東京

上野・谷根千

UENO / YANESEN

ミュージアム巡りと下町情緒あふれる商店街を楽しめるエリア

JR上野駅は、東京の東の玄関口。江戸時代から花見の名所と知られる「上野恩賜公園」内には上野動物園のほか、博物館、美術館、コンサートホールなどの芸術施設がギュッと集まっている。ここはもともと、徳川家の菩提寺・寛永寺の敷地だったところ。幕末の上野戦争により大部分が公園となったが、現在でも寛永寺や徳川家ゆかりの宗教施設が残る。歴史ある施設やミュージアムが多くある一方で、戦後の闇市から発展し、活気とともに混沌とした空気も感じられる「アメ横商店街」が隣接しているのは、上野ならではだ。風情ある街並みを楽しめるのが、谷中・根津・千駄木を合わせた「谷根千(やねせん)」と呼ばれるエリア。関東大震災や戦火を逃れた建物が残り、下町の雰囲気を感じられる谷中から、東大に近い根津、かつて森鴎外、夏目漱石といった文人たちが居を構えた千駄木へと、少しずつ街の景色が変わっていくのがおもしろい。老舗の和菓子屋、江戸民芸品の店、古くからある喫茶店に交じり、古民家を改装したレトロモダンな店も増えている。

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エリアの見どころ

  • spot 01
    上野恩賜公園
    自然と美術館、動物園、パワースポットまである都市型公園
    上野エリアのシンボルであり、都民の憩いの場。広大な敷地内には、世界遺産に登録された美術館をはじめとした文化施設、動物園、神社、カフェもあり、一日ではとても楽しみ尽くせない。四季折々の自然の景観も魅力だ。
    JR上野駅の公園口を出てすぐの場所に、広大な敷地が広がる
  • spot 02
    恩賜上野動物園
    日本で最初に開園した歴史と伝統のある動物園
    緑豊かな上野公園内にある日本初の動物園。広大な敷地内では、大人気のジャイアントパンダをはじめ、多種多様な動物が飼育され、動物たちとの触れ合いを楽しめる場所になっている。
    食事中のジャイアントパンダ/(公財)東京動物園協会
  • spot 03
    国立西洋美術館
    世界遺産の建造物と西洋美術の名作を味わえる美術館
    第二次世界大戦後にフランス政府から寄贈返還された「松方コレクション」を基礎にした、西洋美術専門の美術館。近代建築の父と称されるル・コルビュジエが設計した建築も見どころのひとつとなっている。
    前庭を本館開館時の姿に可能な限り復原し、2022年(令和4)4月にリニューアルオープンした
  • spot 04
    国立科学博物館
    地球の歴史と生き物の生い立ちがわかる、日本最大級の科学博物館
    国内で最も歴史ある博物館のひとつ。自然史や科学技術史に関する調査・研究を行うとともに、500万点以上の貴重なコレクションを保管し、展示する。日本列島の自然と私たちをテーマとする「日本館」と、地球生命史の人類をテーマとする「地球館」がある。
    国の重要文化財に指定されている日本館
  • spot 05
    東京国立博物館
    コレクションの質・量ともに日本最大級の博物館
    1872年(明治5)、「湯島聖堂」で開催された展覧会が発祥。日本と東洋の美術や考古学など、さまざまな分野の文化財を収集し展示するとともに、保存、修理、管理、調査研究や教育普及事業も行う。日本で最も長い歴史をもつ博物館だ。
    現在の本館は、銀座和光(旧服部時計店)を手がけた渡辺仁の設計
  • spot 06
    東京都美術館
    国内外の名品の数々を紹介する、日本初の公立美術館
    国内外の名品を紹介する特別展や多彩な企画展など、「アートへの入口」を目指して、さまざまなプログラムを行う。1926年(大正15)に開館した、日本で最初の公立美術館だ。
    エスプラナード(広場)で来場者を迎えるのは井上武吉《my sky hole 85-2 光と影》(1985年(昭和60))
  • spot 07
    上野東照宮
    東照大権現こと家康を祀る、金色に輝く社殿が見事な江戸時代の建造物
