岩手
花巻・遠野
HANAMAKI / TONO
宮沢賢治を生んだ花巻と、民話の里・遠野。岩手が誇る文学エリア
花巻といえば、やはり宮沢賢治。「宮沢賢治童話村」「宮沢賢治記念館」など賢治をテーマにした施設は、ぜひ訪れたい。『銀河鉄道の夜』をはじめとする童話だけでなく、詩、教育、農業、科学、天文学など幅広い分野で活躍した賢治。現存する資料や展示から、尽きない好奇心と想像力、何より人と自然との調和を願った温かいまなざしを感じるだろう。また、賢治もこよなく愛した「花巻温泉郷」やレトロな「マルカンビル大食堂」も一緒に巡りたい。そして、花巻と隣り合う遠野市は、カッパや座敷わらしなど、不思議な話が語り継がれてきた民話の里。「カッパ淵」でカッパとの出合いを期待したり、「伝承園」で娘と馬の悲恋に涙したり。遠野全体が、まるで民話の舞台のようにも感じる。「遠野ふるさと村」や「とおの物語の館」では、遠野が培ってきた自然のなかでの暮らしを当時のまま残しており、年齢問わず、懐かしくて心地良い時間を過ごせるだろう。
エリアの見どころ
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マルカンビル大食堂
- 箸で食べる!? そそり立つ山のような10段巻きソフトクリーム
- マルカンビル6階にあり、花巻の中心街を一望できるレトロなレストラン。定番メニューはもちろん、内装、食器なども含めて1973年(昭和48)の開業当時の雰囲気をそのままに、2017年(平成29)に復活をした。名物メニューは、ピリ辛あんかけの「マルカンラーメン」や、ナポリタンととんかつとサラダがワンプレートになった「ナポリかつ」。そして、ここに訪れる人の多くは、ソフトクリームを何よりも楽しみにしている。人気の理由は、10段巻きという圧巻の高さ。運ばれてきたときに、大人も子どもも驚きの声がついつい出てしまうほどだ。直接口にするのは難しいので、割り箸で少しずつ削るように食べていくのがおすすめ。休日には、入店待ちの列ができるので、時間に余裕をもって出かけよう。
- スポットの詳細
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マルカンビル大食堂
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乗込長屋
- 卵の形のような団子に熱い汁をかけた郷土料理「けいらん」
- 南部曲り家として有名な旧菊池家住宅のある「伝承園」。その受付と売店を兼ねている「乗込長屋」は、1850年(嘉永3)頃に建てられた農家の納屋を移築したもの。かつては物置や作業場として使われ、玄関や門の役割も担っていたといわれている。乗込長屋の右側奥は食事処へとつながっており、そこでは遠野の伝統的な料理を提供している。「けいらん」もそのひとつ。その名のとおり、鶏卵のような形の団子をお椀に入れ、熱い茹で汁を注いだ甘味だ。団子はこし餡を米粉の皮で包み茹であげている。そのまま食べてもいいし、団子に箸を入れ、中から出てくるこし餡を湯に溶かして飲んでもいい。ほっとするような温かさとやさしい味わいが、体中に広がる郷土料理だ。
- スポットの詳細
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乗込長屋
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道の駅 遠野風の丘 フードホール
- 遠野バケツジンギスカンや郷土料理に舌つづみ
- 遠野に来たら、まずいただきたいのがジンギスカン。遠野では焼き肉=ジンギスカンを指し、地元の人は2週間に1回は食べるという。「道の駅 遠野風の丘」のテラス席で4~10月、先着10組限定で提供されているのがバケツジンギスカン。ブリキのバケツに固形燃料を入れて鉄鍋を載せ、肉や野菜を焼いて食べる。野菜と肩ロース肉240g 2人前セット4800円を注文すれば、ほかの野菜やご飯は各自フードホール内の飲食ブースで自由に調達してOK。バケツジンギスカンは、遠野産ホップを使った「生ビール3種飲み比べセット」1300円と一緒に。テラス席に陣取ったら、遠野の風を感じつつ緑豊かな山々の景色を眺めながら、肉とビールで乾杯! ほかにも、小麦粉を薄く伸ばした生地の入った岩手の郷土料理ひっつみ汁680円など、遠野ならではの食を味わえる。忘れてはならないのが、テレビでも紹介された農業経営者・多田克彦さんの店「多田自然農場」。搾りたて牛乳を使用したソフトクリームやジェラートを販売している人気店だ。おすすめは「黒ゴマミックス」で、ごまの風味と濃厚なソフトクリームがよくあう。
- スポットの詳細
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道の駅 遠野風の丘 フードホール
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ジンギスカンのあんべ
- 遠野ジンギスカン元祖の店。マトンを食べられるのは、ここだけ
