東京

新島・式根島・神津島

NIIJIMA / SHIKINEJIMA / KOZUSHIMA

白砂のビーチを楽しめる3つの島 ~サーファー天国と豪快な秘湯と神の島と~

伊豆諸島の新島は約7㎞にわたって延びる白砂の羽伏浦海岸をはじめ、美しいビーチが点在していて、それぞれサーファー向け、海水浴客向けと特徴が異なっている。「白ママ断層」と呼ばれる真っ白な絶壁や、古代ギリシャの神殿のような湯の浜露天風呂などユニークな見どころも多い。新島の南約3㎞にある式根島は、長い間無人島だったが1889年(明治22)から人が住み始めた。周囲12㎞ほどのリアス式海岸に囲まれた小さな島で、異なる魅力のビーチや絶景が眺められる展望台、さらに野趣あふれる海岸の秘湯など楽しみ方は実に多彩だ。神津島は式根島から南へ船で20分ほど。神々が会議を開く聖なる地という意味から、名が付けられたという。島のシンボルである標高572mの天上山(てんじょうさん)はトレッキングスポットとして知られ、真っ青な大海原を眺められる。登山の全行程は5時間ほどが目安となっている。

recommend spot

エリアの見どころ

  • spot 01
    羽伏浦海岸
    マリンブルーの海と純白のビーチがまぶしい新島屈指の景勝地
    南北に約7km。息をのむほどの透明感あるマリンブルーの海と、ホワイトサンドのビーチがのびやかに続く新島きっての絶景スポット。その煌めく美しさは見飽きない。夏場は海水浴場としても人気が高い。
    伊豆諸島のなかでもひときわ美しい純白のビーチが自慢
  • spot 02
    湯の浜露天温泉
    古代ギリシャをイメージした開放感あふれる露天風呂
    まるで神殿か遺跡のような雰囲気がひときわ目をひくのが湯の浜露天温泉。島の特産品であるコーガ石をふんだんに使い、古代ギリシャをイメージしているのが特徴だ。泉質は体の芯からよく温まるナトリウム塩化物温泉で、神経痛、疲労回復、筋肉痛、冷えなどに効能がある。目の前は青く煌めく海が広がり、実に爽快。大小6つの岩風呂があり、水着着用で入る。水着を持っていない場合は足湯だけに浸かることもできる。男女別更衣室、鍵付きロッカー、温水シャワー(有料)を完備。24時間、無料で利用でき夕方なら海に沈むサンセットが、そして夜には満天の星空のもと温泉浴を満喫できるのも大きな魅力だ。大型客船や高速ジェット船が発着する黒根港から歩いて10分ほどというロケーションにあるため、乗船前にサッと入浴する観光客や、ビーチでの海水浴や波乗りを楽しんだレジャー客やサーファーたち、そして仕事帰りの島民が立ち寄るなど、みんなに親しまれている人気の温泉スポットだ。9月ごろの花火大会時は目の前の堤防から花火が上がるため、絶好の鑑賞スポットとなる。
    観光客だけでなく島民もふらりと立ち寄る憩いの温泉スポット
  • spot 03
    白ママ断崖
    高さ約250mでそびえたつ、火山の島が生み出した大迫力の造形美
    「ママ」とは島の古い言葉で「崖」という意味。つまり白ママとは「白い崖」。新島は流紋岩(りゅうもんがん)を主体とする火山だが、かつて海底火山だった時代の火山灰や浸食によって堆積した流紋岩による海食崖(かいしょくがい)がその正体。膨大な歳月と火山のパワーが生んだ圧倒的な存在感を放つ絶景スポットだ。高さはおよそ250m。ガラスの原料でもあるシリカを多量に含んでいるため目にもまぶしいほど白く、鮮やかなマリンブルーの海との対比が感動的なほど美しい。崖下のビーチは有名なサーフポイントのひとつである「シークレット」。車の入れない雑木林の道を歩いていき、崖の割れ目に設けられた階段を下りていくとたどり着く。崖はもろく、崩壊の恐れがあるので登ったり、近づいたりすることは厳禁。記念撮影をするなら崖に太陽光があたる午前中に行くこと。また、早朝には水平線から上がる太陽に照らされ茜色からオレンジ色に染まる様子を眺めることもできる。
    サーフポイント「シークレット」からの眺め。新島を代表する絶景スポットだ
  • spot 04
    新島ガラスアートセンター