    全国各地にある徳川家康を祀った神社のひとつ。第3代将軍・徳川家光が造営した現在の社殿と唐門が、国指定重要文化財になっている。江戸の面影を今に残す貴重な建造物は、その豪華さとともに精巧な彫刻もじっくり鑑賞したい。
    参道入り口からでも唐門の扉の輝きがよくわかる
  • spot 08
    旧寛永寺五重塔
    恩賜上野動物園内にそびえる江戸時代の五重塔
    恩賜上野動物園の敷地内に、江戸時代からの歴史を語る建築物がある。東園の一角、ニホンカモシカなど日本の動物や鳥を展示したエリアにある旧寛永寺五重塔(きゅうかんえいじごじゅうのとう)だ。徳川2代将軍秀忠が幕府の安泰を願って東叡山寛永寺を創建した際、工事の総奉行を担っていた土井利勝によって、1631年(寛永8)に寄進建立された。創建時の塔は、1639年(寛永16)に火災で焼失したが、同年、利勝によって再建され、今もその姿をとどめている。高さは約32m(先端の宝珠までは約36m)。五重塔の最上層を唐様式とするのが一般的だった当時の塔としては珍しく、全層和風様式となっている。江戸時代初期を代表する優れた建築物として、1911年(明治44)に国の重要文化財に指定された。1958年(昭和33)には寛永寺より東京都に寄付され、恩賜上野動物園に残る史跡として観覧者を迎えている。2013年(平成25)7月より約1年間かけて改修工事が実施され、木部の補修や漆の塗り替えが行われた。四隅に据えられた龍の彫刻にも彩色が施されるなど、色鮮やかな姿でよみがえった塔を見ることができる。
    江戸時代に造られた「江戸四塔」のひとつとされる
  • spot 09
    上野の森美術館
    緑のなかにたたずむ企画展が人気の美術館
    上野恩賜公園の南側、緑豊かな一角にある美術館。公募展や様々な展覧会を開催するなど、国内外のアーティストの企画展会場としても広く親しまれているアートスポットだ。
    「上野の森美術館所蔵作品展 なんでもない日ばんざい!」展示風景(2020年(令和2)開催)
  • spot 10
    不忍池
    東京湾の名残りをとどめる池は広重の浮世絵にも描かれた名所
    上野恩賜公園の南端に位置する周囲約2kmの池。東京湾の入り江の名残で、平安時代に海が後退して取り残されたものだ。歌川広重が描いた『東都名所』には、不忍池全図とハスの花が咲く季節のものがあり、江戸時代からの名所であったことがうかがえる。辨天島を中心に蓮池、鵜の池、ボート池の3つに分かれる。蓮池は7-8月にピンク色の花を咲かせるハスの名所。梅雨の季節のアジサイやショウブも美しい。池に浮かぶ「蓮見デッキ」からは、ハスの花越しに辯天堂が見えてなかなかいい眺めだ。ボート池にはサイクルボート、スワンボートなどの貸しボート場がある。辯天島に立つ「不忍池辯財天」は、「谷中七福神」のひとつ。池の周囲には、大正時代の街並みと庶民の住宅を再現した「下町風俗資料館」があるほか、辯天島へ渡る橋の手前にあるのが「駅伝の碑」。1917年(大正6)、京都-東京間508kmの距離で行われた日本初の駅伝のゴールの地だったことを記念して建てられた。
    休日は家族連れで賑わうボート池。周囲を桜の木が囲む
  • spot 11
    不忍池辯天堂
    不忍池に浮かぶ辯天堂は「谷中七福神」のひとつ
    江戸時代初期の寛永年間(1536-1643年)に、「寛永寺」の開山である天海大僧正により創建。不忍池を琵琶湖に、もともと聖天(しょうてん)が祀られていた小さな島を竹生島に見立て、さらに島を大きく造成して、「宝厳寺(ほうごんじ)」に見立てたお堂を建立した。当初、船を使って島に渡り参拝していたが、参拝者が増えたことから、のちに橋が架けられた。御本尊の辯才天(べんざいてん)は、音楽と芸能の守り神。「弁財天」とも書くことから、金運上昇のご利益もあるといわれる。一般的には琵琶をもつ姿が知られているが、ここに祀られている「八臂辯才天(はっぴべんざいてん)」には8本の腕があり、それぞれの手に煩悩を破壊する道具を意味する武器を持っている。江戸最古の七福神とされる「谷中七福神」のひとつ。現在のお堂は戦災で焼失後、1958年(昭和33)に復興されたもの。明治から近代にかけて活躍した日本画家・児玉希望によると伝わる龍の天井画もぜひ見てみたい。