- 初代店主が旧満洲で食べた羊肉の味を忘れられず、1955年(昭和30)頃から店で出し始めたところ、瞬く間に人気となり、遠野にジンギスカンが根付くきっかけになったといわれている。10時の開店早々から客が入っていく人気店で、壁には来店した著名人のサインが多く飾られている。ジンギスカンといえばラム(仔羊)が一般的だが、「あんべ」では、臭みがなく、肉の味をしっかり味わえるマトン(成羊)も食べられるため、マトンの本当のおいしさを知っている客が訪れるという。「マトンは、弱火でじっくり焼くのがおいしくいただくコツ」と、ご主人が教えてくれた。「あんべ」の肉は厚めの手切りで、食べごたえ十分!手切りなので、希望を伝えれば薄めにカットもできるそうだ。味付け肉ではなく、焼いた肉にタレを付けて食べる「あと付け」が基本となっている。この秘伝のタレは1種類のみだが、これがまた絶品で、辛めの味が食欲を刺激する(辛みのない子ども用のタレもあり)。テーブルには、コショウや一味、ニンニクが置かれ、自分好みに味変をできるのもうれしい。北海道ともまた違う、遠野ジンギスカン伝統の味をご賞味あれ。
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ジンギスカンのあんべ
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遠野ジンギスカンとラム専門店 遠野食肉センター
- 遠野ジンギスカンといえば、生ラム!生ラムジンギスカン発祥の店
- 約60年前、マトン(成羊)がメインだった遠野で、初代が生後1年未満のラム(仔羊)を生の状態(チルド)で仕入れて提供したのが、生ラムジンギスカンの始まり。現在は、生産地であるオーストラリアやニュージーランドに希望を伝え育成された、こだわりのラム肉を提供している。この精肉店直営スタイルで、県内に4店舗を展開。遠野バイパスのロードサイドにある本店は、3フロア136席とかなり広いが、休日には開店と同時にほぼ満席になる人気ぶり。肉厚で新鮮なラム肉は、表面を香ばしく焼き、自家製ダレを付けて口に運べば、ジュワッと肉汁があふれ出てなんとも幸せな気分に。自家製のタレは、甘口・中辛・辛口・お子さま用の4種類。ジンギスカンのセットメニューやラムチョップのほか、タン・ホルモン・ハツといったラムの希少部位を味わえる遠野でも数少ない店。締めはラムと鶏だしスープの遠野冷麺で。お土産に隣の直売店で生ラムを買って帰れば、家でもまた楽しめる。
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遠野ジンギスカンとラム専門店 遠野食肉センター
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まん十や
- 遠野みやげの大定番!地元で愛される醪饅頭(さかまんじゅう)
- 遠野駅から徒歩2分、遠野市役所の目の前に、1908年(明治41)創業の小さな和菓子店がある。といっても、製造販売しているのは醪饅頭(さかまんじゅう)だけという、全国でも珍しい醪饅頭専門店だ。昭和初期、2代目が醪饅頭を考案してからほとんど製法を変えず、今では遠野銘菓として道の駅や物産センターでも販売されている。一般的に酒まんじゅうは、甘酒を絞ったものなどを皮に混ぜ発酵させて作るが、「まん十や」の醪饅頭は、米麹と米を秘伝の方法で発酵させた自家製の醪(もろみ)を作り、生地に混ぜる。この自家製醪が、独特かつ本格的な酒の風味を生み出し、皮をふんわりとさせてくれるという。頬張ると、口の中に酒の香りがほわっと広がり、あずきを煮てざらめを加え練り上げたこし餡の素朴な甘さとバランスが絶妙。この醪饅頭を揚げた揚げ饅頭(1個140円)は、外がカリッと香ばしく、醪饅頭とはまた違った食感を味わえる。「硬くなったらトースターで温めると、またおいしく食べられますよ」と店主が教えてくれた。朝8時から開店しているので、確実に作りたてを食べたいなら、少し早起きして出かけよう。
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まん十や
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まつだ松林堂
- 素朴な生地と雲平細工(うんぺいざいく)の食感が見事な元祖「明がらす」
- 遠野の郷土菓子といえば「明がらす」だろう。創業150年以上を誇る老舗和菓子店「まつだ松林堂(しょうりんどう)」の看板商品で、創業当時は「くるみ糖」と呼ばれていた。しかし、断面が明け方の空にカラスが飛んでいるように見えることから、2代目の松田桂次郎が「明がらす」と改名して販売したところ評判に。以来、昭和天皇・今上天皇来県時にお茶菓子として献上されたり、JAL国際線ファーストクラスのデザートに採用されたりするなど、地元銘菓として長く愛されている。お餅と落雁(らくがん)の中間のような食感で、昔ながらのお菓子にしては甘さ控えめで上品な印象だ。逆に想像を絶するほど甘いのが、「甘氷(かんこおり)」1本330円。上白糖をじっくり煮詰め練り上げて、羊羹のように固めた甘いお菓子だ。バニラ入りで甘いソフトクリームのような味がするので、薄く切ってブラックコーヒーや抹茶にあわせるのもいい。夏は冷やして食べるとおいしいとか。
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まつだ松林堂
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上閉伊酒造
- 創業230年の酒蔵が造る遠野産ホップの利いたうまいビール