    世界的に珍しいコーガ石が生み出すガラスアート
    艶やかで透明感のある美しいオリーブ色のオブジェ。新島で製作される「新島ガラス」の特徴だ。原料は世界でも新島とイタリアのリパリ島でしか採掘されないコーガ石(抗火石)。新島の火山活動(水蒸気爆発)により生まれたコーガ石は流紋岩(りゅうもんがん)の一種で、ガラスの原料となるシリカが約80%含まれ、そこに鉄、アルミナなどの天然成分が加わり、なんとも美しい光沢あるガラスとなる。美しい間々下(まました)海岸を望む高台にある新島ガラスアートセンターでは、コップなどのガラス製作(現在、新型コロナ感染予防のため一時休止)や、コップ絵付けなどの体験教室を随時、行っているほか、アーティストによるさまざまなガラス工芸品、アクセサリー、お土産アイテムなどを販売する。ギフトとして喜ばれているのが欧米では「友情」「知性」を象徴する「グリーンアップル」を形にしたオーナメント2200円~。また、隣接した新島現代ガラスアートミュージアムには、島で過去に開催されたガラスアートフェスティバルに招へいされた国内外のアーティストたちの作品が展示されている。
    コーガ石に含まれている鉄分が化学変化を起こし美しいオリーブ色になる
  • spot 05
    十三社神社
    13の神様を祀る伊豆諸島で最も規模の大きな歴史ある古社
    伊豆諸島を創ったとされる事代主命(ことしろぬしのみこと)、通称「明神(みょうじん)様」の息子である、大三皇子明神(だいさんおうじみょうじん)によって創建されたといわれる新島の鎮守社。父である事代主命を筆頭に新島にかかわる同族13神を合祀(ごうし)ていることが名前の由来になっている。社伝によると創建は6世紀末頃で、もとは本村の中心に祀られていたが1649年(慶安2)に災火を恐れ、この地に転社している。現在の本殿は1933年(昭和8)、拝殿は1940年(昭和15)に再建されたもの。敷地は広大でその規模は伊豆諸島随一。掃除が行き届き、手入れがよくされた長い参道を歩いていくと風雨にさらされ風格を感じさせる本殿が見えてくる。参道や塀、狛犬などいずれも新島産のコーガ石を使用しているのが印象的だ。本殿のうしろにそびえるのは標高432mの宮塚山。毎年12月8日の例大祭で奉納される神事「神楽」「獅子木遣り(ししきやり)」は東京都の無形文化財に指定されている。
    履き清められた参道は木立に囲まれ、静けさと荘厳さを感じる
  • spot 06
    泊海水浴場
    天然のプールを思わせる透明度の高い美しい白砂の入江
    式根島の北部に位置する島随一の海水浴スポット。深く静かな入り江は遠浅で波が立ちにくく穏やか。隣接して駐車場、シャワー、トイレなどを完備する。かつては泊浦(とまりうら)と呼ばれ、周囲から出土した遺物によって古い時期から利用されていたことがわかっている。江戸時代になると三宅島、八丈島に向かう御用船や廻船が海が荒れている際にここで風待ちをしたほか、新島や八丈島に流人を運ぶ途中の仮泊港としても活用。1600年(慶長5)、関ヶ原の合戦で敗れた西軍の将軍・宇喜田秀家も八丈島への流罪の途中、この泊浦に寄ったと言い伝えられている。1887年(明治20)に入植が開始されるまで式根島に定住者はいなかったが、泊浦のような天然の良港が点在することが開拓を促進させた。明治以降も避難港として数多くの漁船に利用され、1909年(明治42)には全国初の港湾整備工事が竣工されるなど、相模湾や駿河湾の漁業にとって重要な場所であったことがうかがえる。入江の西側には今もその当時の「なまこ型桟橋」の遺構が現存する。
    夏の海水浴シーズンは家族連れなどで賑わう扇型が美しいビーチだ
  • spot 07
    地鉈温泉
    24時間、無料で入れる岩場から湧出する野趣あふれる名湯
