然を紹介する広域分散型博物館。総面積約13万平方メートルの敷地のなかに、展示館、遙望館、まんだら遊苑、布橋、教算坊といった施設が点在しており、立山をより深く知ることができる。
    物や形にとらわれない世界を表現した「天至界」(まんだら遊苑)
  • spot 10
    雄山神社芦峅中宮祈願殿
    女性が参拝できた三社のひとつ
    霊峰立山を御神体として崇める雄山神社は、立山雄山宮とも称し、立山頂上峰本社、芦峅中宮祈願殿、岩峅前立社壇の三社殿から成り立っている。立山頂上峰本社に登拝できるのは、7月1日から3か月しかないことから、登拝できない人のための遥拝(ようはい)所的な役割も果たしてきた。また、江戸時代に女人禁制だった立山にあって、この地までは女人が入ることができ、参拝も許されたという。立山の主峰・雄山を正面にいただく位置にあり、立山を開山した佐伯有頼は、山上山下に壮大な神社仏閣を造立し、みずから立山座主としてこの地に永住した。鳥居から境内に入ると右手に小さな祠(ほこら)がある。子育ての守り神「宝童社」などがあり、ぜひお参りしてほしい。途中で左右に分岐し、左右の道の間には佐伯有頼の御廟がある。立山大宮には左へと向かい、その途中に祈願殿があるほか、右手には立山若宮が鎮座する。うっそうとした巨木が神秘的な雰囲気を生んでいる。
    かつては神仏習合で中宮寺(芦峅寺)と呼ばれた
  • spot 11
    布橋
    女性救済の橋渡り儀式が現代に復活
    芦峅寺集落から立山側は立山信仰では聖域とされた。此岸(この世)と彼岸(あの世)を隔てる境界線が姥谷川だった。必然的にそこに架かる布橋は、聖域への入り口となったという。また、立山は女人禁制だったことから、江戸時代、布橋では秋の彼岸の中日に「布橋灌頂会(かんじょうえ)」という橋渡り儀式を行っていた。血の池地獄からの救済と極楽往生の願いを叶えたいと多くの女性信者が参加したという。また、儀式では、橋に白布を渡し、女性信者はその上を目隠しで渡り、悪人は橋から転落したとされる。敷板の数は108枚で、煩悩の数を表している。
    晴れた日には立山を見ることができる
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旅のヒント

  1. その1

    電車で行くなら北陸新幹線「かがやき」か「はくたか」に乗り、JR富山駅で降りる。電鉄富山に乗り継ぎ、終点の立山駅で下車。車の場合、高速道路は立山ICで降り、立山駅まで約35分。立山駅から室堂までは約1時間。

  2. その2

    室堂は地上よりも10-15度ほど低い。夏であっても涼しいくらいで、残雪が残っている。5月、6月、10月はセーターなどの防寒対策が必要。雪が積もる11月は雪景色が美しいが、防寒具の準備は万全にしたい。

  3. その3

    立山黒部アルペンルートは、富山側と長野側のどちらから観光してもいい。一通り見て回るなら、室堂で1泊すれば十分。弥陀ヶ原や美女平でトレッキングを楽しみたいなら、もう1泊追加してもいい。

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