    上野恩賜公園の不忍池に浮かぶ辯天島に建つお堂
  • spot 12
    アメ横商店街
    店員とのやり取りが醍醐味。活気あふれる東京の名物商店街
    JR上野駅から御徒町駅まで約500mの間に、海産物、お菓子や外国食材、衣料雑貨や貴金属などを扱う店約400店がぎっしり並ぶ。値段交渉ができるのも楽しく、格安で購入できることもあり、国内はもとより外国人観光客で一年中賑わう。
    高架下を挟み、その両側に約400軒の商店がひしめく
  • spot 13
    旧岩崎邸庭園
    建築物、調度品から往時の繁栄ぶりがわかる三菱財閥当主の邸宅
    三菱財閥の3代目当主・岩崎久彌の本邸として建てられた邸宅。洋館、撞球室(どうきゅうしつ)、和館の3棟があり、洋館と撞球室はイギリス人建築家、ジョサイア・コンドルの設計。敷地全体が重要文化財に指定されている。
    外国人や賓客を招きパーティーにも使われていた岩崎家の邸宅
  • spot 14
    寛永寺
    徳川将軍家とともに栄えた、日本一の格式と規模の寺院
    徳川家康の参謀であり、2代将軍・秀忠、3代将軍・家光にも仕えた天海大僧正(てんかいだいそうじょう)が開山。幕末までは上野恩賜公園のすべてを境内地として所有していた。現在も総本堂の根本中堂、徳川将軍の御霊廟のほか、公園内に子院が点在する。
    上野戦争による焼失後、1879年(明治12)に再建された現在の根本中堂
  • spot 15
    カヤバ珈琲
    大正期の町家の風情を残す、谷中(やなか)のシンボル的存在
    東京メトロ千代田線根津駅から徒歩10分。歴史を感じさせる寺社の並ぶ言問(こととい)通りの坂を上り切った角地にあるのが「カヤバ珈琲」だ。木造の2階家は、江戸時代から大正期に多かった「出桁(だしげた)造り」と呼ばれる屋根が特徴。軒を広く張り出した典型的な商家の建築様式だったという。この建物はミルクホールやあんみつ店を経て1938年(昭和13)からコーヒー店として営業。近所の人や藝大関係者、谷中霊園に墓参する人たちからも親しまれてきた。2006年(平成18)にいったん閉店したが、谷中のシンボル的存在だった店の消滅を惜しむ人たちの強い要望もあり、NPO法人の運営によって3年後に復活。看板や店内の椅子、レンガを積んだカウンターはほぼ昔のままに、メニューの一部も引き継がれた。旧オーナーである榧場(かやば)一家が住まいにしていた2階の和室も開放されている。谷根千(やねせん)散策の合間に立ち寄り、歩き疲れた足を畳に投げ出してくつろげるのがいい。
    1926年(大正15)頃に建てられ、昭和の純喫茶そのままの雰囲気を残す
  • spot 16
    谷中ビアホール
    昭和レトロな古民家で冷えたクラフトビールをぐいっと!
    谷中霊園の出口に近い「上野桜木あたり」は、昭和初期に建てられた住宅が集まる一角を再生した商業施設。入り口にある「谷中ビアホール」は、午前中からビールを飲めることもあり、休日や天気のいい日は昼飲みを楽しむ人で賑わう。敷地全体が、昭和へタイムスリップしたような空間。店内に入ると懐かしさを感じさせるインテリアに、ビールサーバー、タッチパネルのメニューといった新旧のミスマッチがかえっておもしろい。急な階段を上った2階にあるのが、ちゃぶ台がある和室。和服姿の女将・吉田瞳さんが祖母から譲り受けた骨董品などが置かれ、和モダンな空間になっている。創作料理中心のメニューは、ビールのつまみにぴったりのひと皿から、食事メニューも充実。ノンアルコールドリンクもあり、女性一人でもふらりと訪れ楽しめる雰囲気がいい。天気のいい日は、店の外のベンチやテラス席も人気だ。
    オリジナルのクラフトビール8種類を味わえる
  • spot 17
    朝倉彫塑館
    近代日本を代表する彫刻家・朝倉文夫のアトリエ兼住居
    明治から昭和にかけて活躍した朝倉文夫は、日本を代表する彫刻家。みずから設計し完成させた建物は、彼のこだわりと美意識が詰まった独特の空間になっている。展示されている作品はもちろん、建築物として鑑賞するのも興味深い。