    式根島は小さい島ながら良質の湯が湧く温泉アイランド。島の南部、鉈(なた)でスッパリと割ったようなV字形状の海に面した岩場にあることから名付けられたここはその代表。温泉評論家・野口冬人氏が選定した「露天風呂番付」で東の張出横綱に番付けされている。道が整備されなかった時代は海から船で通ったという秘湯だ。海水の潮位によって湯加減が変化するので、入る際にちょうどいい場所を確かめること。泉質は硫化鉄線で「内科の湯」とも呼ばれ、身体の芯から温まり神経痛や胃腸病、冷え症などに効能があるとされる。温泉に含まれる鉄分が空気と触れ合い、赤銅色なのが特徴。水着着用の混浴で、24時間入れる。夜には満天の星空を眺めながらの温泉体験をできる。温泉に向かう途中の道路にあるのは「湯加減の穴」。穴に手を入れるとほのかに温かく、ここで地鉈温泉の湯加減がわかるといわれている。ここから隣接する足付(あしつき)温泉、松が下雅湯(まつがしたみやびゆ)へと湯巡りも楽しい。
    赤銅色の泉質が特徴。入ったあともしばらく体がポカポカして心地いい\画像提供:新島村
  • spot 08
    神引展望台
    「新東京百景」に選ばれた式根島を代表する絶景スポット
    式根島に来たら、ぜひ訪れたい見どころのひとつ。新島、伊豆半島、晴れていれば富士山を望むこともできるパノラマが圧巻。眼下には透き通ったブルーの美しい神引(かんびき)湾が広がり、こちらも感動的だ。
    リアス式海岸線の複雑さとパノラマの眺望は一見の価値あり
  • spot 09
    隈の井
    足元にはリアス式海岸の断崖絶壁が!スリリングな絶景体験
    式根島の南西に位置する景勝地。唐人津城(とうじんづしろ)からは木立の遊歩道を歩いて約420m、10分ほどで到着する。灰褐色で所どころオレンジやピンクがかった不思議な色の岩が転がる岩場を進むと最初に目に飛び込むのが「危険!DANGER!」の看板。岩場の先は断崖絶壁。柵がないので不注意で落ちないように注意喚起がなされている。特に冬の時期には強風が吹くので、帽子や眼鏡なども飛ばされないよう気をつけたい。岩のゴロゴロする足元を確かめながら岸壁に近づき、恐るおそるのぞき込むと眼下にV字に切り立ったリアス式海岸の磯が広がる。岸壁でダイナミックに波が白く砕ける様子は豪快で見飽きない。沖合に目を移すとしたたるような緑の稜線の美しい神津島の島影が広がる。岩場の所どころにベンチが置かれているのでランチ休憩をするレジャー客の姿も見られる。トイレはない。また、雨が降ると古い噴火口跡に雨水が貯まり、「幻の池」と呼ばれる小さな池が出没する。
    遊歩道から標識に沿って進むと荒涼とした岩場が広がる
  • spot 10
    東要寺
    東京都指定天然記念物のイヌマキの巨木を見に行く
    郵便局や土産店、民家などが集中する島の中心部にほど近い、静かな環境にある式根島唯一の寺院。1889年(明治22)、新島から式根島への移住者のために新島にある長栄寺の分院として設けられたのが起源。その後、1954年(昭和29)に独立し、東要寺となった。墓地には島の檀家たちが浜から運んできた白い砂が敷き詰められているのが特徴的だ。その境内にどっしりと根を下ろすのがイヌマキの巨木。高さ約28m、幹の太さは約4.6m。樹齢900年ともいわれている。イヌマキはマキ科の常緑樹で温暖な地域に自生する高木で、高さ20mほどに育つのが一般的だがこの東要寺のイヌマキはそれ以上に成長。伊豆諸島のなかでは突出して巨大なため、1958年(昭和33)に東京都の天然記念物に指定された。加えて船乗りの災難除けや縁結び、夫婦円満のお守りとして使われる常緑高木ナギが自生し、こちらも東京都の天然記念物に指定されている。度重なる台風の被害でイヌマキも被害に遭い、一部の枝が折れた状態になっているがそれでも枝葉を伸ばす姿がたくましい。
    台風の被害で枝の一部は伐採されているが見事な巨木のイヌマキ
  • spot 11
    唐人津城
    「人と魚が集まる場所」という名前をもつ景勝地