- 1789年(寛政1)創業の上閉伊酒造が「遠野麦酒ZUMONA」(通称ズモナビール)を立ち上げ、ビール造りを始めたのは1999年(平成11)のこと。日本酒と同じ地下100mから汲み上げた北上山系六角牛山(ろっこうしさん)の伏流水を仕込みに使っている。通年販売のレギュラー商品は遠野産ホップIBUKIを100%使用。レギュラー商品の「ゴールデンピルスナー」は、インターナショナルビアカップ2021金賞を受賞するなど、ビール審査会でも高い評価を受けている。通常、1回に仕込む量は約2000ℓ。これでボトル4000~5000本分くらいだという。ホップの収穫時期は8月中旬~9月上旬のため、例年10~11月頃に乾燥させないフレッシュホップを使った「Fresh Hop Harvest」を季節限定で醸造・販売している。フレッシュホップを使うと、和柑橘のような甘い香りと小麦の風味を味わえるビールが生まれるそうだ。遠野産ホップIBUKIと住田町産いちご「紅ほっぺ」を使った黒ビール「STRAWBERRY STOUT」など、季節限定醸造品も多く、つねに新しく進化した味に出合える。季節限定ビールと同じ遠野の大地で育った旬の食とともに楽しんでほしい。
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上閉伊酒造
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わんこそば食事処 嘉司屋
- 「わんこそば全日本大会発祥の店」で花巻式わんこそばの神髄を知る
- 1904年(明治37)創業。県北二戸産をメインに4種のそば粉を使い、毎朝真心を込めて打つ二八そばと、地元の旬の食材を使ったそば、地酒などを味わえる。「わんこそば全日本大会発祥の店」として、全国から花巻のわんこそばを目当てに観光客が訪れる人気店だ。わんこそば(薬味8品)大人3500円は、注文すると薬味、布前かけ、杯数を数えるマッチが運ばれてくる。「おいしく・ゆっくりと・おなか一杯」がモットーなので、焦らず自分のペースで食べてOK。無理にすすめられることもない。そばは客の食べるペースを見ながら湯がいているためできたてで意外にも温かく、自家製塩辛やマグロといった薬味がそばによくあう。食べた杯数はマッチ棒を並べて数えるという昔ながらの手法だ。嘉司屋(かじや)のわんこそばは、1杯が他店より少し多めで、7杯でかけそば1杯分の量だという。時間制限はないが、女性で平均20杯程度、男性でも100杯食べられる人はなかなかいないそうだ。大食いにチャレンジするのもいいが、できればおいしいそばをじっくり味わってほしい。
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わんこそば食事処 嘉司屋
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金婚亭
- 裃(かみしも)をつけた殿様スタイルで、そば振る舞いを楽しむ
- わんこそばは盛岡藩初代藩主・南部利直(なんぶとしなお)が参勤交代の途中、花巻で休憩した際に農民がお椀に小分けしたそばをすすめたのが起源といわれている。金婚亭でわんこそばを注文すると付いてくるエプロンは裃風。殿様になった気分でわんこそばを楽しめる。そして、「食べ残しをなくすSDGsなスタイル」と給仕さんが言うように、花巻式わんこそばは給仕さんが客の前からそばを1杯ずつ入れていくスタイル。数を競うのもありだが、薬味を楽しみながらゆっくり自分のペースで食べて問題ない。また、金婚亭ではわんこそば以外にも花巻ブランドの白金豚(ぷらちなぽーく)、盛岡名物じゃじゃ麺、ひっつみ汁など、郷土料理と地元食材を中心とした御膳やセットメニューを豊富に用意している。食事のあとは、お土産を探しに1階の観光物産館へ。三陸の海産加工物や地酒など、岩手名物といわれるものはほとんどここで買えそうだ。なかでも金婚亭の名前の由来になった「金婚漬」は、ウリの中にニンジンや昆布巻きなどが詰まった縁起のよい漬け物で、併設の自社工場製。樽に漬けて時間が経つほどにいい味が出てくることから、夫婦や家族円満の願かけに買うのもよいかもしれない。
- スポットの詳細
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金婚亭
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旅のヒント
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その1
岩手県内の復興支援道路は無料で通行できるが、花巻市と遠野市を結ぶ「東北横断自動車道釜石秋田線」のうち、花巻-東和間は有料区間。間違えないように注意しよう。
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その2
花巻市と遠野市は、文化や伝統などの面で似通った部分が多い地域。共通項を探して旅をするのもおもしろいかも知れない。
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その3
花巻市と釜石市を結ぶJR釜石線は、岩手軽便鉄道の後継とされる路線。花巻市や遠野市、住田町には岩手軽便鉄道の遺構が数多く残っているので、遺構を訪ね歩くドライブ旅もオススメだ。
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