    躍動感あふれる作品が並ぶアトリエ
  • spot 18
    谷中霊園
    渋沢栄一をはじめ著名人や文化人の多く眠るオアシスのような霊園
    都内有数の桜の名所としても知られる霊園。渋沢栄一をはじめ、日本画家の横山大観、俳優の長谷川一夫など著名人の墓所が多くあり、周辺には江戸情緒と下町の雰囲気を楽しめる街並みが多く残る。
    桜の季節にはピンク色のトンネルができ、その下を散策する人たちで賑わう
  • spot 19
    谷中銀座商店街
    古き良き下町情緒を味わえる谷根千(やねせん)散策の人気スポット
    谷中・根津・千駄木を総称して「谷根千」と呼ぶ界隈にあり、下町散策の中心として人気の商店街。全長約170mの通りの両側に並ぶ商店巡りを目当てに、都内はもとより、日本全国、さらに外国人観光客も多く訪れている。
    夕日の名所「夕やけだんだん」の下から延びる商店街
  • spot 20
    夕やけだんだん
    夕日の名所は下町情緒あふれる商店街の入り口
    JR日暮里駅西口を出て、目の前に続く御殿坂を上ること徒歩2-3分。視界が開けた先に、「谷中銀座商店街」へ通じる階段が現れる。「夕やけだんだん」の名称は一般公募により決定したもの。名前のとおり、ここからは美しい夕日を見ることができる。周辺にビルが建つ前の昭和の中頃までは、富士山を望める日もあったという。その名残を思わせる、「富士見」と名のつく建物も見つけることができる。階段上には猫グッズの専門店や小さな飲食店、古道具を扱う店が、階段下には昔ながらの下町の風情があり、どこか懐かしさを感じさせる商店街。肉、魚、野菜や日用品などの専門店が多く、総菜やスイーツなどの食べ歩きや、立ち飲みのできる酒屋を巡るのが楽しい。商店街を抜けると東京メトロ千駄木駅までは歩いて3分ほど。近くに、徳川慶喜が眠る「谷中霊園」、彫刻家・朝倉文夫の住まいとアトリエだった場所を公開する「朝倉彫塑館」、ツツジの名所として知られる「根津神社」も近いので、訪れてみてはどうだろう。
    買い物客で賑わう商店街へと続く階段
  • spot 21
    和栗や
    いつもできたて! 和栗モンブランの繊細な味わいにはまる
    日本一の栗の名産地・茨城県笠間市岩間地方にある自社農園と、その近郊で採れた和栗のみを使ったスイーツを味わえる店。栗菓子やモンブランにするとおいしい品種を選び、「栗・モンブラン職人」を名乗るオーナーシェフみずからが栽培を手がけている。いちばん人気は、オーダーを受けてから作るフレッシュなモンブランとドリンクがセットになった「モンブランデセル」。作り立てのみを提供するためテイクアウトはできず、店内でしか味わうことができない貴重なものだ。「幻の栗」の別名をもつ希少品種「人丸」を使用した「プレミアムモンブラン」、新栗の季節にだけ登場する「新栗甘露」など、数量と季節限定メニューを味わうために何度でも足を運びたくなる。和栗の魅力は、豊かな風味と上品で繊細な香り。初めて味わって、そのおいしさのとりこになる人も少なくない。純米酒を合わせたセットメニューもあり、甘党でなくても訪れてみたい。席の予約はできないが、特に混雑するシーズン中は整理券を配布。「無添加栗ソフト」「モンブランシュー」「栗薫大福」などのテイクアウトメニューは、お土産にぜひ!
    作り立てのモンブランを味わえる「モンブランデセル」(茎ほうじ茶のセット1600円)
  • spot 22
    ひみつ堂
    夏はもちろん、真冬でも食べたくなるフワッフワのかき氷
    天然氷を手削りし、自家製の「蜜」と呼ばれるシロップをかけたかき氷を目当てに、冬でも行列ができる人気店。氷は冬の間、厳寒の日光でじっくり時間をかけて凍らせた「三ツ星製氷」のもの。旬のフルーツから作る蜜は、無添加にこだわる。季節を問わず人気のメニューが、「ひみつのいちごみるく」。静岡県と秋田県の提携農家で育てた旬摘みのイチゴから作る蜜を、グラスからあふれるほどにたっぷりかけたものだ。片側だけに蜜がかかっているのもポイントで、氷だけの部分を食べてもキリっと澄み切ったおいしさを味わえる。季節限定のメロンやマンゴーなど、これまで登場したメニューは130種類以上。お好みでミルクやヨーグルトをトッピングし、カスタマイズするのも楽しい。11-4月には冬限定メニューのグラタンやフレンチトーストが登場。季節を問わず、何度も足を運びたくなる。