    島の西側に位置するビュースポット。神引(かんびき)展望台から森の中の遊歩道を約1km歩くと到着する。式根島に城があるのか。そう思う人もいるかもしれないが、「津城(づしろ)」とは島の古い言い方で「人や魚が集まる場所」という意味をもつ。「唐人」は地名だ。実際ここは古い火口の跡で、荒涼とした岩場が広がる空間は島の原風景を思わせるむき出しの荒々しさがある。かつてこの一帯は良質な漁場だったという。魚影も豊かで、それを目当てに漁師や漁船が集まったのだろう。そこから「唐人津城」の呼び名が付いたとされている。1985年(昭和60)に公開された渥美清が主演した映画『男はつらいよ』シリーズ36、『男はつらいよ 柴又より愛をこめて』は式根島でロケーションが行われたが、この唐人津城も撮影スポットになっている。一部ウッドデッキになったスペースがあり、ベンチがあるので遊歩道の散策途中の休憩に立ち寄るにもいい。少し高い場所まで歩いていけば水平線の先に神津島の島影が見える。
    SF映画にでも登場しそうな荒涼とした風景が広がる
  • spot 12
    ファミリーストアみやとら
    島民&観光客に愛される名物「たたき丸」と充実のお弁当
    創業60年ほど。現在、3代目が切り盛りする家族経営のスーパー。生鮮食品からドリンク、お酒、日用雑貨まで幅広い品ぞろえと通年営業が島の滞在時には心強い存在だ。島民&観光客に人気なのは毎朝、手作りするお弁当。おにぎり、かつ丼、カレー、ハンバーグ、パスタなど20種類近い幅広いメニューから日替わりであれこれと並び、目移りする。いちばん人気は「島のり弁」650円。島海苔を載せたご飯の上には魚のすり身を揚げた島の名物「たたき揚げ」、式根島産アシタバの天ぷら、ちくわ天がぎっしりと並びボリュームたっぷり。また、新しい島の名物を考案しようとスタッフたちによって開発されたオリジナル商品が「たたき丸」各250円。島のり弁にも入っているたたき揚げをアレンジしたもので、おにぎり状にしたご飯にたたきをつけて揚げてある。中身は「アシタバ」「くさや」「ハム&チーズ」の3種類。1個でもかなり食べごたえがあるが、スナック感覚で楽しめるので観光途中に気軽に味わってほしい。
    人気の「島のり弁」。午前中には売り切れることもあるので早めにゲットしたい
  • spot 13
    小の口公園
    クジラのオブジェが目印。新島の眺望とのどかな雰囲気が魅力
    式根島の東海岸に広がる島民の憩いの場である美しい公園。手入れが施された芝生のフィールド、花壇には花々が咲き、滑り台、アスレチック用具など子どもたちのための遊戯施設が整う。目をひくのが敷地の中央に置かれた新島産のコーガ石を使った大きなクジラの親子のオブジェ。水中からジャンプしたような様子や、水中に潜る瞬間といった躍動感が表現され、旅の記念撮影に最適だ。オブジェの先に下に降りていく小径があり、眼前に新島の真っ白な断崖と無人島の早島(はやしま)を望む展望エリアになっている。早朝なら朝日、夜には街灯が少ないこともあり、式根島の星空観察スポットのひとつとしても知られる。また、孫市(まごいち)と呼ばれる磯釣りの好ポイントでもあり、真鯛、イサキ、シマアジなどを狙える。公園にはベンチを配したあずまやがあるので島の商店でお弁当を買ってきて食べるのも気持ちがいい。ただ、式根島はカラスが増えていて食べものが入っているレジ袋、ビニール袋などを持ち去る事例が多いので注意をすること。ゴミ箱はないので持ち帰るように。
    新島産コーガ石を切り出して制作されたクジラ親子のオブジェ。表情も愛らしい
  • spot 14
    天上山
    眺望とバラエティに富んだ登山ルートが魅力。神津島のシンボル
    標高572m、「黒潮に浮かぶ展望台」とも称され、山頂からは伊豆諸島はもちろん伊豆半島、晴れていれば富士山も見渡せる一大パノラマが圧巻。白砂の砂漠地帯などユニークな景観とツツジの群生など見どころが多い。
    断崖越しに三宅島、御蔵島などを望む裏砂漠展望地
  • spot 15
    赤崎遊歩道
    エメラルドグリーンの水中にジャンプ!絶景の木造遊歩道