    「ひみつのいちごみるく」(1300円)
  • spot 23
    肉のすずき
    牛肉100%のメンチカツ目当てに行列ができる名物店
    「谷中銀座商店街」のなかほどにあり、店の前の行列は商店街名物のひとつ。彼らの目当ては、「元気メンチカツ」。挽肉は国産牛の肩バラ肉とオーストラリア産牛のモモ肉をブレンドしたもの、揚げ油はラードが中心。油は1日3回交換し新しくしているので、胃にもたれることがない。肉のブレンドや味付けも、時代とお客さんの好みに合わせて少しずつ配合を変えているという。創業は1933年(昭和8)。和牛専門の精肉店として営業していたが、現在の3代目店主が手作り総菜の店に転身。専門店として培った知識とルートを生かし、選りすぐった食材を使い毎日手作りしている。ほかにも、しいたけメンチ、なすメンチ、ヒレカツ、秘伝のタレを使い4時間以上煮込んで作る「トロトロ焼豚」も人気。2022年(令和4)より、旧店舗の斜め向かい側に移転。人気メニューはそのままに、新たな総菜メニューを加えて再オープンした。
    一口かじると、ジュワっと肉汁があふれる「元気メンチカツ」(250円)
  • spot 24
    丸初福島商店
    都内でも希少な貝と川魚の専門店
    店先にはしじみ、あさり、はまぐり、ほたてのほか、ミル貝、トリ貝などの貝類が載せられたアルミ皿がずらり! この店で扱うのは、貝類と川魚、エビが中心。専門性の高い個人商店が多い、谷中銀座商店街を象徴するような存在だ。創業は1934年(昭和9)。平成の中頃までは店頭に大きな樽を置き、その中に生きたドジョウを入れて販売していた。水の中で上下する様子を眺めに集まってくる近所の子どもたちの姿も見られたという。現在でも活きのいいものが入荷すると、活魚のまま販売することがある。貝焼きや鮎の塩焼き、串に刺したうなぎのかば焼きは、隣の酒屋で立ち飲みを楽しむ人たちのツマミとして人気がある。地元の人に言わせると「この店の貝やエビを食べたら、スーパーのものには戻れない」のだとか。珍しい貝類は食べ方も教えてくれるので、試してみてはどうだろう。
    大きさ別にずらりと並ぶ貝類は、スーパーのものに比べ身が大きい
  • spot 25
    弥生美術館・竹久夢二美術館
    大正ロマンと昭和モダンを象徴する2人の作家の世界に浸る
    画家で詩人であった竹久夢二と、ジェンダーレスな作品を描いたイラストレーター・高畠華宵(たかばたけかしょう)、大正から昭和の時代を彩った2人の作品を同時に鑑賞できる美術館。古き良き大正ロマンと昭和モダンをたっぷり楽しみたい。
    出入り口は1か所で、カフェを併設
  • spot 26
    湯島天満宮 (湯島天神)
    菅原道真公を祀る学問の神様は梅の名所
    「湯島天神」の名がよく知られ、学問の神様として親しまれている。勝運を授ける神様でもあり、就職や商売繁盛、スポーツ、縁結びなどのご利益を願い訪れる人も多い。2月上旬から3月上旬には、梅の花の香りで境内が満たされる。
    江戸時代には幕府公認の富くじを販売する場所としても賑わった
  • spot 27
    根津神社
    江戸時代の建造物がそのまま残る、文学作品にも登場する古社
    およそ1900年前、日本武尊(やまとたけるのみこと)が創建したとされる古社。夏目漱石、森鴎外らの文学作品にも登場するほか、ツツジの名所としても有名。本殿、拝殿、唐門など7つの建造物が国の重要文化財に指定されている。
    江戸時代に造られた楼門が現存しているのは都内でここだけ
  • spot 28
    上野精養軒本店 レストラン(洋食)
    日本に西洋料理を広めた草分け的存在の洋食店
    1876年(明治9)、上野恩賜公園の開園とともに不忍池畔にレストランを開業。前身の築地時代から数えると、1世紀半の歴史を誇る。人気メニューのハヤシライスは、この店が発祥との説もある。
    明治初期の創業以来、日本の洋食の歴史とともにある店
  • spot 29
    入谷鬼子母神 真源寺
    江戸の夏の風物詩・朝顔市で知られる安産と子育ての神様
    安産・子育ての神様として、雑司ヶ谷の法妙寺、千葉県市川市の法華経寺とともに「江戸三大鬼子母神」に数えられる。7月上旬の「入谷朝顔まつり(入谷朝顔市)」開催時には、約40万人の人出で賑わう。
    本殿の左右に社務所と御朱印の授与所がある
  • spot 30
    指人形笑吉工房
    ユーモラスなパントマイムに笑いが止まらない指人形劇場
    下町の人気エリア、谷根千の小さな路地にある店に並ぶ指人形は、着物姿のおじいさん、おばあさんから、歴代首相、人気俳優、お笑い芸人をモデルとしたものまで。石粉粘土にアクリル絵の具を使って仕上げたもので、今にも動き出さんばかりの生きいきとした表情が魅力だ。ここは地元で絵画教室を主宰していた露木光明さんの工房兼劇場。自作の指人形を使い1日6~7回の指人形劇場を上演している。1回約30分の内容はすべてオリジナルの11演目。人気ドラマや映画のリメイク、けん玉や曲芸もあり、人形に命が宿ったようなリアルさ、クスリと笑える内容に拍手が湧く。BGMだけのパントマイムなので、小さな子どもや日本語のわからない外国人観光客にも大評判だ。終演後は指人形による似顔絵も披露している(1人1000円)。指人形の注文もでき、高さ35cmで1体4万円。製作には約1か月かかるが、写真を送れば来店せずとも注文できる。そのため、自分自身や家族、故人のものなど、日本全国ばかりか海外からも注文が入ることもあるという。
    誰もがその名を知っている顔ぶれの指人形がずらりと並ぶ
  • spot 31
    旧安田楠雄邸庭園
    大正から昭和期の裕福な暮らしぶりをうかがえる近代和風建築
    旧安田財閥の創始者・安田善次郎の娘婿夫妻が暮らした邸宅と庭園。建物の造りや庭園、室内の細かな細工や台所なども見どころたっぷり。谷根千散策の際にはぜひ訪れてみたい場所のひとつだ。
    建築物とともに春の桜、秋の紅葉など、四季の風情がある庭も楽しめる
  • spot 32
    うさぎや
    焼き立てのどらやきは、皮のむっちり感と歯切れのよさが持ち味
    「東京三大どらやき」のひとつに数えられることもある「うさぎや」の創業は1913年(大正2)。創業者の谷口喜作が卯年の生まれだったことが店名の由来となり、芥川龍之介や永井荷風など多くの文人が訪れたことで知られる。当初は最中や羊羹が看板商品だったが、2代目が昭和の初め頃から売り出したどらやきが評判となった。皮は専用にブレンドした粉にはちみつを加えて上下から加熱して焼いたもの、餡には北海道産あずきを使用。むっちりとした皮はサクッと歯切れがよく、ていねいに炊き上げた餡は、あずきの香りと粒感が感じられるのに皮が口に残らない。「つぶ餡は苦手だけど、この店のものはおいしく食べられるというお客様は少なくありません」と話す4代目店主の谷口拓也さんも、初代と同じ卯年の生まれだ。店に併設する工房で作っているため、いつでも作りたてを購入できるのがうれしい。創業時から人気の「喜作最中」(120円)、店名にちなんだ「うさぎまんじゅう」(210円)もぜひ味わってみたい。店から徒歩1~2分の場所に、どらやきの皮や餡を利用した和風スイーツを味わえる「うさぎやCAFE」がある。
    「どらやき」240円。16時までは予約なしで購入でき、それ以後は予約をするのが確実
  • spot 33
    2k540 AKI-OKA ARTISAN(ニーケーゴーヨンマル アキ オカ アルチザン)
    高架下に日本発のブランドが集結するものづくりの街
    「ものづくり」をテーマに、アトリエショップ、ギャラリーやカフェが高架下に集まる。作り手と直接、会話しながら手作りの商品を選んだり、オーダーメイドの皮革製品やジュエリーを手に入れることができるのも魅力だ。
    かつて倉庫だったとは思えないスタイリッシュな空間
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旅のヒント