    自然環境・地形を生かし実によく造られたものだと感心する。島の北西部に位置する赤崎地区の荒々しい入り江に造られた全長500mの遊歩道は、今では神津島のポスターにも登場する人気レジャースポット。特徴はオール木造ということ。組子細工のような木製の遊歩道が入江にそってピラミッドのようにそびえる様子は印象深い。潮風や強風にさらされ風化し、岩場の景観に違和感なく溶け込んでいるのも好ましい。吊り橋の両脇に飛び込み台が設けられ、夏は驚くほど透明度の高い海にジャンプする子どもたちで賑わいを見せる。足元に波が寄せては砕ける遊歩道は迫力があり、展望スペースからは新島や式根島を望む。入江の逆側には標高269mの神戸山が控える。1942年(昭和17)頃、山から採取される抗火石(こうかせき)を建築材料などに使用するため、この地に採掘運搬の施設が建設された。当時は道路もなく、遊歩道手前の名組(なぐみ)湾までトロッコに載せて運搬。その軌跡が今も残されている。
    入江の地形を生かし、景観にも配慮。沖に新島、式根島が見える
  • spot 16
    よっちゃーれセンター
    漁協女性部が切り盛りする、新鮮でリーズナブルなメニューが評判
    前浜海岸の漁港に隣接した神津港にある観光客に人気の食事処。運営するのは漁協の女性部。1階が直売所、2階がレストランに。人気の理由は神津島で水揚げされた獲れたての魚を使った海鮮メニューや郷土料理を手頃な値段で味わえる点にある。島の特産品でもある大ぶりのキンメの甘辛い姿煮が豪快な「金目煮付定食」、その日の旬の魚を味わえる「刺身定食」、季節の地魚を使った「漬丼定食」など定食類には小鉢、ご飯、汁物などが付き、ボリュームたっぷりでいずれも1000円と実に手頃な料金。漁師たちが一生懸命獲ってきた神津島の新鮮な魚をたっぷり味わってもらいたいという女性部のみなさんの想いが込められている。肉厚で甘みのあるアカイカなど魚介のたっぷり入った「お魚カレー定食」1000円は魚のうまみが利いていてこちらも評判だ。1階ではキンメの煮付け、干物、アカイカの塩辛、ウツボの加工品などを直売。土産選びにも利用したい。すぐ隣に客船待合所「まっちゃーれセンター」があり、観光協会、東海汽船の窓口があるほか、島内を巡回するバスも発着する観光の拠点となっている。
    神津島といえばキンメダイが有名。明日葉のおひたしなど小鉢もおいしい
  • spot 17
    ありま展望台
    昼は海岸線、夜は満天の星空を満喫できる展望エリア
    島の西南、前浜海岸と天上山を一望できる海沿いのビュースポット。その眺望を背負うように孤高に立つ白亜の十字架が印象的だ。これは、豊臣秀吉「朝鮮の役」の際、秀吉の家臣でありキリシタン大名としても知られた小西行長(こにしゆきなが)が連れ帰り養女とした朝鮮貴族の娘「おたあジュリア」を讃え建立されたものだ。ジュリアは関ヶ原の合戦で敗れ斬首された行長亡きあと、徳川家康の寵愛を受け側室に請われるがキリスト教への信仰心を捨てなかったことで1612年(慶長17)、流刑となる。伊豆大島、新島を経て神津島へ流されたジュリアは各島での厳しい生活のなかでも島民やほかの流人たちに献身的に尽くしたといわれている。ジュリアの最期は詳細不明だが、ここ神津島で亡くなったという説があり、集落にある流人墓地には彼女のものと思われている朝鮮洋式の石造二重の墓石がある。星空観察のベストスポットでもあり、十字架の脇には島の星空スポットに配された12の星座を模したベンチのひとつが置かれている。
    太平洋の荒波が押し寄せる前浜海岸とうしろには天上山が伸びやかに続く
  • spot 18
    星空保護区©
    宇宙の壮大さを実感する東京都初の星空保護区
    2020年(令和2)、神津島は国際ダークスカイ協会による「星空保護区」に認定された。沖縄県西表島に次いで2番目、東京都としては初の認定区となった。「星空保護区」とは街灯などの明る過ぎる「光害」への啓蒙と、夜空の美しさをもっと認識しようという活動の対象として認定されたエリアのこと。神津島では街灯の光量を調整し、島民の星空ガイドを育成するなどの努力が実り、国内で唯一、「ダークスカイ・アイランド」の呼称を使用することが認められている。観光協会公認の星空ガイドによる「星空鑑賞会」を定期的に行うほか、個人で楽しむセルフガイドも推奨している。「ありま展望台」「よたね広場」「赤崎遊歩道」「三浦湾展望台」「ヘリポート跡地」など、見晴らしがよく人工の光が少ない場所がおすすめだ。2月になると本土ではなかなか見ることのできない恒星カノープスが見られることも。冬のオリオン座、夏の大三角形などを見つけてみたい。
    星空保護区認定記念オブジェや12の星座をモチーフにしたベンチが島内に点在する
  • spot 19
    前浜海岸
    島の暮らしと溶け合う、太平洋の荒波が寄せる雄大なビーチ
    全長約800m。白砂の美しい海岸線が広がる美しいビーチ。漁港、観光協会のある「まっちゃーれセンター」、役場、商店、住宅が集まる神津島の中心的存在になっている。島唯一の信号機もここにある。
    美しい白砂が続く海岸線。夏場は海水浴場としておおいに賑わう
  • spot 20
    神津島村郷土資料館
    古代から近世まで、神津島の考古・郷土史を深く伝える
    前浜海岸から坂道を上って歩くこと約5分。旧村役場の庁舎を改修した文化施設。大きく「神津島のあらましと自然」「黒曜石」「カツオ釣り神事」「鈴木テル子(島出身の作家)の民俗人形・風景画」「おたあジュリア」の展示コーナーに分かれる。なかでも興味深いのが黒曜石に関する展示・資料。実は神津島は上質な黒曜石の産地で、後期旧石器時代(紀元前2万年)にはすでに矢じりなどに使用されていた。伊豆半島や伊豆大島の遺跡からも神津島由来の黒曜石が発見され当時すでに採取・加工し、島外と交易していたことがわかっている。黒曜石は火山から流れたガラス成分を含んだ流紋岩質(りゅうもんがんしつ)マグマが急速に冷えて固まってできたもの。神津島ではおもに神津島の西沖に浮かぶ無人島・恩馳島(おんばせじま)、島内の沢尻湾、観音浦、砂糠(さぬか)山で産出される。小さな施設だが豊富な資料と展示物で見ごたえがある。また、建物の横から物忌奈命神社(ものいみなのみことじんじゃ)の境内の裏門へと続く参道がある。
    開館は1978年(昭和53)。リニューアルで見やすい工夫がされている
  • spot 21
    物忌奈命神社
    豊漁を願う「かつお釣り神事」が行われる島の守り神
    神津港を見下ろす高台に建つ古刹。御祭神は物忌奈命(ものいみなのみこと)、別名「明神さま」。伊豆諸島を創造したといわれる事代主命(ことしろぬしのみこと)の長男で神津島の開祖とされる。港から階段を上り2つの鳥居をくぐり、神社の守護神である矢大臣神像(やだいじんしんぞう)と左大臣神像(さだいじんしんぞう)を配した随身門(ずいしんもん)の先に小さいながら威風堂々とした本殿が見える。境内には「目神様(めがみさま)」と呼ばれ目の病気が治るとされるタブノキの巨木や、毎年1月8日に御開帳される薬王殿などが鎮座している。参道は遊歩道としても楽しめ、夏には涼しげな木陰を、秋にはイチョウが色づき美しい。氏子である島民の方々が丁寧に掃き掃除を行っているため清々しい気持ちになる。毎年、8月に境内で行われる「かつお釣り神事」は島の若い漁師たちが島民をカツオに見立てて釣り上げる真似をするというユニークなもので、国指定重要無形民俗文化財に指定されている。
    古代から漁師たちが豊漁と無事を祈り、感謝を捧げてきた
  • spot 22
    石山展望台
    式根島、神津島を望む眺望とコーガ石のトレッキングコースを歩く
    眼下に真っ青な海と式根島と神津島、さらに伊豆半島とその奥には富士山の姿。観光ポスターにも登場するビューポイント。この石山を含め、大峯(おおみね)、丹後山(たんごやま)をあわせて向山(むかいやま)と呼ばれている。向山は平安時代初期、886年(仁和2)の海底噴火により誕生した火山で、島の北部の宮塚山(みやつかやま)とつながり、現在の新島の原形になった。展望台の近くには新島の火山由来のコーガ石(抗火石)の採掘場があり、展望台もそのコーガ石を組んで造られているほか、モヤイ像のオブジェが置かれている。「モヤイ」とは新島の古い言葉で「助け合い」という意味がある。力をあわせて島で暮らす大切さを込めて島内には多数のモヤイ像が飾られていて、ここもそのひとつ。また、ビーチアクティビティのイメージが強い新島だが、島内には4つのハイキング&トレッキングコースがある。石山展望台へ向かうコースは所要約1時間半。真っ白なコーガ石の道を歩くルートは見晴らしも楽しめて人気がある。