  1. その1

    上野公園へは、JR上野駅・公園口、または京成線・京成上野駅からアクセスできるが、ミュージアム巡りにはJR上野駅からが便利。入り口から「国立科学博物館」「国立西洋美術館」「東京国立博物館」の、日本を代表するミュージアムが並んでいる。

  2. その2

    公園内の大噴水から、花見の名所として知られる「さくら通り」へ進めば、不忍池のほとりへ出る。一周約1kmの池の周りをぐるっと散策したり、ボートを浮かべたりして楽しむのもいいだろう。景色のいい場所にはデッキやベンチがあるので、休憩に利用したい。

  3. その3

    「寛永寺」の関連施設は、公園周辺と公園内に点在しており、かなり離れているものもある。徳川家の祈願寺「根本中堂」と霊廟は、JR鶯谷駅からが近い。

  4. その4

    谷中・根津・千駄木は、谷中を頂点とした三角形の位置関係で、一日あれば徒歩で散策可能。谷中からスタートするならJR日暮里駅を、根津・千駄木はそれぞれ東京メトロを利用するのが便利。

  5. その5

    根津を挟んで谷中の反対側は、「東京大学」の施設に続く。日本の最高学府まで足を延ばし、アカデミックな雰囲気を楽しんでみるのもいいだろう。(2021年12月現在コロナ渦につき構内への部外者の立ち入りは禁止)

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