    展望台から水平線の先にうっすらと伊豆半島と富士山が見える
  • spot 23
    新島OIGIE
    新島ならではのオリジナル商品と最新情報をゲット
    新島OIGIE(オイギー)は、誰もが新島を「オイギー(私の家)」と感じられるような居⼼地のよい島にしたいという思いを持つ有志によって発足した一般社団法人。新島でメディアの制作や移住相談窓口などの活動を行っている、島の小さな編集室だ。その活動の一環として事務所に使用する古民家で小さなショップを開設。オリジナルグッズや、新島のアーティストたちによるハンドメイドのクラフト作品、アクセサリーなどを販売している。人気は「てぬぐい」。キャラクター「島にゃんこ」が名物のくさやを焼いている「くさやねこ」、島寿司を握る「寿司ねこ」などユーモラスなものから、2022年(令和4)にユネスコ無形文化遺産に登録された「風流踊(ふりゅうおどり)」のひとつとして継承される「大踊(おおおどり)」の舞いを忠実にイラスト化したものまで、新島ならではモチーフをそろえる。新島の最新情報なども気軽に教えてくれるので立ち寄ってみたい。取材などで留守になることも多いので、行く前に確認をしたい。
    キャラクター「島にゃんこ」がかわいい手ぬぐい1100円~
  • spot 24
    いさば家
    新島水産加工業協同組合が運営する「くさや」のアンテナショップ
    青ムロアジ、トビウオなどの魚を「くさや汁」と呼ばれる発酵液に漬けて乾燥させたものが「くさや」。伊豆諸島では新島、伊豆大島、八丈島の名産品として知られる。その名前のとおり非常に強烈な臭みがあるのが特徴、一度食べたら忘れられない味だ。臭いはすごいが焼きたてを口に入れると発酵によって生まれた熟成感と凝縮されたうまみが広がり、なんとも味わい深い。「臭い、けれどおいしい」と思わせる風土が生んだ名物だといえる。新島では現在、5軒のくさや製造・販売する店がある。それぞれ独自のくさや汁を大切に保存し、味の異なるくさやを作っている。時間があれば、一軒ずつ巡るのもいいが新島きってのくさや商品のラインアップを誇るのが黒根・新島港の船客待合所にある「いさば家」。新島のくさや製造全店のくさやを取り扱い、生干しから臭いが漏れない瓶詰めやスティック状のタイプなどバリエーション豊か。観光客に人気なのは4軒の製造元のくさやをパックにした「食べくらべセット」1150円。好みの味を見つけてみたい。
    名物「くさや」は焼きたてがいちばんおいしい。お茶漬けで食べる人も多い(画像提供:新島村)
recommend spot

人気スポット

recommend spot

旅のヒント

  1. その1

    新島はコーガ石が採れることでも有名。コーガ石は火山噴火によってできたスポンジ状の軽石で世界では新島とイタリアのリパリ島にしかない珍しい石だ。コーガ石を原料としたガラス工芸体験は人気となっている。

  2. その2

    新島にはコーガ石で造られたモヤイ像も点在している。モヤイ像はどれも個性的な表情をしていておもしろい。なお、コーガ石は加工がしやすく、耐熱や耐火性にも優れているため建築用石材としても重宝されている。

  3. その3

    式根島の地鉈(じなた)温泉は内科系の病気に効果があるとされ「内科の湯」と呼ばれ、足付(あしつき)温泉は「外科の湯」と呼ばれる。ただ、どちらも海の干満の影響で、入浴できる時間が限られるので注意が必要。

  4. その4

    神津島の天上山は昔から神聖な場所とされるが、そのほかにも島には物忌奈命(ものいみなのみこと)神社や阿波命(あわのみこと)神社など格式の高い神社があり、現在ではパワースポットとされている。

recommend spot

関連記事

記事一覧

東京のその他のエリア

+ -
back
open

新島・式根島・神津島エリア